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入院患者さんの便秘に対して理学療法士ができること
以前に便秘対策について記事を書いたことがあります。(こちらを参照→排便を促す運動)
今回は入れ以外の運動について説明したいと思います。
入院中の患者に便秘が多い理由
入院患者さんは便秘を起こしやすい状態にあります。その原因には、
- 活動量の低下(臥床中心の生活、離床制限)
- 食事・水分摂取の減少
- 薬剤(特にオピオイド・抗コリン薬・鉄剤など)の副作用
- 排便環境の変化(オムツ、ベッド上排泄)
- 精神的ストレスや生活リズムの乱れ
が挙げられます。
便秘は単なる不快感ではなく、腹部膨満や疼痛、食欲不振、全身倦怠感、さらにはリハビリ意欲の低下 に直結するため、早期からの介入が必要です。
薬物療法も有効ですし、ついつい直ぐに下剤や浣腸という選択をとりがちですが、まずは非薬物的なアプローチが重要になります。
ここでは、理学療法士が運動療法の中でできる便秘対策 を整理してご紹介します。
1. 呼吸訓練による腸蠕動促進
腹式呼吸(横隔膜呼吸)
横隔膜が上下することで腸がマッサージされ、蠕動運動が活性化します。
- 方法:仰臥位や座位で、吸気時に腹部を膨らませ、呼気でへこませる。
- 回数:1日3〜5回、各5分程度。
- ポイント:過換気に注意し、リラックスしながら行う。

(こちらを参照→腹式呼吸)
ブローイング訓練
息を強く長く吐き出すことで腹圧を高め、排便時のいきみに近い動作が可能です。
- 方法:風船、ストロー、水の入ったペットボトルなどを利用。
- 効果:腹筋強化、嚥下・呼吸機能改善との相乗効果も期待できる。

(こちらを参照→ブローイングエクササイズ)
2. 体幹・下肢運動による腹部刺激
膝抱え運動(ニー・トゥ・チェスト)
- 方法:仰臥位で片膝を胸に引き寄せ、数秒保持して戻す。左右交互に行う。
- 効果:腹部圧迫により大腸が刺激され、便移動を促進。腰痛予防ストレッチにもなる。

骨盤前後傾運動(ペルビックチルト)
- 方法:仰臥位で膝を立て、腰を床に押し付けるように骨盤を後傾 → ゆるめて前傾。
- 効果:体幹深層筋を動かし、腸周囲の血流と蠕動を促す。

(こちらを参照→骨盤後傾運動)
下肢挙上運動(レッグレイズ)
- 方法:仰臥位で片脚を伸ばしたまま20〜30cm挙上。
- 効果:腸腰筋・腹筋が働き、腹腔内圧の上昇を通じて腸管を刺激。

(こちらを参照→レッグレイズ)
3. 姿勢・体位を利用した排便支援
前傾姿勢の練習
排便時に理想的とされるのは「前傾+足を踏ん張る」姿勢です。
- 方法:端座位で軽く前傾、足底をしっかり床に着ける。
- 効果:直腸肛門角が広がり、排便がスムーズになる。
- ポイント:ポータブルトイレ使用時や実際の排泄介助時に応用できる。
(こちらを参照→排便に適した姿勢とは)
体位変換や四つ這い
- 側臥位・腹臥位をとることで、腸内容物が重力で移動しやすくなる。
- 四つ這い姿勢では腸が下垂し、蠕動を助ける。転倒リスクのない患者に限定して実施。

4. 歩行・座位保持による活動量の確保
最もシンプルで効果的な便秘対策は「歩くこと」です。
- 歩行練習:10〜15分でも腸蠕動の促進効果あり。
- 座位保持:長時間臥床を避けることで、重力と体幹筋の活動が腸を動かす。
- ポイント:安静度や全身状態に応じ、離床時間を少しでも長くする工夫 が重要。
まとめ
入院患者さんの便秘に対して理学療法士ができることは、
- 呼吸訓練(腹式呼吸・ブローイング)
- 体幹・下肢運動(膝抱え、骨盤運動、下肢挙上)
- 姿勢調整(前傾姿勢、体位変換)
- 活動量の確保(歩行練習・座位保持)
です。
これらはリハビリの中で無理なく取り入れられるものであり、薬物に頼る前の第一選択肢として有効です。
便秘が改善することで、患者さんのQOLが向上し、リハビリ意欲も高まりやすくなる ため、日常の理学療法介入の一部として積極的に取り入れていきましょう。
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