DVT(深部静脈血栓症)がある患者さんは離床してよいのか

DVT(深部静脈血栓症)がある患者さんは離床してよいのか

p〈スポンサーリンク〉




DVT(深部静脈血栓症)がある患者さんは離床してよいのか

― リハビリ職が知っておきたい考え方 ―

リハビリテーションの現場で、時々悩む場面があります。

それは 「DVT(深部静脈血栓)が見つかった患者さんを離床してよいのか」 という問題です。

下肢エコーで血栓が見つかると、

「動かして大丈夫だろうか」

「血栓が飛んで肺塞栓にならないだろうか」

と不安になります。

実際、以前は DVTがある場合は安静 という考え方が一般的でした。

しかし現在は、その考え方は少し変わっています。

今回は、リハビリ職の視点でDVTと離床の関係を整理してみたいと思います。

(※この記事は以前の僕の同僚の話を参考にして書いています)

◼️ 昔は「絶対安静」が基本だった

以前は、DVTが見つかった場合は 絶対安静 が基本でした。

理由はシンプルです。

動く

血栓が剥がれる

肺塞栓になる

この流れを恐れていたためです。

そのため、血栓が見つかると、数日間ベッド上安静 という対応も珍しくありませんでした。

しかし現在では研究が進み、少し違うことが分かってきました。

 

◼️ 現在は「抗凝固療法+早期離床」が基本

現在の考え方は次のようになっています。

適切な抗凝固療法が行われていれば、早期離床は可能

とされています。

研究では

  • 抗凝固療法を行った上で離床しても
  • 肺塞栓の発生率は増えない

という結果が報告されています。

むしろ安静が続くことで

  • 静脈うっ血の悪化
  • 廃用症候群
  • 筋力低下
  • さらに血栓ができやすくなる

といった問題が起きる可能性があります。

つまり現在は

動かさないことが必ずしも安全とは言えない

という考え方になっています。

◼️ 血栓の部位によってリスクは違う

DVTは、血栓ができる場所によって大きく2つに分けられます。

①近位型DVT

次のような太い静脈です。

  • 大腿静脈
  • 膝窩静脈
  • 腸骨静脈

これらは 肺塞栓のリスクが高い血栓 とされています。

そのため離床は慎重に行います。

②遠位型DVT

下腿にできる血栓です。

代表的なものは

  • ヒラメ静脈
  • 腓腹静脈
  • 後脛骨静脈
  • 前脛骨静脈
  • 腓骨静脈

臨床でよく見つかるのは

ヒラメ静脈血栓 です。

これらは 肺塞栓のリスクは比較的低い とされています。

 

◼️ 血栓の部位と離床の考え方

①大腿静脈などの近位DVT

慎重に進める必要があります。

一般的な流れは

  1. 抗凝固療法開始
  2. 全身状態の安定確認
  3. 段階的離床

離床の進め方の例

  • ベッドアップ
  • 端座位
  • 立位
  • 短距離歩行

この時、特に注意するのが 肺塞栓の症状 です。

注意すべき症状

  • 突然の息切れ
  • 胸痛
  • SpO₂低下
  • 頻脈

こうした症状があれば、すぐに中止して医師へ報告します。

②ヒラメ静脈などの遠位DVT

この場合は、比較的離床を進めやすいケースが多いです。

ただし注意点があります。

遠位DVTでも

  • 血栓が大きくなる
  • 近位へ進展する

可能性があります。

そのため

  • 抗凝固療法
  • 弾性ストッキング
  • 症状観察

は必要になります。

 

◼️ リハビリを行う際のポイント

弾性ストッキングの使用

可能であれば 離床前に装着 します。

理由は

  • 静脈還流を促進する
  • 静脈うっ血を減らす

ためです。

急激な運動は避ける

急激な運動は避けます。

例えば

  • 強い筋トレ
  • 長距離歩行
  • 強い負荷の運動

まずは

ADLレベルの活動から開始します。

 

スクワットをやるにしてもハーフスクワットのような軽めのものから。

こんな激しいスクワットはやめておきましょう↓

呼吸状態の観察

リハビリ中に特に注意するのは呼吸です。

次のような変化は重要です。

  • 急な息切れ
  • SpO₂低下
  • 胸部違和感
  • 頻脈

これは 肺塞栓のサイン の可能性があります。

◼️ リハビリ職が大切にしたい視点

DVTの患者さんを前にすると

「血栓があるかどうか」

に目が行きがちです。

しかし臨床では、もう少し大切な視点があります。

それは

“血栓が安定しているかどうか“

です。

例えば

  • 抗凝固療法が開始されている
  • 症状が安定している
  • 呼吸状態が問題ない

このような状態であれば

段階的な離床は可能なことが多いのです。

 

◼️ リハビリ現場でよく出会う血栓

臨床で多いのは

ヒラメ静脈血栓

です。

原因として多いのは

  • 長期臥床
  • 手術後
  • 下肢筋ポンプ低下

などです。

この場合、

  • 抗凝固療法
  • 弾性ストッキング
  • 早期離床

という流れで対応することが多いでしょう。

 

◼️ おわりに

DVTが見つかると、リハビリ職としてはどうしても慎重になります。

しかし現在の考え方は

適切な治療のもとで、安全に動かすこと

です。

大切なのは

  • 血栓の部位
  • 抗凝固療法の状況
  • 呼吸状態
  • 症状の変化

こうした情報を確認しながら、

安全な範囲で離床を進めていくことだと思います。

リハビリテーションは「動かす医療」です。

だからこそ、リスクを理解した上で 適切に動かす判断 が求められるのだと思います。

 

長文を読んでいただき、ありがとうございます。

 

ポチっとお願いします↓

 

〈スポンサーリンク〉