シリーズ言葉の意味16:「大丈夫じゃないです」の本当の意味を考えていますか?

シリーズ言葉の意味16:「大丈夫じゃないです」の本当の意味を考えていますか?

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シリーズ 患者さんの言葉の本当の意味を考えていますか その16回

「大丈夫じゃないです」の本当の意味を考えていますか?

「今日は、大丈夫じゃありません。」

リハビリをしていると、ごくまれに患者さんから、こんな言葉を聞くことがあります。

この言葉を聞いたとき、

「体調が悪いんですね。」

「今日はリハビリを休みましょうか。」

そんな対応をすることが多いと思います。

もちろん、それも大切です。

でも、一度立ち止まって考えてみてください。

患者さんは、本当に体調のことだけを伝えたかったのでしょうか。

「大丈夫じゃない」という言葉の中には、さまざまな思いがある

例えば、

「痛みが限界です。」

「もう頑張れません。」

「昨日から眠れていません。」

「家族のことで頭がいっぱいです。」

「先が見えなくて不安です。」

「誰かに気づいてほしかった。」

患者さんは、その思いを一つひとつ説明することはあまりありません。

それらをまとめて、

「大丈夫じゃありません。」

という一言で表現していることがあります。

「大丈夫」と言い続けてきた人ほど、その一言は重い

これまで何度も、

「大丈夫です。」

と言ってきた患者さんが、

ある日突然、

「今日は大丈夫じゃありません。」

と言うことがあります。

その一言には、

何日も、何週間も我慢してきた思いが詰まっていることがあります。

痛み。

疲労。

不安。

孤独。

焦り。

「これ以上は一人では抱えきれない。」

そんな心のサインなのかもしれません。

だからこそ、この言葉は、

単なる体調不良として受け流してはいけないことがあります。

セラピストならどう関わるか

患者さんから、

「今日は大丈夫じゃありません。」

と言われたら、

私はすぐに、

「どこが悪いですか?」

とは聞かないようにしています。

まずは、

「そうだったんですね。」

「話してくださってありがとうございます。」

と、その言葉を受け止めたいと思います。

そのうえで、

「何が一番つらいですか?」

「身体のことですか、それとも気持ちのことですか?」

「昨日からですか?」

そんなふうに、ゆっくり話を聞いていきます。

すると、

「実は昨夜、一睡もできなくて…。」

「家族のことが心配で。」

「退院した後のことを考えると、不安で。」

そんな本当の思いを話してくださることがあります。

その答えによって、

今日のリハビリは、

歩くことよりも、

椅子に座って話を聞く時間の方が大切になるかもしれません。

私たちが評価するのは、

筋力や歩行能力だけではありません。

その日の患者さんが、

「今、何を抱えているのか。」

それを知ろうとすることも、大切な評価なのだと思います。

 

「大丈夫じゃない」と言えたことに意味がある

私は、この言葉を聞くたびに思います。

患者さんは、

「助けてください。」

とは言わないことが多い。

「限界です。」

とも言わない。

だから、

「大丈夫じゃありません。」

という一言は、

患者さんなりの精一杯のSOSなのかもしれません。

その小さなサインを見逃さないこと。

それも、私たち医療者の大切な役割です。

おわりに

「今日は、大丈夫じゃありません。」

その言葉を、

「体調が悪いんですね。」

だけで終わらせない。

その人は、

何を一人で抱えてきたのでしょうか。

何が限界だったのでしょうか。

そして、

何を分かってほしかったのでしょうか。

その背景を知ろうとすることが、

その人に合ったリハビリにつながります。

患者さんの言葉は、ゴールではありません。

その人を理解するための入り口なのだと思います。

「大丈夫です」と言うことよりも、「大丈夫じゃありません」と言うことの方が、ずっと勇気がいることがあります。

だからこそ、その一言を聞けたときは、患者さんが私たちを少し信頼してくれた瞬間なのかもしれません。

 

 

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