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シリーズ 言葉の意味の本当の意味を考えていますか? その2回
「歩きたい」の本当の意味を考えていますか?
「先生、歩けるようになりたいです。」
リハビリをしていると、患者さんからよく聞く言葉です。
この言葉を聞くと、私たちはつい、
「歩行器で30m歩けるようになりましょう。」
「まずは筋力をつけましょう。」
「バランスを良くしていきましょう。」
と、「歩く」という能力に目が向きます。
もちろん、それは理学療法士として大切な視点です。
でも、一度立ち止まって考えてみてください。
患者さんは、本当に「歩くこと」そのものを望んでいるのでしょうか。

「歩きたい」は目的ではなく手段かもしれない
歩くことは、多くの場合、人生の目的ではありません。
歩くことで、何かをしたいのです。
例えば、
「自分でトイレに行きたい。」
「スーパーへ買い物に行きたい。」
「庭の花に水をあげたい。」
「孫と一緒に散歩したい。」
「妻と並んで歩きたい。」
患者さんにとって「歩く」という言葉の先には、その人らしい生活があります。
もし、その意味を知らないままリハビリを進めてしまえば、本当に大切な目標を見失ってしまうかもしれません。
歩けるようになっても、満足できないことがある
以前、ある患者さんが「歩きたい」と話していました。
リハビリを続け、病棟内は歩行器で歩けるようになりました。
私たちは「目標を達成できましたね」と思っていました。
しかし、その患者さんはどこか浮かない表情でした。
話を聞いてみると、
「本当は家の庭まで歩いて行きたかった。」
そう話してくれました。
病棟を歩けることと、自宅の庭まで歩けること。
同じ「歩ける」でも、その人にとっての意味はまったく違っていたのです。
もし最初にその思いを知っていたら、
屋外歩行を練習したかもしれません。
段差を練習したかもしれません。
砂利道を歩く練習をしたかもしれません。
リハビリの内容そのものが変わっていたでしょう。
「何のために歩きたいのですか?」
私は最近、「歩きたい」と言われたら、
こう聞くようにしています。
「歩けるようになったら、一番最初に何をしたいですか?」
この質問をすると、
患者さんの表情が変わることがあります。
「家の犬に会いたい。」
「畑を見に行きたい。」
「自分でトイレに行きたい。」
「妻と買い物に行きたい。」
そこには、歩行速度や歩行距離では測れない、その人だけの目標があります。

リハビリは人生を取り戻すためにある
理学療法士は、歩くことを支援する専門職です。
でも、本当に支援したいのは「歩く能力」ではありません。
歩くことで、その人らしい生活を取り戻すことです。
だからこそ、
「歩きたい。」
という一言を、そのまま受け取るのではなく、
「その人は、歩いて何をしたいのだろう。」
と考えてみたいのです。
その答えを知ることで、リハビリは単なる機能訓練ではなく、その人の人生に寄り添う時間へと変わっていきます。
おわりに
患者さんの言葉は、いつも短く、とてもシンプルです。
しかし、その短い言葉の中には、その人が大切にしてきた人生や、これから取り戻したい暮らしが詰まっています。
「歩きたい。」
その一言を、歩行能力の話で終わらせない。
その言葉の奥にある願いを知ろうとすること。
それが、患者さん一人ひとりに合ったリハビリへの第一歩なのだと思います。
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