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呼吸は“動きの中で使うもの”
〜立ち上がり・歩行で変わる呼吸の使い方〜
呼吸リハビリというと、ベッド上での練習を思い浮かべることが多いかもしれません。
しかし実際の生活では、呼吸は「練習するもの」ではなく、
“動きながら使うもの”です。
立ち上がるとき、歩くとき、
その一つひとつの動作の中に呼吸がうまく組み込まれると、動きはぐっと楽になります。
今回は、臨床でよく関わる
- 立ち上がり
- 歩行
この2つの動作に焦点を当てて、呼吸の使い方を整理していきます。
◼️ 立ち上がり 〜「息を止める動作」からの脱却〜
立ち上がりでよく見られるのが、「息を止めて一気に立とうとする」動きです。
いわゆる“いきみ(バルサルバ様動作)”で、一瞬の力は出ますが、身体には負担が大きくなります。
特に高齢者や心疾患のある方では、血圧変動や息切れの原因にもなります。
呼吸の基本
ポイントはシンプルです。
👉 「立つときに吐く」
実際の流れ
- 姿勢を整える(前傾)
- 軽く吸う
- 立ち上がるタイミングで「フーッ」と吐く

なぜ吐くのか
- 腹圧が適度に保たれる
- 余計な力みが抜ける
- 動作がスムーズになる
つまり、「吐くことで力が抜ける」のではなく、「適切に力が使える」状態になるということです。
臨床でのコツ
「息を止めないでください」だけでは伝わりにくいです。
- 「立つときにフーッと吐きましょう」
- 「重いものを持ち上げるときの呼吸です」
といった具体的なイメージが有効です。
◼️ 歩行 〜「苦しくなる前に整える」呼吸〜
歩行では、動作に合わせたリズムある呼吸が重要になります。
特にCOPDや心不全の患者さんでは、歩き始めてすぐに息切れが出てしまうことも少なくありません。
呼吸の基本
👉 「歩きながら吐く」

実際の使い方
- 歩き出す前に息を吸う
- 4歩で吐いて、2歩で吸う
- 口すぼめ呼吸を組み合わせる

こうすることで、呼気がしっかり確保され、
呼吸が乱れにくくなります。
なぜ重要か
歩行中の息切れは、
- 呼吸が速くなる
- 吐ききれない
- さらに苦しくなる
という悪循環で強くなります。
呼気をコントロールすることで、
この流れを断ち切ることができます。
臨床でのコツ
ポイントは「苦しくなってから」ではなく、
👉 苦しくなる前から使うこと
です。
歩き始めから呼吸を意識できると、息切れの出方が大きく変わります。
呼吸を「動作に組み込む」という考え方
呼吸法は単独で行うものではなく、
動作の一部として使われて初めて意味を持ちます。
- 立ち上がるときに吐く
- 歩くときにリズムをつくる
- 動作中も息を止めない
こうした積み重ねが、結果的に活動量や生活の質を高めていきます。
呼吸が変わると、動きは軽くなる
呼吸が整うと、不思議と動きが変わります。
力みが抜け、タイミングが合い、「なんとなく楽に動ける」状態になります。
これは特別な技術ではなく、ほんの少し呼吸のタイミングを変えるだけで起こる変化です。
呼吸は目立たないけれど、すべての動きに寄り添っている機能です。
だからこそ、
「呼吸をどう練習するか」だけでなく、
「どう使うか」まで考えることが、リハビリの質を変えていきます。
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