シリーズ言葉の意味12:「食べたくない」の本当の意味を考えていますか?

シリーズ言葉の意味12:「食べたくない」の本当の意味を考えていますか?

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シリーズ 患者さんの言葉の本当の意味を考えていますか? その12回

「食べたくない」の本当の意味を考えていますか?

「今日は食べたくないです。」

入院中の患者さんから、こう言われることがあります。

この言葉を聞くと、

「少しでも食べましょう。」

「食べないと体力が落ちますよ。」

そんな声をかけることが多いのではないでしょうか。

口の悪いスタッフはつい、「食べられないなら、点滴ですよ!」まで言ったりします。

すぐに「点滴」というのはさすががにどうかとは思いますが、食べることはそれほど大切なことです。

でも、一度立ち止まって考えてみてください。

患者さんが言う「食べたくない」は、本当に食欲だけの問題なのでしょうか。

「食べたくない」という言葉の中には、さまざまな思いがある

例えば、

「食べると息が苦しくなる。」

「飲み込むのが怖い。」

「食事中にむせるのが不安。」

「痛みで食べる気になれない。」

「薬の影響で味がしない。」

「家族と食卓を囲めないのが寂しい。」

「もう何を食べても楽しめない。」

患者さんは、その一つひとつを詳しく説明することはあまりありません。

それらをまとめて、

「食べたくない。」

という一言で表現していることがあります。

食べられないのか、食べたくないのか

一見似ている言葉ですが、この二つはまったく違います。

「食べられない。」

そこには、

嚥下障害や呼吸状態、消化器症状など、身体的な理由があるかもしれません。

一方で、

「食べたくない。」

という言葉には、

気持ちの落ち込みや不安、生活への意欲の低下が隠れていることがあります。

この違いを知ることは、リハビリを考える上でもとても大切です。

 

セラピストならどう関わるか

「食べたくない。」

そう言われたとき、

私はすぐに

「頑張って食べましょう。」

とは言いません。

まずは、

「食べると何かつらいことがありますか?」

「食べることと飲み込むこと、どちらが大変ですか?」

「以前は好きだった食べ物はありますか?」

そんなふうに話を聞いてみます。

すると、

「食べると息が切れるんです。」

「またむせるのが怖くて。」

「家に帰って家族とご飯を食べたい。」

そんな本当の思いを話してくださることがあります。

その答えによって、

私たちの関わり方も変わります。

食事姿勢を調整した方がいいのか。

呼吸を整えることが先なのか。

食事の量ではなく、食事を楽しめる環境を考えた方がいいのか。

「食べたくない。」

という一言の背景を知ることが、その人らしい生活を支える第一歩になるのだと思います。

おわりに

「食べたくない。」

その言葉を、

食欲がないから。

だけで終わらせない。

その人は、

何がつらいのでしょうか。

何を不安に思っているのでしょうか。

そして、本当は何を望んでいるのでしょうか。

その背景を知ろうとすることが、

その人に合ったリハビリにつながります。

患者さんの言葉は、ゴールではありません。

その人を理解するための入り口なのだと思います。

 

私たちは「食べる」という行為を支えようとします。

でも患者さんが本当に望んでいるのは、「食べること」ではなく、「誰かと食卓を囲むこと」や「好きなものをおいしいと感じること」なのかもしれません。

リハビリが目指すのは、食事動作だけではなく、その人らしい生活を取り戻すことなのだと思います。

 

ありがとうございました。

 

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