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シリーズ 患者さんの言葉の本当の意味を考えていますか その9回
「家族には言わないでください」の本当の意味を考えていますか?
「家族には言わないでください。」
病院で、患者さんからこう言われることがあります。
症状のこと。
不安のこと。
痛みのこと。
あるいは、本音そのもの。
この言葉を聞くと、私たちは少し戸惑います。
「どうしてですか?」
「ご家族には伝えた方がいいのでは…」
そう思うこともあるでしょう。
もちろん、病状や支援の内容によっては、家族と共有した方がよいこともあります。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみたいのです。
患者さんは、なぜ
「家族には言わないでください」と言うのでしょうか。

その言葉の奥にあるもの
この言葉の背景は、一つではありません。
例えば、
- 高齢の家族に心配をかけたくない
- これ以上負担を増やしたくない
- 弱っている自分を見せたくない
- 家族に知られると大ごとになってしまう
- 本音を言うと、家族を悲しませてしまう
- 家族には家族の生活があると思っている
同じ「言わないでください」でも、そこにあるのは隠し事ではなく、相手を思う気持ちであることが少なくありません。
むしろこの言葉は、
「自分のことより、家族のことを考えている」
という表れであることさえあります。

「言わないで」は拒否ではなく、気遣いかもしれない
私たちはつい、
「家族には正しく伝えなければいけない」
という方向に考えが向きがちです。
それは間違いではありません。
でも、患者さんの気持ちを置き去りにしたまま情報共有だけを進めてしまうと、
患者さんは「分かってもらえなかった」と感じるかもしれません。
「家族には言わないでください。」
その言葉の中には、
「心配をかけたくない」
「迷惑をかけたくない」
「まだ自分で抱えていたい」
という思いが含まれていることがあります。
つまり、これは単なる拒否ではなく、その人なりの気遣いなのかもしれません。(絶対、そう!)
セラピストならどう関わるか
この言葉を聞いたとき、すぐに
「でもご家族には伝えましょう」と返す前に、
まずは、その理由を丁寧に受け止めたいと思います。
例えば、
「ご家族に心配をかけたくないお気持ちがあるのですね」
「特にどんなことを知られたくないと思っていますか?」
「一番気になっているのは、ご家族が心配することですか?」
そんなふうに聞いてみると、患者さんの本当の思いが少しずつ見えてくることがあります。
そしてもう一つ大切なのは、
どこまで本人の思いを尊重できるかを一緒に考えることです。
家族に伝えない方がよいこともあります。
一方で、安全面や退院支援のために、どうしても共有が必要なこともあります。
だからこそ大事なのは、
患者さんの言葉を無視して進めることではなく、
「なぜ言いたくないのか」を理解したうえで、どう伝えるのがよいかを一緒に考えることだと思います。

おわりに
「家族には言わないでください。」
その言葉を、
単なる情報拒否として受け取らない。
その人は、誰を守ろうとしているのでしょうか。
何を心配しているのでしょうか。
どんな関係の中で、その言葉が出てきたのでしょうか。
そこに目を向けることで、
患者さんの見え方は大きく変わります。
患者さんの言葉は、ゴールではありません。
その人を理解するための入り口です。
そしてこの言葉の奥には、
不安だけでなく、家族への優しさや、その人なりの誇りが隠れているのかもしれません。
追記:
私自身、体調のことを「家族には言わないでください」と思うことがあります。
高齢の両親に余計な心配をかけたくないからです。
患者さんのこの言葉は、冷たさでも拒否でもなく、むしろ相手を思う気持ちから出ていることがあるのだと、患者側になって初めて実感しました。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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