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スキンテアがある患者さんに、リハビリはどう関わるか
―「動かす前に守る」という視点―
◼️ はじめに
高齢の入院患者さんを担当していると、スキンテアを目にする機会は決して少なくありません。
ほんの少しぶつけただけで皮膚が裂けてしまう。その脆さに、戸惑った経験がある方も多いのではないでしょうか。
スキンテアは一見すると「小さな外傷」に見えます。
しかし、リハビリの関わり方次第で、悪化もすれば予防もできる。
つまりこれは、セラピストの関わりがダイレクトに結果へ反映される領域です。
この記事では、スキンテアを有する患者さんに対して、リハビリ介入で本当に大切な視点を整理していきます。
◼️ なぜスキンテアは起こるのか
加齢に伴い、皮膚は大きく変化します。
薄くなり、弾力を失い、皮下組織も減少する。
その結果、問題になるのは「弱さ」そのものではなく、摩擦とズレに対する耐性の低下です。
引っ張られる、こすれる、ねじれる。
こうしたわずかな力でも、皮膚は簡単に裂けてしまいます。
ここを理解しているかどうかで、介助の質は大きく変わります。

◼️ リハビリにおける大原則
結論はとてもシンプルです。
摩擦を避けること。
ズレを生まないこと。
そしてもう一つ。
創部を守りながら動かすこと。
この3つが守られていれば、多くのトラブルは防げます。
◼️ やりがちな介助が、スキンテアを作る
前腕や下腿を「つかむ」
立ち上がりや移乗の場面で、無意識にやってしまいがちな動作です。
細くなった前腕や下腿は、最も皮膚が弱い部位の一つ。
ここを点でつかむと、その圧と摩擦で皮膚が裂けるリスクが高くなります。
大切なのは、「点」ではなく「面」で支えること。
可能であれば、上腕や大腿といった近位部を使って支持する。
それだけで、皮膚への負担は大きく変わります。
◼️「引きずる」移動
ベッド上で体をずらすとき、無意識にズルズルと引いてしまうことがあります。
このとき皮膚には、強い「ズレ(shear)」がかかります。
これがスキンテアの最大の原因です。
意識したいのは、「持ち上げる」という感覚。
完全に浮かせる必要はなくても、ほんの少し荷重を抜くだけで摩擦は大きく減ります。
スライディングシートの使用も非常に有効です。

◼️ テープや装具による損傷
意外と見落とされがちなのが、ケアの中での皮膚損傷です。
テープを勢いよく剥がす。
装具の縁が皮膚に当たり続ける。
こうした日常的な刺激が、新たなスキンテアを生みます。
剥がすときは皮膚を押さえながらゆっくり。
装具は「当たっていないか」を必ず確認する。
小さな配慮ですが、結果に大きく影響します。

◼️ 運動内容は「創部から逆算する」
スキンテアがあると、「どこまで動かしていいか」に悩むことがあります。
そのときのヒントはシンプルです。
その運動は、創部に負担をかけていないか?
例えば、前腕にスキンテアがあれば、手で支える動作は慎重に。
下腿であれば、歩行時の接触や装具の影響を考える。
つまり、「やりたい運動」ではなく
「守りながらできる運動」へ調整する視点が重要になります。
◼️ 環境が皮膚を傷つける
ベッド柵、車椅子のアームレスト、点滴ルート。
患者さんは、意外なところで皮膚をぶつけています。
リハビリの前に、
「どこに当たりそうか」を一度見渡すだけで、リスクはかなり減らせます。
これは技術というより、視点の問題です。

◼️ セラピストだからこそできる観察
スキンテアは、ある日突然できるものではありません。
その前段階として、発赤や乾燥といったサインが必ずあります。
日々患者さんに触れているセラピストは、その変化に最も早く気づける存在です。
悪化させないこと。
それもまた、重要なリハビリの役割です。
◼️ スキンテアは「全身状態のサイン」
スキンテアの背景には、
・栄養状態
・水分バランス
・活動量
・ケアの質
といった要素が隠れています。
つまり、スキンテアは単なる皮膚トラブルではなく、
その人の全体状態を映す鏡でもあります。
だからこそ、
「皮膚を守る」という行為は、「その人の生活を守る」ことに直結します。
◼️ おわりに
リハビリは、動かすことが仕事です。
しかし、動かすことだけが目的ではありません。
守ること。壊さないこと。
その上に成り立つのが、本来のリハビリです。
最後に一言でまとめるなら、
「動かす前に守る」
この視点があるかどうかで、同じリハビリでも結果は大きく変わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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