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臨床心理士ってどんな仕事?
病院で「こころ」を支える専門職
病院には、さまざまな専門職が働いています。
医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士……。
そのなかで、患者さんの「こころ」に深く関わる専門職の一つが、臨床心理士です。
「カウンセリングをする人でしょう?」
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。
もちろん、患者さんの話を聴くことは大切な仕事です。
しかし、実際の臨床心理士の仕事はそれだけではありません。
今回、病院で働く臨床心理士がどのような仕事をしているのかについて記事にしてみました。

臨床心理士とは?
臨床心理士は、心理学の知識や技法を使って、人のこころの問題に関わる専門職です。
不安や落ち込み、人間関係の悩みだけでなく、病気になったことによる心理的な負担、家族の悩み、発達上の問題など、さまざまな相談に関わります。
病院では「身体の病気」と「こころの問題」を完全に分けて考えることはできません。
突然病気になった。
これまでできていたことができなくなった。
仕事に戻れるかわからない。
家族に迷惑をかけたくない。
治療が怖い。
これから自分はどうなるのだろう。
患者さんは、身体だけでなくさまざまな心理的負担を抱えています。
そんなとき、患者さんのこころに寄り添うのが臨床心理士です。

① 患者さんの話を聴く
臨床心理士というと、まず思い浮かぶのが心理面接やカウンセリングでしょう。
ただし、単に「悩みを聞いてアドバイスする仕事」ではありません。
患者さんが何を感じ、何に困り、どのように物事を捉えているのか。
その人自身の言葉を大切にしながら、一緒に考えていきます。
ときには患者さんがほとんど話さないこともあります。
沈黙もまた、大切な時間です。
すぐに答えを出そうとせず、患者さんが自分の気持ちを言葉にできるまで待つ。
「話す」以上に「聴く」ことが求められる仕事なのかもしれません。

② 心理検査を行う
臨床心理士は、心理検査に関わることもあります。
心理検査というと、性格診断のようなものを想像するかもしれませんが、それだけではありません。
認知機能、発達、知能、性格や心理状態など、目的に応じてさまざまな検査があります。
大切なのは、単純に点数を出すことではありません。
検査結果だけでなく、検査中の患者さんの様子や答え方なども含めて、その人を総合的に理解していきます。
そして、その結果を診療や支援につなげます。
臨床心理士は「話を聴く専門家」であると同時に、心理学的な視点から人を評価する専門家でもあります。

③ 子どもへの心理的な支援
臨床心理士が関わるのは、大人だけではありません。
小児科や児童精神科などでは、子どもへの支援も行います。
しかし、小さな子どもが、
「私は今、このような心理的問題を抱えています」
などと説明してくれるわけではありません。
そこで、遊びや絵などが大切になることがあります。
積み木で遊ぶ。
絵を描く。
おもちゃを使う。
そんな何気ない活動のなかにも、その子の気持ちや特徴を理解する手がかりがあります。
言葉だけに頼らず、その子なりの表現を受け止めることも大切な仕事です。

④ 患者さんだけでなく家族も支える
病気になると、大きな影響を受けるのは患者さん本人だけではありません。
家族もまた、
「これからどうなるのだろう」
「自分に何ができるのだろう」
「どう接したらいいのかわからない」
といった不安を抱えることがあります。
介護や治療が長く続けば、家族自身が疲れてしまうこともあります。
臨床心理士は、必要に応じて家族の話を聴き、気持ちを整理する手助けをします。
患者さんを支えるためには、患者さんを支えている人にも目を向ける。
これも病院における心理支援の大切な部分です。

⑤ 病棟へ患者さんを訪ねることもある
心理士の仕事は、静かなカウンセリングルームだけで行われるとは限りません。
病院では、必要に応じて病棟で患者さんに関わることもあります。
入院中の患者さんは、病気そのものだけでなく、
「家に帰れるだろうか」
「仕事はどうなるのだろう」
「家族に迷惑をかけている」
など、さまざまな思いを抱えています。
ベッドの横に椅子を置いて話を聴く。
そんな一見地味な時間が、患者さんにとって大きな意味を持つことがあります。
病院の臨床心理士には、病気や障害、治療とともに生きる患者さんの心理を理解することが求められます。

⑥ チーム医療の一員として働く
患者さんを一人の専門職だけで支えることはできません。
そこで重要になるのが多職種連携です。
医師は病気や治療について考える。
看護師は日々の状態や生活をみる。
リハビリ職は身体機能や生活機能をみる。
そして臨床心理士は、心理面から患者さんを捉えます。
例えば、リハビリを拒否している患者さんがいたとします。
一見すると、
「やる気がない」
ように見えるかもしれません。
しかし、その背景には、
「また失敗するのが怖い」
「頑張っても元に戻らないのではないか」
「できなくなった自分を認めたくない」
といった気持ちが隠れている可能性があります。
臨床心理士から得られる心理的な視点によって、他のスタッフの患者さんへの関わり方が変わることもあります。
臨床心理士は、患者さんのこころと医療チームをつなぐ役割も担っています。

⑦ 面談が終わっても仕事は終わらない
患者さんとの面談が終わった。
「はい、今日の仕事は終わり!」
……というわけではありません。
面談後には記録を残します。
患者さんが何を話したのか。
どのような様子だったのか。
どのような心理状態が考えられるのか。
今後どのような支援が必要なのか。
必要な情報を整理し、記録します。
心理検査を行えば、採点や結果の整理、所見の作成なども必要です。
患者さんの前では見えにくい仕事ですが、こうした「裏方の仕事」も臨床心理士の重要な業務です。

臨床心理士の仕事は、きっと簡単ではない
ここまで見ると、
「人の話をじっくり聴く、穏やかな仕事」
という印象を持つかもしれません。
しかし、実際には精神的な負担の大きい仕事でもあります。
患者さんから語られるのは、明るい話ばかりではありません。
病気への恐怖。
家族との問題。
将来への不安。
喪失。
怒り。
後悔。
ときには、
「どうして自分だけがこんな目に遭うんですか?」
と問いかけられることもあるでしょう。
しかし、その問いに簡単な答えなどありません。
「大丈夫ですよ」
と軽々しく言うこともできません。
だからこそ、答えが見つからない苦しさのそばに居続けることそのものが仕事になる場合があります。
これは、かなり難しいことだと思います。
「何とかしてあげたい」と「何とかできる」は違う
人を支援する仕事をしていると、
「何とかしてあげたい」
と思うことがあります。
しかし、臨床心理士がすべての悩みを解決できるわけではありません。
病気そのものを治すことはできない。
失ったものを元に戻すこともできない。
家庭や仕事の問題をすべて解決できるわけでもない。
それでも、その人が自分の気持ちを整理し、自分なりの答えを見つけていく過程に付き合うことはできます。
支援者が答えを与えるのではなく、患者さん自身が答えを見つけられるよう支える。
そこには専門的な知識だけでなく、忍耐力も必要なのだと思います。
「聴く」という仕事は、外からは見えにくい
臨床心理士の仕事には、もう一つ難しさがあります。
成果が目に見えにくいことです。
手術なら、手術をしたことがわかります。
薬なら、処方したことがわかります。
リハビリなら、歩行距離や筋力などで変化を示せる場合があります。
一方、こころの変化は簡単には数字になりません。
一時間話をしても、患者さんの表情がほとんど変わらないこともあるでしょう。
それでも、その時間が無意味だったとは限りません。
その日に何も話せなかった患者さんが、次の面談で初めて本当の気持ちを話すかもしれない。
「あのとき話を聴いてもらえてよかった」
と、ずっと後になって感じるかもしれません。
すぐには結果が見えないものを信じて関わり続ける。
これも、臨床心理士という仕事の難しさであり、大切なところなのではないでしょうか。
おわりに――こころもチーム医療の一部
病院というと、どうしても検査や治療、薬、手術などに目が向きます。
しかし、病気になるのは「身体」だけではありません。
病気によって生活が変わり、仕事が変わり、家族との関係が変わり、ときには自分自身の見え方まで変わります。
だからこそ、身体を治療する医療のなかにも、こころを支える専門職が必要です。
患者さんの話を聴く。
心理検査をする。
子どもと遊びながら関わる。
家族を支える。
病室を訪ねる。
他の専門職と話し合う。
そして面談が終われば、静かに記録を書く。
派手な仕事ではないかもしれません。
けれど、その人が病気や困難を抱えながらも、自分なりに前へ進んでいくために、そばで支えている人がいます。
それが、病院で働く臨床心理士です。
追記:臨床心理士と公認心理師との違いは?心理カウンセラーはどんな人?
ところで、最近の話題。臨床心理士と公認心理師はどう違うのですかと良く聞かれます。
結論からいうと、臨床心理士と公認心理士の業務内容には大きな違いはありません。
ただ、臨床心理士が民間資格なのに対して公認心理師は国家資格です。
心理カウンセラーは心理学の知識を使ってカウンセリングを行う人のことで、資格の有無は問われなく、誰でも名乗ることができます。
もちろん有能なカウンセラーの方も多いですが、胡散臭い人も多いのも確かです。
誰とは言いませんが、テレビに出いる〇〇氏とか、〇〇さんとか‥。
おまけ:臨床心理士(公認心理師)のイラスト
以前描いた臨床心理士のイラストをいくつか載せておきます。
イラストはソーシャルワーカーやカウンセラーにも流用できますね。
是非、お使いくださいね。






ありがとうございました。
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