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リハビリで使い分ける3つの呼吸法(クマVer.)
リハビリの現場で、「呼吸の指導」をする場面は意外と多いものです。
しかし実際には、
「腹式呼吸をやりましょう」
「ゆっくり呼吸しましょう」
といった、やや曖昧な指導になってしまうことも少なくありません。
呼吸法にはそれぞれ役割があります。
そして、その役割を理解して使い分けることで、呼吸は“ただの空気の出し入れ”から、“身体機能を変える手段”へと変わります。
今回は、臨床でよく使う3つの呼吸法
- 胸式呼吸
- 腹式呼吸
- 口すぼめ呼吸
について、「適応・目的・やり方」を整理していきます。
◼️ 胸式呼吸 〜「胸を広げる」ことで、換気を取り戻す〜
胸式呼吸は、胸郭(肋骨)の動きを意識した呼吸です。
長期臥床や術後の患者さんでは、胸の動きが硬くなりやすく、呼吸は浅くなりがちです。
その結果、肺の一部がうまく使われず、無気肺のリスクも高まります。
こうしたときに胸式呼吸を行うことで、肺の上〜中部の換気を広げることができます。
適応
- 胸郭の可動性が低下している
- 術後や長期臥床
- 呼吸が浅い(特に上肺野の換気低下)
やり方
片手または両手を胸(みぞおちより上)に置きます。
動きを感じるための「センサー」の役割です。
息を吸うときに 胸がふくらむ(肋骨が広がる)ことを意識します
このとき、お腹はあまり動かさないのがポイントです。

息を吐くときは、胸がしぼむ(元に戻る)感覚を意識します
力まず、ゆっくり吐きましょう。

臨床でのポイント
よくあるのは、肩をすくめてしまう代償です。
「肩ではなく、肋骨が広がる」ことを触診で伝えると、ぐっと質が上がります。
◼️ 腹式呼吸〜効率の良い“省エネ呼吸”を取り戻す〜
腹式呼吸は、横隔膜を主体とした呼吸です。
呼吸が浅く速い人は、無意識に胸や肩の筋肉を使ってしまい、エネルギー効率が悪くなっています。
腹式呼吸はその状態を整え、少ないエネルギーで安定した呼吸を可能にします。
適応
- 呼吸が浅く速い(努力性呼吸)
- COPDなど呼吸効率が低下している場合
- 不安や緊張が強い場面
やり方
胸とお腹に手を当て、
「お腹がふくらむように吸う」

「吐くときにお腹がへこむ」
ことを確認します。

臨床でのポイント
「胸が動かない=良い」と思いすぎると、逆に不自然になります。
まずは仰向けで感覚をつかみ、徐々に座位や立位へつなげていくと自然に習得できます。
◼️ 口すぼめ呼吸 〜“吐けない呼吸”を変える〜
口すぼめ呼吸は、「吐くこと」を助ける呼吸法です。
特にCOPDの患者さんでは、呼気のときに気道がつぶれやすく、空気が外に出にくい状態になります。
その結果、「吸えない」のではなく、「吐けない」ことで苦しくなるのです。
口すぼめ呼吸は、呼気に軽い抵抗をかけることで気道を保ち、空気を外へ逃がしやすくします。
適応
- COPD
- 労作時の息切れ
- 呼気が短く浅い
やり方
鼻から吸い、口をすぼめて「スーッ」と細く長く吐きます。
目安は
吸う:吐く=1:2〜3
臨床でのポイント
強く吹きすぎると逆効果です。
「ろうそくを優しく揺らすくらい」がちょうど良い感覚です。
また、歩行や立ち上がりと組み合わせることで、実用的な呼吸になります。
◼️ 呼吸法の使い分け 〜“何を改善したいか”で選ぶ〜
3つの呼吸法は、それぞれ役割が異なります。
- 胸式呼吸:換気を広げる
- 腹式呼吸:効率を高める
- 口すぼめ呼吸:呼気を整える
つまり、
- 胸が動かない → 胸式呼吸
- 呼吸が浅い → 腹式呼吸
- 息が吐けない → 口すぼめ呼吸
という視点で選ぶと、臨床で迷いにくくなります。
◼️ 呼吸は「練習」より「使い方」
呼吸法は、ベッド上で練習するだけでは不十分です。
本当に大切なのは、日常動作の中で使えることです。
- 立ち上がるときに口すぼめ呼吸
- 歩行中にリズムを合わせる
- 不安が強いときに腹式呼吸
こうして“生活の中に入り込んだ呼吸”こそが、患者さんを楽にします。
呼吸は目に見えにくい分、つい後回しになりがちです。
ですが、呼吸が変わると、動きも、表情も、活動量も変わります。
だからこそ、
「どの呼吸法を使うか」だけでなく、
「なぜそれを使うのか」を大切にしたいところです。
ありがとうございました。
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