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なぜ臥床患者は股関節が外旋拘縮になりやすいのか
―臨床でよく見る「あの姿勢」の理由―
長期臥床の患者さんを診ていると、よく見かける姿勢があります。
股関節が外旋して、足先が外に倒れている姿勢です。

気づいたときにはすでに可動域が制限されており、
「いつの間にか股関節が外旋拘縮になっていた」
という経験をしたセラピストも多いのではないでしょうか。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
実はこれには、いくつかの要因が重なっています。
1. 人の股関節はもともと外旋しやすい
まず大前提として、仰臥位で脱力すると下肢は自然に外旋します。
試しに自分でベッドに仰向けになってみると分かりますが、
意識していないと足先は自然に外側へ向きます。
これは股関節の筋の構造が関係しています。
股関節には次のような外旋筋群があります。
- 梨状筋
- 内閉鎖筋
- 外閉鎖筋
- 上双子筋
- 下双子筋
- 大腿方形筋
- 大殿筋後部
これらは股関節の深部にある短く強い筋で、
股関節を外旋方向へ安定させる役割を持っています。

一方、内旋を主に担う筋は
- 中殿筋前部
- 小殿筋
- 大腿筋膜張筋
などで、外旋筋群に比べると数が少なく、力学的にも弱い傾向があります。


つまり股関節は構造的に
外旋方向にバランスが傾きやすい関節
なのです。
2. 仰臥位では重力が外旋を作る
仰臥位では、下肢の重さによって脚が外側に倒れます。
影響するのは
- 大腿の重量
- 下腿の重量
- 足部の重さ
です。
これらの重さが外側へ働くため、股関節は自然に外旋します。

そして臥床が長くなるほど、
その姿勢が「一番楽な姿勢」になってしまうのです。
3. 一度外旋すると姿勢が固定されやすい
ベッド上では
- 踵
- 下腿外側
- 大腿外側
がマットレスに接触します。
股関節が外旋すると、これらの接触面が増え、
摩擦によってその姿勢が保たれます。
つまり
外旋位は崩れにくい姿勢
なのです。
この状態が続くと
- 筋
- 筋膜
- 関節包
が徐々に短縮し、拘縮へと進んでいきます。
4. 臥床では内旋筋がほとんど使われない
もう一つ大きな要因があります。
それは
内旋筋の活動低下です。
臥床生活では
- 中殿筋前部
- 小殿筋
- 大腿筋膜張筋
といった内旋筋群はほとんど活動しません。
その結果
外旋筋 > 内旋筋
という筋バランスがさらに強くなります。
この状態が続くと、
股関節は徐々に外旋位で固定されていきます。
5. 拘縮は「筋の問題」だけではない
臨床でよく誤解されるのですが、
股関節外旋拘縮は筋力だけの問題ではありません。
むしろ多くの場合、
ポジショニングの問題
です。
例えば
- 足先が外側に倒れたまま
- 大腿が外旋位のまま
- 体位交換でも修正されない
この状態が何日も続くと、
身体はその姿勢に適応してしまいます。
つまり拘縮は
自然に起こるというより、作られてしまうもの
とも言えるのです。
6. 臨床でできる予防
股関節外旋拘縮の予防は、特別なことではありません。
むしろとてもシンプルです。
例えば
- 両膝関節の下にタオルロールを入れる

- 大転子外側にタオルロールを入れる

- 股関節中間位を保つ
- 内旋方向のROM運動
- 早期離床
この中でも特に効果が高いのは
大転子外側のポジショニング
です。
ほんの小さな工夫ですが、
それだけで拘縮の進行を防げることも少なくありません。
最後に
臥床患者の股関節外旋拘縮は、
リハビリの現場ではとてもよく見られる問題です。
しかしその多くは、
筋の問題というより姿勢の問題です。
ほんの少しのポジショニングの違いが、
数週間後の関節可動域を大きく左右することがあります。
ベッドサイドで見かける
「足先が外を向いた姿勢」。
それは拘縮の始まりかもしれません。
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