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理学療法士(PT)とは?
「歩く」だけではない、身体と生活を支える専門職
「理学療法士って、どんな仕事をしている人ですか?」
そう聞かれると、
「リハビリをする人」
「歩く練習をしてくれる人」
「筋トレをする人」
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。
もちろん、どれも間違いではありません。
でも、理学療法士の仕事はもう少し広いものです。
患者さんの身体を評価し、なぜ動きにくいのかを考え、その人がもう一度「起きる」「立つ」「歩く」といった動作を獲得し、できるだけ自分らしい生活へ戻っていけるよう支援する。
それが理学療法士(Physical Therapist:PT)の大切な役割です。

理学療法士は「動くこと」を支える専門職
病気やけがをすると、それまで当たり前にできていたことが突然難しくなることがあります。
ベッドから起きられない。
一人で立てない。
歩くとふらつく。
階段が上れない。
外へ出るのが怖い。
そんな患者さんに対して、理学療法士は身体機能だけではなく、実際の「動作」を見ながら、その原因と改善方法を考えていきます。
対象となるのは、脳卒中、骨折、関節疾患、心臓病、呼吸器疾患、神経疾患、がんなど実にさまざまです。
高齢者だけでもありません。子どもから高齢者まで、病気や障害によって「動くこと」に困難を抱える人が理学療法の対象になります。
まずは「評価」するところから始まる
理学療法というと、すぐに運動や歩行練習を始めるイメージがあるかもしれません。
しかし、その前にとても重要な仕事があります。
評価です。
関節がどのくらい動くのかを調べる
例えば膝が曲がりにくい患者さんがいたとします。
「膝が曲がらないですね」
それだけでは十分ではありません。
理学療法士は実際に関節を動かし、必要に応じてゴニオメーター(角度計)を使って、どのくらい動くのかを測定します。
そして、
「なぜ動かないのだろう?」
と考えます。
痛みなのか。
筋肉が硬いのか。
関節そのものに問題があるのか。
評価は、その後の治療を考えるための出発点です。

筋力も調べる
「では、力を入れてください」
理学療法士からこんなことを言われた経験がある人もいるでしょう。
患者さんの脚などを一定の方向から押し、それに抵抗してもらうことで筋力を調べます。
代表的な方法の一つがMMT(徒手筋力検査)です。
ただし、ここでも単に、
「筋力が弱い」
で終わるわけではありません。
その筋力低下が、
立ち上がれないことや歩きにくさと、どう関係しているのか。
そこまで考えることが重要です。

「起きる・立つ」も立派なリハビリ
人間の生活を考えてみると、歩く前に必要な動作があります。
寝返る。
起き上がる。
座る。
立ち上がる。
こうした動作を「基本動作」と呼びます。
例えばベッドから立ち上がれない患者さんがいたとき、ただ身体を持ち上げてあげるだけではありません。
足の位置はどうか。
身体を前に傾けられているか。
どこに力を入れているか。
左右どちらかに偏っていないか。
理学療法士は患者さんを介助しながら、同時にこうしたことを観察しています。
介助する手そのものが、評価する手でもあるのです。

やっぱり代表的なのは「歩行練習」
理学療法士の仕事として最もイメージしやすいのが歩行練習でしょう。
杖を使ったり、歩行器を使ったり、必要に応じて身体を支えたりしながら練習します。
大切なのは、ただ長い距離を歩かせることではありません。
安全に歩けるのか。
ふらつきはないか。
足をきちんと前へ出せているか。
疲労や息切れはどうか。
転倒する危険はないか。
患者さんの状態を見ながら、難易度を調整します。(難易度の評価は大切!)

平行棒は「歩くための教室」
リハビリ室でよく見かけるのが平行棒です。
左右に手すりがあるため、まだ歩行が不安定な患者さんでも比較的安全に練習できます。
しかし理学療法士は、ただ後ろからついて歩いているわけではありません。
足の出し方、体重の移動、姿勢、ふらつきなどを観察しています。
必要なところだけを助け、できる部分は患者さん自身に行ってもらう。
実は、この「どこまで手伝うか」の判断も難しいところです。
助けすぎれば患者さん自身の能力を引き出せません。
しかし、助けなさすぎれば転倒につながる可能性があります。
「できること」と「危ないこと」の境界を見極める。
理学療法士にはそんな判断も求められます。

運動にも「理由」がある
セラバンド(ゴムバンド)などを使った筋力トレーニングも行います。
ここで大切なのは、
とにかく筋肉を鍛えればいいわけではない
ということです。
どこの筋力が低下しているのか。
その筋力低下によって、どんな動作が難しくなっているのか。
どの程度の負荷なら安全なのか。
そうしたことを考えて運動を選択します。
つまり理学療法士は、単に患者さんと一緒に運動する人ではなく、その人に必要な運動を考え、処方し、指導する専門職でもあります。

バランスも大切な身体機能
歩くためには筋力だけでなく、バランス能力も必要です。
立っているだけなら大丈夫でも、足を一歩前へ出した瞬間にふらつく人もいます。
そこで安全を確保しながら、さまざまな条件でバランス練習を行います。
ただし、難しくすればよいわけではありません。
簡単すぎれば練習にならず、難しすぎれば転倒につながります。
患者さんの能力よりほんの少し難しい課題を設定する。
ここにも理学療法士の判断が必要になります。

階段は「生活」に直結する
平らなところを歩けるようになった。
「それなら退院できますね」
……とは限りません。
自宅の玄関には段差があるかもしれません。
寝室が2階にある人もいるでしょう。
そこで階段昇降や段差越えなど、実際の生活を想定した練習を行います。
理学療法士が見ているのは、リハビリ室の中だけではありません。
その先にある患者さんの生活です。

理学療法士は「歩き方を見る人」でもある
患者さんの歩行評価は、理学療法士という職業を理解するうえでとても重要です。
患者さんを少し離れたところから歩かせ、理学療法士がじっと観察する。
一見すると、
「何もしていないじゃないか」
と思われるかもしれません。
しかし、頭の中ではかなり多くのことを考えています。
歩幅はどうか。
左右差はあるか。
足はどのように床についているか。
膝は安定しているか。
骨盤や体幹はどう動いているか。
そして、
「なぜ、この歩き方になっているのだろう?」
と考えます。
理学療法士にとって、「見る」ことも大切な技術なのです。

病院で歩けても、自宅で歩けるとは限らない
病院の廊下は平らです。
手すりもあります。
障害物も少なく、照明も明るい。
でも、自宅は違います。
玄関には段差があり、廊下は狭く、階段があり、家具も置かれています。
そこで必要に応じて実際の生活環境を確認し、
「この段差を越えられるだろうか」
「ここに手すりがあった方がいいのではないか」
「この杖で本当に安全だろうか」
と考えます。
リハビリ室でできることを、生活の中でできることへ変えていく。
これも理学療法士の大切な仕事です。

自分で続けられる方法を伝える
理学療法士が患者さんと一緒にいられる時間には限りがあります。
だからこそ、自主トレーニングも大切です。
ただ、
「これを10回やってください」
と紙を渡すだけでは十分ではありません。
正しい方法を実演し、患者さんにもやってもらい、安全に続けられるかを確認します。
そして、その人の生活に合わせて、
「いつやるのか」
「どのくらいやるのか」
「どんなときには中止するのか」
まで考える必要があります。
最終的には、理学療法士がいなくても患者さん自身で身体を管理できることを目指します。

一人では患者さんの生活を支えられない
理学療法士だけで患者さんを支えることはできません。
医師、看護師、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなど、多くの専門職と情報を共有します。
理学療法士からは、
「歩行はここまでできています」
「階段は見守りが必要です」
「自宅ではこの移動方法が安全だと思います」
といった、身体機能や移動能力についての情報を伝えます。
そして他職種から得た情報も合わせながら、その患者さんにとってより良い支援を考えていきます。

理学療法士の仕事は、楽しいことばかりではない
ここまで読むと、患者さんが少しずつ歩けるようになり、最後には元気に退院していく。
そんな仕事に見えるかもしれません。
もちろん、そういう瞬間は大きな喜びです。
しかし、実際の臨床では、思うようにいかないことも少なくありません。
昨日できたことが、今日はできない。
一生懸命リハビリを続けても、なかなか改善しない。
病気そのものが進行していく。
患者さんは「歩きたい」と希望しているけれど、安全を考えると一人歩きを勧められない。
本人は家に帰りたい。
家族は「一人では無理です」と言う。
理学療法士自身も、
「もう少し何かできることがあるのではないか」
と悩むことがあります。

「歩けるようにする」ことだけが正解ではない
理学療法士にとって、ときに難しいのが「目標を変える」という判断です。
病気や障害によっては、以前とまったく同じように歩くことが難しい場合もあります。
そんなとき、
「もっと頑張って歩きましょう」
と言い続けることだけがリハビリではありません。
杖を使う。
歩行器を使う。
車椅子を利用する。
手すりを設置する。
人の助けを借りる。
一見すると「できなくなったことを認める」ように見えるかもしれません。
しかし、補助具や環境を利用することで、もう一度行ける場所が増えることもあります。
歩くことそのものではなく、その人が生活を取り戻すこと。
そこを見失わないことが大切なのだと思います。
それでも、この仕事には大きなやりがいがある
最初はベッドから起きるだけでも大変だった患者さんが、自分で座れるようになる。
初めて立てた。
平行棒の中で一歩出た。
杖を使って病棟を歩けるようになった。
階段を上れるようになった。
そして、
「家に帰れそうです」
と言ってくれる。
理学療法の変化は、とても小さな一歩から始まることがあります。
でも、その一歩が患者さんにとっては、
トイレへ行ける一歩かもしれない。
家族と暮らすための一歩かもしれない。
もう一度外へ出るための一歩かもしれない。
だから理学療法士は、その一歩の意味を考えます。(↓はイメージ画です)

理学療法士が見ているのは「身体」だけではない
関節を測る。
筋力を調べる。
運動する。
立つ。
歩く。
階段を上る。
これだけを見ると、理学療法士は「身体を治す仕事」に見えるでしょう。
しかし、その先には必ず生活があります。
「もう一度、自分でトイレへ行きたい」
「家の階段を上りたい」
「買い物へ行きたい」
「家族と旅行したい」
そんな希望を実現するために、身体と動作を考える。
それが理学療法士という仕事なのだと思います。
理学療法士が支えているのは、歩くことだけではありません。
その人が、その人らしい生活へもう一度歩き出すことを支える仕事なのです。
理学療法士のイラスト
理学療法士のイラストを描いてみました。
理学療法士は一般に「筋肉バカ」と言われたりしています(笑)。そんなイメージで描いてみました。






走っている姿。(病棟内を走り回っています)

あっちこっち‥

もし使えるものがあれば、遠陵なく!
ありがとうございました。
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