チーム医療のイラスト その33(臨床工学技士:ME)

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臨床工学技士は医療機器と患者さんを支える「機械のスペシャリスト」

臨床工学技士(ME)とは      

病院には、医師や看護師だけでなく、さまざまな専門職が働いています。

その中でも、一般の方には少し名前が知られていない職業のひとつが「臨床工学技士(Clinical Engineer:CE)」ではないでしょうか。

私が勤めている病院ではME(Medical Engineer)と呼ばれています。多分日本では、こっちの呼び方の方がポピュラーかもしれませんね。

「工学」という名前がついているので、

「病院の機械を修理する人?」

と思われるかもしれません。

もちろん医療機器の点検や管理も大切な仕事です。

しかし、それだけではありません。

臨床工学技士は、医学と工学の両方の知識を持ち、人工呼吸器や人工心肺装置、透析装置などの生命維持管理装置を安全に操作・管理する専門職です。

患者さんの命を支える医療機器と、人との間をつなぐ存在ともいえるでしょう。

臨床工学技士(ME)の仕事:イラストを交えて説明します

今回、臨床工学技士の業務内容についてイラストを交えて紹介します。

 

医療機器を安全に使えるようにする

病院には、本当にたくさんの医療機器があります。

人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプ、生体情報モニター……。

普段何気なく使われている機械でも、正しく作動しなければ患者さんの安全に関わります。

そこで臨床工学技士が、機器が正常に動くか、異常がないかを確認します。

一見すると地味な仕事かもしれません。

しかし、「必要なときに、機械が当たり前に動く」ことを支える仕事なのです。

透析医療を支える

臨床工学技士の代表的な仕事のひとつが、血液透析です。

透析では、患者さんの血液を体外に取り出し、透析装置を通して余分な水分や老廃物などを取り除き、再び体へ戻します。

臨床工学技士は透析装置の準備や操作、管理を行いながら、治療が安全に進んでいるか確認します。

つまり、ただ機械の画面を見ているわけではありません。

機械の向こう側には、必ず患者さんがいます。

装置の状態と患者さんの状態、その両方を見ることが求められます。

心臓手術では人工心肺装置を扱うことも

心臓の手術では、一時的に心臓や肺の働きを人工的に代わってもらう必要がある場合があります。

そこで使われるのが人工心肺装置です。

手術中、臨床工学技士は医師や看護師などと連携しながら、装置を操作・管理します。

患者さんの命を支える装置ですから、小さな変化にも注意しなければなりません。

高度な知識だけでなく、集中力と冷静な判断が求められる仕事です。

ICUには機械がいっぱい

ICU(集中治療室)に入ると、患者さんの周囲にはたくさんの機械があります。

人工呼吸器、生体情報モニター、輸液ポンプなど、患者さんの状態によって複数の医療機器が同時に使われます。

臨床工学技士は、それらが適切に作動しているかを確認します。

機械が増えれば、それだけ確認する項目も増えます。

「電源が入っているから大丈夫」

というわけではありません。

設定は適切か。

回路に問題はないか。

アラームはなぜ鳴ったのか。

機器と患者さんの状態を結びつけて考える必要があります。

「機械がおかしいです!」

病棟では、こんな場面もあります。

「すみません、機械のアラームが鳴っています!」

「この輸液ポンプ、ちょっとおかしい気がします」

そんなとき、臨床工学技士が呼ばれることがあります。

ところが、確認してみると……

機械そのものは壊れていなかった💢

ということもあります。

チューブの状態、機器の設定、センサーの取り付け方など、さまざまな原因が考えられます。

だから臨床工学技士は、単に「壊れた機械を修理する人」ではありません。

なぜアラームが鳴ったのかを考え、必要に応じてスタッフへ使い方を説明する。

これも医療安全を守る大切な仕事です。

見えないところでも機械を守っている

患者さんが目にする臨床工学技士の仕事は、ほんの一部かもしれません。

患者さんがいないところでも、医療機器を点検したり、整備したりしています。

輸液ポンプやシリンジポンプなどを一台ずつ確認し、

「異常なし」

とチェックしていきます。

華やかな仕事ではありません。

しかし、この積み重ねがあるからこそ、医師や看護師が必要なときに安心して機器を使用できます。

事故が起きないようにする仕事は、事故が起きなければ目立ちません。

臨床工学技士の仕事には、そんな「見えにくい大切さ」があります。

心臓カテーテル治療にも参加する

臨床工学技士が活躍するのは、人工呼吸器や透析だけではありません。

病院によって担当する業務は異なりますが、心臓カテーテル検査・治療など、循環器領域に関わることもあります。

さまざまな機器やモニターを確認しながら、医師や看護師などと連携して治療を支えます。

ここでも大切なのは、

「機械だけを見るのではなく、チームの一員として患者さんを支える」

ということです。

 

ペースメーカーにも関わる

ペースメーカーなどの植込み型心臓デバイスに関わる業務を担当する臨床工学技士もいます。

専用の機器を使って情報を確認し、医師などと連携します。

一般の方からすると、

「そんな仕事まで臨床工学技士がしているの?」

と思うかもしれません。

実際、臨床工学技士の仕事は非常に幅広いのです。

患者さんへの説明も大切な仕事

医療機器に囲まれた患者さんは、不安を感じることがあります。

大きな機械。

聞き慣れないアラーム音。

たくさんのチューブ。

医療者には見慣れた光景でも、患者さんにとっては初めて見るものかもしれません。

そんなとき、

「これは呼吸を助けるための機械ですよ」

「この部分を確認しています」

と説明してもらえるだけでも、安心につながることがあります。

臨床工学技士が向き合っているのは、機械だけではありません。

その機械を必要としている患者さんなのです。

臨床工学技士の苦労

ここまで読むと、

「機械に詳しくて格好いい仕事だな」

と思うかもしれません。

でも、当然ながら苦労もあります。

たとえば医療機器のアラーム。

アラームが鳴れば、

「機械がおかしい!」

と呼ばれることがあります。

しかし、アラームは故障だけを知らせているわけではありません。

患者さんの状態、回路、センサー、設定など、原因はいろいろあります。

「とりあえずCEさんを呼ぼう!」

となることもあるでしょう。

頼りにされている証拠ではありますが、臨床工学技士としては、

「まず、何が起きているのか確認してほしい……💢」

と思う場面もあるかもしれません。

また、新しい医療機器は次々に登場します。

機種が変われば操作方法も変わります。

安全に使うためには、臨床工学技士自身が勉強を続けなければなりません。

さらに、人工心肺や人工呼吸器など、患者さんの生命に直結する機器を扱う場面では、

「間違えられない」という大きな責任があります。

機械に強いだけでは務まりません。

知識、技術、集中力、判断力、そして他職種とのコミュニケーション。

多くの力が必要になります。

 

チーム医療の中の臨床工学技士

患者さんを支えるのは、一つの職種だけではありません。

医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士など、さまざまな専門職が関わっています。

臨床工学技士も、そのチームの一員です。

人工呼吸器を使用している患者さんなら、

「現在どのような設定なのか」

「機器の状態に問題はないか」

といった情報を共有することもあります。

それぞれの職種が違う角度から患者さんを見る。

そして情報を持ち寄る。

それがチーム医療です。

臨床工学技士は、その中で医療機器と工学の専門家として患者さんを支えています。

機械を守ることは、患者さんを守ること

臨床工学技士という名前を、病院で大きく目にすることは少ないかもしれません。

でも、人工呼吸器が安全に動いている。

透析治療が行われている。

手術中に人工心肺装置が動いている。

輸液ポンプがきちんと点検されている。

その「当たり前」の裏側に、臨床工学技士がいることがあります。

機械を扱う専門家。

でも、その目的は機械を守ることだけではありません。

機械を安全に使えるようにすることで、その先にいる患者さんを守る。

それが、臨床工学技士という仕事なのだと思います。

今度病院で青いスクラブを着て、医療機器を真剣に確認している人を見かけたら――

もしかすると、その人は臨床工学技士かもしれません。

 

終わりに

僕が勤務している病院には人工呼吸器を使用している方が多く入院しているので、臨床工学技士の数も多く、いつも忙しそうに仕事をしています。

はっきり言って激務です。機器に不具合があったら即呼ばれ、休日でも病院に呼ばれます。

当院が工学技師の人数が少ないこともあるのでしょうが、本当に大変な仕事です。

人の命に直結する仕事ですからね。

特に医療技術は急速に進化しており、新しい医療機器やシステムが頻繁に導入されていますから、臨床工学技士は常に最新の知識やスキルを習得し、それに対応する必要があります。常にアップデート、大変です。

それに高齢化はどんどん進んでいるので、機器を使用する患者は増加するでしょうし、今後需要が拡大する職業でしょう。

 

 

ありがとうございました。

 

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