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中臀筋のトレーニング|片脚立位で骨盤をコントロールする練習
中臀筋は、歩行中にどのように働くのか?
これまでブログでは、中臀筋のトレーニングをいくつか紹介してきました。
仰向けで行う方法(→こちら)
横向きで行う方法(→こちら)
立位で行う方法(→こちら) があります。
今回は、少し実践的な運動を紹介したいと思います。
歩行中、中臀筋は特に立脚期に重要な働きをしています。
例えば、右脚で身体を支えているとき、反対側の骨盤には重力によって下がろうとする力が働きます。
このとき、右側の中臀筋をはじめとする股関節外転筋群が働き、骨盤が過度に下降するのを防ぎます。
もし、この働きが不十分であれば、反対側の骨盤が下がったり、体幹を支持脚側へ傾けたりすることがあります。
いわゆるトレンデレンブルグ徴候や、デュシェンヌ型の代償動作ですね。
ただし、こうした現象が必ずしも中臀筋の筋力低下だけで起こるわけではありません。
疼痛や感覚障害、バランス能力、運動制御なども関係しています。
今回は、そうした片脚支持時の骨盤制御に着目した運動です。
今回の運動の目的
この運動は、台の上に片脚で立ち、壁を利用しながら骨盤や体幹の位置を調整するものです。
最初は壁に軽く身体を預け、そこから少しずつ壁への支持を減らしていきます。
壁に頼っていた身体を、自分の支持脚で支える状態へ移していくわけです。
ここで大切なのは、単に中臀筋を強く収縮させることではありません。
股関節外転筋群を含めた支持脚の筋活動によって、骨盤と体幹をコントロールすることが目的です。
もちろん、筋力が不足している場合には、別途筋力強化も必要です。
この運動だけですべてを解決しようというものではありません。
運動の方法
① 台の上に片脚で立つ
壁の近くに、5cm程度の低い台を置きます。
片脚を台に乗せ、反対側の脚は台の外へ下ろします。
支持脚の膝は軽く伸ばし、無理のない姿勢をとります。
最初は壁に手や前腕を添え、必要に応じて身体を軽く預けて構いません。
ただし、壁への荷重量が変わると股関節にかかる負荷も変わるため、姿勢を確認しながら行います。
また、台が滑ったり不安定になったりしないように注意してください。

② 壁への支持を少しずつ減らす
開始姿勢から、壁に預けていた体重を少しずつ支持脚へ移していきます。
このとき、支持脚側の股関節外転筋群が骨盤を支える役割を担います。
反対側の骨盤が大きく下がらないように注意しましょう。
ただし、骨盤を水平に保とうとして、無理に体幹を反対方向へ傾ける必要はありません。
骨盤だけでなく、体幹や股関節の位置も確認します。
壁から完全に離れることが目標ではありません。
適切な姿勢を保てる範囲で、支持を少しずつ減らしていきます。

③ 骨盤の下降・挙上を加える
姿勢が安定してきたら、反対側の骨盤を小さく上下させる運動を加えてもよいでしょう。
例えば、右脚で立っている場合です。
左側の骨盤をゆっくり下げると、右側の股関節外転筋群は、その動きを制御するために主に遠心性に働きます。
そこから左側の骨盤を水平位へ戻すときには、右側の股関節外転筋群が主に求心性に働きます。
水平位を保持する際には、等尺性収縮の要素が大きくなります。
このように、骨盤を上下させる運動では、筋力を発揮するだけでなく、動きをコントロールすることも求められます。
ただし、骨盤の動きを大きくする必要はありません。
まずは小さな範囲から始めましょう。

壁への支持を減らすことの意味
壁に身体を預けている状態では、壁から受ける反力によって、股関節に必要な力が変化します。
そこから壁への支持を減らしていくと、支持脚自身で身体を支える割合が増えていきます。
ただし、股関節外転筋群にかかる負荷は、単純に壁から離れた距離だけで決まるものではありません。
壁に加える力の方向や大きさ、体幹の傾き、重心の位置などによって変わります。
したがって、「壁から離れるほど中臀筋の負荷が必ず大きくなる」とは言い切れません。
セラピストは、壁への荷重量と姿勢の変化を観察しながら、運動の難易度を調整する必要があります。
骨盤を水平に保つことだけが目標ではない
歩行中、骨盤は常に完全な水平を保っているわけではありません。
実際には、歩行周期に応じて骨盤の傾斜や回旋が生じています。
大切なのは、骨盤を固定することではなく、必要な範囲で動きを制御できることです。
そのため、今回の運動でも、ただ骨盤を水平に保たせるだけでなく、姿勢の変化に応じて身体を支えられるかを見ていきたいものです。
セラピストが確認したいポイント
この運動は、見た目以上に繊細です。
例えば、次のような点を確認します。
- 壁にどの程度体重を預けているか
- 体幹を支持脚側へ大きく傾けていないか
- 支持脚の膝が過度に曲がったり、内側へ入ったりしていないか
- 骨盤の下降や挙上を無理なくコントロールできているか
- 疼痛や不安定感が生じていないか
必要に応じて、セラピストが骨盤の動きを誘導したり、鏡などを使って姿勢を確認したりする方法も考えられます。
ただし、タッピングによって中臀筋の収縮タイミングが再学習されるとまでは、簡単には言えません。
触覚的な手がかりとして用いる場合も、その効果を確認しながら行う必要があります。
この運動で歩行は改善するのか?
今回の運動は、片脚支持時の骨盤・体幹制御を練習するものです。
その意味では、歩行に必要な要素の一つを練習していると言えるでしょう。
ただし、台の上で片脚立位が上手になったからといって、そのまま歩行が改善するとは限りません。
歩行には、前方への重心移動、左右の荷重の切り替え、下肢の振り出しなど、さまざまな要素が必要です。
したがって、この運動を行うだけでなく、実際の立位や歩行の中で、どのような変化が生じているかを確認することが大切です。
運動を行う際の注意点
今回の運動は片脚支持を伴うため、バランス能力が不十分な方には転倒の危険があります。
特に、低い台であっても、片脚を台の外へ下ろした姿勢では不安定になる場合があります。
最初はセラピストなどの見守りや介助のもとで行い、安全な支持物を確保してください。
また、股関節や膝関節に痛みがある場合、術後の荷重制限がある場合などには、実施の可否や負荷を個別に判断する必要があります。
無理に壁から離れたり、骨盤を大きく上下させたりする必要はありません。
まとめ
今回は、壁を利用した片脚立位での骨盤制御運動を紹介しました。
中臀筋をはじめとする股関節外転筋群は、歩行中の片脚支持において重要な役割を担っています。
今回の運動では、壁への支持を利用しながら、徐々に支持脚で身体を支える練習を行います。
さらに、必要に応じて骨盤の下降・挙上を加えることで、股関節外転筋群による動きの制御を練習することもできます。
ただし、これを単純に「中臀筋の収縮タイミングを再学習する運動」と説明するのは適切ではないと思います。
筋力、バランス、姿勢制御、そして実際の歩行。
それぞれを評価しながら、必要な運動を選択していきたいものです。
一つの運動に、あまり多くの効果を期待しすぎないことも大切なのかもしれません。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
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