クアド・セッティング(パテラ・セッティング)をイラストで紹介

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クアド・セッティングとは?膝を動かさずに大腿四頭筋を働かせる基本練習

今回は「クアド・セッティング」を紹介します。

「パテラ・セッティング」と呼ばれることもあります。

リハビリの現場では昔からよく行われている、とても基本的な運動です。

見た目は地味です。

重りを持ち上げるわけでもありませんし、スクワットのように大きく身体を動かすわけでもありません。

でも、真面目にやれば、それなりに疲れますよ。

そして、この「ほとんど動かない」というところに、この運動の特徴があります。

クアド・セッティングとは?

クアド(quad)は、大腿四頭筋(quadriceps)のことです。

大腿四頭筋は太ももの前にある大きな筋肉で、主に膝を伸ばす働きをしています。

クアド・セッティングでは、膝を大きく曲げ伸ばしするのではなく、膝を伸ばす方向へ力を入れて、大腿四頭筋を収縮させます。

このように、関節を大きく動かさずに筋肉へ力を入れる方法を「等尺性収縮」といいます。

そのため、膝を大きく動かしにくい時期でも取り入れやすい運動です。

膝の手術後や外傷後などでは、大きな運動を始める前の段階で使われることがあります。

また、膝OAなどでも、症状や状態に合わせて大腿四頭筋の運動として用いられます。

ただし、「膝に負担がない運動」という意味ではありません。

痛みや腫れ、手術後の制限などがある場合には、その人の状態に合わせて行う必要があります。

なぜ膝を動かさないのに筋トレになるの?

ここは、患者さんからすると少し不思議かもしれません。

「膝を曲げ伸ばししていないのに、本当に筋トレになっているの?」

と思いますよね。

筋肉は、必ずしも関節を大きく動かさなければ働かないわけではありません。

クアド・セッティングでは、膝を伸ばす方向へ力を出しながら、大腿四頭筋を収縮させます。

外から見るとほとんど動いていなくても、太ももの前を触ってみると硬くなっているのが分かると思います。

「動いていない=筋肉が働いていない」ではないのです。

クアド・セッティングの方法

では、やってみましょう。

開始姿勢は仰向けでも良いし、上体を起こしても良いです。

まず、鍛えたい側の膝の下にタオルを丸めて挿入します。

その状態から、膝の裏でタオルを押しつぶすように力を入れて、5〜10秒程度保持して力を抜きます。

(このとき、つま先を上に向けると効果的です。)

これを繰り返します。

 

 

タオルは何のために入れるの?

「そのうちタオルなしでやるなら、最初からいらないのでは?」

と思うかもしれません。

でも、タオルには意味があります。

膝の裏にタオルがあると、

「ここを押してください」

という分かりやすい目標ができます。

単に、

「太ももに力を入れてください」

と言われても、意外と難しいものです。

特に手術後や痛み・腫れがある場合などでは、大腿四頭筋をうまく収縮させにくいことがあります。

そんなとき、

膝の裏でタオルを押す

という具体的な課題にすると、何をすればよいのか分かりやすくなります。

つまりタオルは、単なるクッションではなく、力を入れる方向を分かりやすくする目印にもなっているわけです。

慣れてきて、タオルがなくても大腿四頭筋をしっかり収縮できるのであれば、必ずしもタオルにこだわる必要はありません。

 

「力を入れてください」で力が入るとは限らない

クアド・セッティングをお願いすると、すぐにできる人もいれば、なかなかできない人もいます。

本人は一生懸命なのですが、

お尻に力が入る。

足首ばかり力む。

息を止めてしまう。

身体全体がガチガチになる。

でも肝心の大腿四頭筋はあまり収縮していない。

そんなことがあります。

ですから、

「力を入れてください」→「できましたね」

で終わりではありません。

実際に太ももの前を見たり触ったりして、大腿四頭筋が収縮しているか確認します。

患者さん自身に太ももを触ってもらうのも一つの方法です。

「ここが硬くなる感じです」

と分かると、自分でも確認しやすくなります。

つま先は上に向けた方がいい?

足首を反らすことを組み合わせると力を入れやすく感じる人もいるでしょう。

ただし、つま先を上げること自体がクアド・セッティングの目的ではありません。

つま先を上げることに一生懸命になって、大腿四頭筋への意識が薄れてしまったら本末転倒です。

基本は、

膝を伸ばす方向へ力を出して、大腿四頭筋をしっかり収縮させること。

そこを中心に考えればよいと思います。

 

内側広筋だけを狙う必要はある?

以前は、クアド・セッティングについて説明するときに、内側広筋、特に膝蓋骨の内側にある部分を強調することがよくありました。

大腿四頭筋はいくつかの筋から構成されていますが、運動によって内側広筋だけをきれいに選択して鍛えるという考え方には限界があります。

ですから、クアド・セッティングでも、

「内側広筋だけを働かせなければ」

と考えすぎる必要はありません。

まずは大腿四頭筋全体がしっかり収縮していることを確認します。

もちろん、内側広筋付近を触って筋収縮を確認すること自体が悪いわけではありません。

触ることで患者さんが、

「ここに力を入れるのか」

と分かりやすくなるなら、それは有効なフィードバックになります。

大切なのは、特定の筋だけを働かせることと、筋肉を触って収縮を分かりやすくすることを混同しないことだと思います。

 

膝蓋骨が動くのを見るのも面白い

クアド・セッティングをしているところをよく見ると、大腿四頭筋の収縮に伴って膝蓋骨の位置にも変化が見られます。

患者さんにとっても、

「今、筋肉が働いた」

ということが目で分かることがあります。

ただし、膝蓋骨を特定の方向へ無理に動かすこと自体を運動の目的にする必要はありません。

大腿四頭筋が収縮した結果として、膝蓋骨にも動きが生じる。

まずはそのくらいに考えておけばよいでしょう。

強く押せば押すほどいい?

これも注意したいところです。

「筋トレなら、思い切り力を入れた方が効くでしょう」

と思うかもしれません。

しかし、いつでも最大限の力を出せばよいわけではありません。

特に術後や痛み、腫れがある時期には、強く力を入れることが適切とは限りません。

反対に、ほとんど力を入れずに形だけ繰り返していても、目的とする練習にならないことがあります。

どのくらいの力で行うのかも、運動処方の一部です。

これは回数や保持時間についても同じです。

 

クアド・セッティングだけを続ければいい?

ここも大切です。

クアド・セッティングは便利な運動ですが、これ一つですべて解決するわけではありません。

膝を使って生活するためには、

膝を曲げ伸ばしする。

立ち上がる。

立って身体を支える。

歩く。

階段を上り下りする。

といった、もっと複雑な能力が必要になります。

そのため、状態が許せば、クアド・セッティングから次の運動へつなげていきます。

クアド・セッティングが上手になること自体が、リハビリの最終目的ではありません。

これは、とても基本的な運動だからこそ忘れたくないところです。

まとめ

クアド・セッティングは、とても地味な運動です。

膝の下にタオルを置いて、押す。

それだけに見えます。

でも実際には、

大腿四頭筋が収縮しているか。
どこに力が入っているか。
痛みや腫れはどうか。
どのくらいの強さなら適切か。
そして、この運動を次の動作へどうつなげるか。

見るところはいろいろあります。

だからこそ、昔から使われている基本的な運動なのだと思います。

重りを使ってガンガンやる筋トレではありません。

でも、真面目にやれば、それなりに疲れますよ。

そして、たくさん力を入れることよりも、「目的の筋肉をきちんと働かせる」ことから始める。

クアド・セッティングは、そのためのシンプルな練習の一つです。

 

 

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