〈スポンサーリンク〉
以前に人工股関節置換術の禁忌肢位(後方アプローチ)について、ご説明しました。
後方アプローチの禁忌肢位 その1 (→こちら)
後方アプローチの禁忌肢位 その2 (→こちら)
後方アプローチの禁忌肢位 その3 (→こちら)
今回は、前方アプローチの禁忌肢位をイラストでご説明します。
もう知ってるよって言う人は、すっ飛ばしてください。
後方アプローチが股関節後方の筋肉を切開するため後方脱臼しやすいのに対し、
前方アプローチはその逆になります。
つまり前方(または側方)アプローチでは前方の筋肉を切開するため、
前方脱臼しやすくなるのです。
前方アプローチの禁忌肢位
先に述べたように、
前方アプローチは、股関節の前方から切開をする手術方法です。
この場合、股関節を伸展(足を後ろに動かす)し、
内転(内側に動かす)、
外旋(外側に向ける)する運動により
前方に脱臼が起こります。
脱臼の頻度は後方アプローチより、かなり低いのではないかと思います。
あるデータでは、0.5%以下の脱臼率だそうです。
医師によっては、日常生活では絶対脱臼しないと豪語する方もいますが、
僕が臨床を行っているなかでは、やはり脱臼をする人はいました。
可能性は低くても、注意する必要はありますね。
では具体的にどんな動きで脱臼が起こるか一つ一つみていきましょう。
ひとつひとつの動きは問題がなくても、
運動が複合的に生じると、脱臼の可能性が高まります。
股関節の伸展運動
脚を後ろ側に動かす(反らせる)運動です。
股関節の内転運動
脚を内側に動かす運動です。
後方アプローチでも前方アプローチでも内転運動はダメですね。
股関節の外旋運動
脚を外側に捻る運動です。
これら3つの運動の複合運動により脱臼が生じます。
つまり3つの運動が重なると、次のような姿勢になります。
前から見ると、こんな感じ(患側は右足)。
後ろから見るとこんな感じ。
あまり日常生活では少ない動作ですよね。
しいて言えば、ボーリングの投球動作でしょうか。
高いところのものを取ろうとして、身体を反らしたりする場合でも、
これに近い動作をとることもあるかもしれません。
僕が脱臼を経験したケース
日常生活は、股関節の屈曲を伴うことが大半です。
そういう意味で伸展方向が禁忌である前方アプローチは、
それほど禁忌肢位について気をつけなくてもいいわけですが、
僕は今まで2回ほど、前方アプローチの脱臼ケースを担当したことがあります。
それは、どのようなケースだったかというと‥
転倒です。
予想外の転倒で、普段とらない姿勢をとってしまうようです。
大きな外力が急激に加わることにより、脱臼が起きるんですね。
ちなみに、転倒の方向は2ケースとも側方向でした。
終わりに
簡単に前方アプローチの禁忌肢位について、ご説明しました。
一般に前方アプローチは脱臼の危険性が少ないですが、
やはり注意は必要です。
筋肉や周辺組織が回復途上にある3ヵ月間は、特に注意が必要ですね。
ありがとうございました。
〈スポンサーリンク〉
ありがとうございました。