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僕は職場で、人工股関節置換術後のリハビリを担当することが時々あります。
骨や組織の状態をみながら、離床を促し、歩行の再獲得を目指します。
そして在宅や職場復帰の際には、脱臼をしないように、動作指導なども行なったりします。
今回はその脱臼防止のための禁忌肢位について、ご紹介したいと思います。
お付き合いください。
前方アプローチと後方アプローチ
どの位肢が脱臼しやすいかは、
手術の方法により異なります。
大きく分けて、前方から侵入する前方アプローチと、後方から侵入する後方アプローチです。
僕が学生の頃は、後方アプローチが圧倒的に大多数でした。
後方アプローチは後方の大きな筋肉を切開しなくてはならないため、
脱臼の危険性は大きいとされてきました。
また、後方アプローチの脱臼は股関節を曲げると発生してしまうため、
日常生活ではどうしてもリスクが伴ってしまいます。
日本人の生活様式って、股関節を曲げることが多いですからね。
それに対して、前方アプローチは筋肉の切開を伴わなく、後方アプローチとは逆に脱臼肢位が伸展方向のため、有利と言われています。
最近は、前方アプローチも一般的になったと聞いています。
ただ現在では、まだ後方アプローチが多いのは事実だろうと思います。
後方アプローチの禁忌肢位
本日は後方アプローチの禁忌肢位について、ご紹介しますね。
後方アプローチの禁忌肢位は、
股関節を曲げる動作(屈曲)、
内側に曲げる動作(内転)、
内側にひねる動作(内旋)の複合動作です。
一つ一つみてみましょう。
まずは股関節の屈曲運動。
イラストのように、股関節を曲げる動作です。
次に股関節の内転運動。
股関節を内側に動かす動作です。
最後に股関節の内旋運動。
イラストのように、股関節を内側に捻る動作です。
普通はこれらの複合動作により脱臼は起こります。
例えば、靴下をイラストのように履く動作。
しごく一般的な動作ですが、
股関節を曲げて、内側に曲げて、そして捻っています。
そうすると、脱臼の危険性は高まります。
基本的にはこのように、3つの方向に動かすことですが、
どれか一つだけでも、それが過剰になれば脱臼を起こすこともあります。
僕が経験した脱臼のケース
僕が今まで経験した脱臼は2ケース。
1つ目は和式トイレでのしゃがみ込み。
外出先でのトイレが和式でしたが、どーしても我慢ができず、
思わずしゃがんでしまったそうです。
そのまま救急車で運ばれてきました。
2つ目はお風呂の低い椅子に座った時に起こったものです。
一般的にお風呂の椅子は低いものが多く、
座った時に過剰な屈曲を強いられます。
また、患者さんは寝ている時に内側に入ることを過度に気にしていたりしますが、
実際、退院の時はある程度術部が安定しているので、それほど気にしなくても良いと思います。
気にすべきは脱臼肢位で荷重をした時です。
体重がかかることは、相当の外力になりますからね。
長くなったので、このくらいにします。
次回は第2弾をお送りしますね。
より具体的に、禁忌姿位(やってはいけない動作)についてご紹介します。
後方アプローチの禁忌肢位 その2(→こちら)
ありがとうございました。
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