言語聴覚士(ST)のイラスト〜STってどんな仕事?

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言語聴覚士(ST)ってどんな仕事?

―「話す・食べる・伝える」を支える専門職

病院でリハビリを受けると、PT、OT、STという言葉を耳にすることがあります。

PTは理学療法士、OTは作業療法士。

そして、STは言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist)です。

「言語」という名前がついているので、

「話す練習をする人でしょう?」

と思われることも多いかもしれません。

もちろん、それは大切な仕事の一つです。

でも実際のSTの仕事は、それだけではありません。

話す。聞く。理解する。考える。伝える。そして、食べる。

私たちが当たり前のように行っている、人とつながりながら生活するための大切な機能を支えているのが言語聴覚士です。

 

言葉が出てこない――失語症へのリハビリ

脳梗塞や脳出血などによって脳が損傷すると、それまで普通に使えていた「ことば」がうまく使えなくなることがあります。

これが失語症です。

「りんご」と言いたいのに言葉が出てこない。

相手が話していることが理解しにくい。

文字を読んでも意味が分からない。

書こうとしても言葉にならない。

こうした症状に対して、STは絵カードや文字、写真など、さまざまな教材を使って評価や訓練を行います。

ただし、STの仕事は単に、

「これは何ですか?」

「りんごです」

という練習を繰り返すことではありません。

その人がどこで困っているのかを細かく見極めます。

言葉そのものが思い出せないのか。

音にするところでつまずいているのか。

相手の言葉を理解することが難しいのか。

読むこと、書くことはどうなのか。

同じ「話せない」という訴えでも、その背景は一人ひとり違います。

そこを評価して訓練につなげるのが、STの専門性です。

 

「話せる」と「伝えられる」は、少し違う

ここはSTの仕事を考えるうえで、とても大切なところだと思います。

コミュニケーションは、必ずしも声だけでするものではありません。

うまく話せなくても、

文字なら伝えられる。

絵なら指差せる。

ジェスチャーなら分かる。

スマートフォンを使えば伝えられる。

つまり、障害された機能そのものへの訓練と同時に、

「この人が今使える方法で、どうすれば相手に伝えられるだろう?」

と考えることも大切です。

「話せるようになるまで待ちましょう」ではありません。

今、この瞬間にも患者さんには、

「痛い」

「トイレに行きたい」

「家族に会いたい」

「今日は疲れた」

と伝えたいことがあります。

その人に合った「伝える手段」を一緒に探すことも、STの重要な役割です。

発音や口の動きもみる

言葉は頭の中に浮かんでいるのに、うまく発音できないこともあります。

口唇や舌などを動かしにくかったり、発音に必要な運動をうまく調整できなかったりするためです。

STは実際の口の動きを確認しながら、発音の練習を行います。

鏡を使って、

「舌はどこにあるかな?」

「唇はどんな形になっているかな?」

と患者さん自身に確認してもらうこともあります。

「ことば」は脳だけで作られているわけではありません。

呼吸し、声を出し、舌や唇を細かく動かす。

たった一言を発するためにも、身体のさまざまな機能が協力しています。

 

STは「食べること」も支えている

一般の方には、こちらの仕事の方が意外かもしれません。

STは摂食嚥下障害にも深く関わります。(最近は高齢化に伴って、こっちの方がメインかも)

食べ物を口に入れて、噛んで、飲み込む。

私たちは普段ほとんど意識せずに行っています。

しかし、脳卒中や神経疾患、加齢などによって、この一連の動作が難しくなることがあります。

食べ物や水分が誤って気管へ入れば、誤嚥性肺炎につながる可能性もあります。(怖い!)

だからこそ、

「食べられるか」

だけではなく、

「安全に食べられるか」

を考えなければなりません。

姿勢はどうか。

食べ物を口の中で処理できているか。

飲み込むタイミングはどうか。

むせていないか。

食後に声が変わっていないか。

疲れてこないか。

STは、こうした小さな変化を観察しています。

首に手を当てているSTは何をしているの?

病院で、患者さんが水を飲んでいるときに、STが首のあたりに手を当てている場面を見ることがあります。

 

これは、飲み込むときの喉の動きなどを確認している場面です。

もちろん、それだけで嚥下機能のすべてが分かるわけではありません。

必要に応じて、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)なども含め、さまざまな情報から安全性を評価していきます。

そして、

食事形態をどうするか。

一口量をどうするか。

どんな姿勢で食べるか。

どのような介助が必要か。

などを、多職種と一緒に考えていきます。

 

 

高次脳機能障害にも関わる

STが担当するのは、失語症だけではありません。

脳損傷によって、

「集中できない」

「覚えられない」

「順序立てて考えられない」

「会話がうまくかみ合わない」

といった問題が生じることがあります。

いわゆる高次脳機能障害です。

 

カードを分類する。

順番を考える。

文章を組み立てる。

必要な情報を探す。

こうした課題を通して、認知機能やコミュニケーション能力を評価・訓練します。

ただ、ここでも重要なのは「問題を正解できるようにすること」だけではありません。

病室ではどうなのか。

家に帰ったら何に困るのか。

仕事に戻ったときはどうなのか。

その人の実際の生活につなげて考える必要があります。

 

 

 

患者さんの前にいない時間も、STは仕事をしている

リハビリというと、

「患者さんと一緒に訓練している時間」

が仕事だと思われがちです。

しかし実際には、その裏にかなりの準備があります。

 

患者さんの能力や興味に合わせて教材を選ぶ。

必要なら教材を作る。

評価結果をまとめる。

記録を書く。

翌日の訓練を考える。

同じ失語症だからといって、全員に同じ課題を出せばいいわけではありません。

目の前の一人に合わせて考える。

こうした患者さんからは見えにくい時間も、リハビリの一部なのです。

 

 

一人では支えられない――多職種との連携

病院ではSTだけで患者さんを支えているわけではありません。

医師、看護師、PT、OT、管理栄養士、歯科関係職種など、さまざまな専門職と情報を共有します。

たとえばSTから、

「この方は質問の意味は理解できますが、言葉が出にくいです」

という情報があれば、他職種も患者さんへの接し方を変えられます。

嚥下についても同様です。

STが訓練室で安全に食べられることと、病棟で毎日安全に食べられることは同じではありません。

だからこそ、看護師や医師、栄養士などとの情報共有が重要になります。

 

 

STの仕事には、答えがないこともある

ここからは、少し違う面も書いておきたいと思います。

STの仕事は、いつも「訓練すれば良くなる」という単純なものではありません。

一生懸命訓練しても、思うように言葉が戻らないことがあります。

食べたいという患者さんの希望があっても、安全性を考えると簡単には食事を勧められないこともあります。

本人は、

「普通のご飯が食べたい」

家族は、

「危ないことはしてほしくない」

医療者は、

「誤嚥のリスクが高い」

と考える。

どれか一つだけが間違っているわけではありません。

だから難しいのです。

特に「食べる」という行為は、単なる栄養摂取ではありません。

好きなものを食べる。

家族と同じ食卓を囲む。

季節の料理を味わう。

それも、その人の人生の一部です。

安全を守ることと、その人らしい生活を守ること。

その間で悩むことも、STの仕事なのだと思います。(つらい)

 

「言えた」の一言が大きい

一方で、STだからこそ立ち会える瞬間もあります。

ずっと言葉が出なかった患者さんから、ふっと一言が出る。

家族の名前が言える。

「ありがとう」が伝えられる。

筆談やカードを使って、自分の希望を初めて伝えられる。

口から食べることが難しかった患者さんが、少しずつ好きなものを味わえるようになる。

周囲から見れば、とても小さな変化かもしれません。

でも本人や家族にとっては、その一言、その一口が、とても大きな意味を持つことがあります。

そこにSTという仕事の大きなやりがいがあるのでしょう。

 

 

PT・OT・ST――違うけれど、目指すところは同じ

PTは、歩くことや身体を動かすことを支える。

OTは、着替えや家事など、その人らしい生活・作業を支える。

STは、話すこと、伝えること、食べることを支える。

もちろん実際の仕事は、こんなにきれいに分けられるものではありません。

それぞれの専門性は重なり合っています。

でも、目指している方向は同じです。

「できない機能」だけを見るのではなく、その人がもう一度、自分らしく生活できるようにすること。

歩けるようになったその先に、行きたい場所があります。

服を着られるようになったその先に、送りたい生活があります。

そして、言葉を伝えられるようになったその先には、話したい相手がいます。

食べられるようになったその先には、味わいたい食事があります。

言語聴覚士は「ことばを治す人」だけではありません。

人と人をもう一度つなぎ、「伝える」「食べる」という生活そのものを支える専門職。

そう考えると、STという仕事の姿が少し違って見えてくるのではないでしょうか。

 

(これは単なるイメージです笑)

 

言語聴覚士(ST)のイラスト

STのイラストを描こうと考えた時に、どう描いたらSTらしさが生まれるか考えてみました。

例えば嚥下に必要なスプーンとコップを持たせてみるとか、

同じく嚥下の評価に必要な聴診器を持たせてみるとか・・等々。

最終的に言語訓練で口を動かすことから、口に焦点を当てて描いてみました。

いかがでしょうか。STらしく見えますか?

 

 

 

 

 

 

 

ドクターコートバージョン(STはよく着ていますね)

 

よろしかったら、お使いください。

ありがとうございました。

 

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