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脊髄小脳変性症(SCD)とは
脊髄小脳変性症は、運動失調による協調性運動障害が特徴で、そのためバランス能力低下を起こしたり、巧緻動作障害を起こしたりします。
進行性の疾患ですが、その進行具合は人によって大きくことなります。個別性が大きいものです。
リハビリでは、画一的なものをやるのではなく、その方の症状に合わせたものを選択して行うことが大切です。
SCDは筋力が低下する病気ではありませんが、動かないことで起こる廃用症候群は予防しなければなりません。
筋力が低下すると、バランスや協調性低下につながるので、筋力増強訓練は非常に重要です。
以下に、代表的な訓練をいくつか挙げてみますね。
・バランス練習
バランスを司っている部位は小脳です。
この小脳が筋出力を調節したり、筋活動のタイミングを図ったりして、転倒を防いでいます。
脊髄小脳変性症では、この小脳のプログラミングが上手くいかなくなるために、動揺したりするのです。
よって、運動療法としては、動作を反復して行いプログラミングをきっちり行えるように試みます。
さまざまな感覚を駆使して、動作の再学習をするのです。
初めは簡単な動きから、できたら徐々に複雑な動きに移行していきます。
同じことでも100回行えば、そううち一部が定着するかもしれません。
バランス訓練には様々なものがあります。
その患者さんの状態に合わせて、難易度を調節しましょう。
難易度は支持面が小さくなれば小さくなるほど難易度は高くなります。
少し難しいくらいから始めると良いでしょう。(安全面の配慮も忘れずに。)
バランス訓練のまとめは以下に挙げてあります。(→こちら)
下のイラストは四つ這いバランス。これなら倒れても安心♪
側臥位バランス。
膝立ち。(重心が上がっていくと、難易度が上がります)
・廃用予防(筋力の維持・増強訓練)
また廃用予防も大切です。
協調性運動障害が出現すると、転倒を恐れるあまり、どうしても運動量が減少します。
そうすると、筋力が低下したり、関節が硬くなったりという廃用症候群に陥ります。
特に筋力低下は出来るだけ避けなくてはなりません。
バランスを保つにはいくつかの要素があるのですが、筋力はその際たるものです。
筋力はいくらあっても、損はしません。
最近では軽めのパワーリハビリ(機器を使用した筋力トレーニング)を行うこともあるみたいですね。
しっかり鍛えましょう。
下肢の筋力訓練は積極的に行いましょう。
例えば、スクワットは簡単で効果的な練習です。(→こちら)
動作をゆっくりやることが大切です。
また体幹の安定性も上肢動作に影響をするので、欠かせません。
コア部分の活動性の維持・改善が重要です。
特にドローイン(draw-in)有効とされています。(→こちら)
・協調性訓練
フレンケル体操もよいと思います。
視覚を活用して、動作を反復する訓練です。
(詳しくは→こちら)
・ストレッチ
痙縮による二次的な関節可動域制限を予防するため、傾斜台を使用したガストロの持続伸長は有効です。
(詳しくは→こちら)
・歩行練習
歩行パターンや足の位置を調整することで、安定性を向上させることを目指します。
ふらつきが強く安全が確保できない場合は、杖などの歩行補助具を使用します。
歩行器、歩行車は安全に運動量を確保できるため、比較的長期間使用できます。
患者さんの状態に合わせて、機種を選択してください。
ちなみにセーフティーアームウォーカーのイラストは(→こちら)
バランスよく不良でもっとしっかりした支持物が必要な方は、手すりや平行棒内歩行を。
重錘をつけた歩行練習は効果があるの?
また重錘トレーニングなど奨励されていたこともありました。(僕が学生だった20年以上前から)。
僕も実践したみたことがありますが、確かに一時的には動揺が減少していました。
しかし訓練場面で一時的に改善しても、それを外すと動揺がみられ、実用性には乏しかった記憶があります。
長期間の効果はないと言われています。(※補足:効果があるという文献もあるので、はっきりはわかりません。曖昧ですみません。)
ありがとうございました。
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