理学療法士が突発性難聴になって考えたこと その3 ~自分の取り扱い説明書

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僕は突発性難聴になり、右耳の機能が全廃になりました。

(詳しくはこちら

片側が聞こえるから、大丈夫かなと思ったのもつかの間。

様々なことに困難が生じています。

カンファレンスでも十分に聴き取れないし、会議に参加しても聴き取れない。

患者さんと十分なコミュニケーションもできない。

八方塞がりな感じです。

はじめは積極的に自分の障害のことを言うことに、抵抗がありました。

何かできないことの言い訳を言うみたいなところもありますし。

特別扱いを求めているようにみられたくない‥という気持ちもありました。

 

でも、やはりできないことは、できない。

こんな自分がこれからも働いていくには、

いかに周りの理解を得ることが大切かということを実感しています。

 

そんなこともあって、自分のことを理解してもらうための手段、

例えば「自分の取り扱い説明書」みたいなものを作ってみるのはいいのではないか、

という考えに至りました。

特に僕の職場は転勤があります。

新しいスタッフとも一緒に働く機会もあるので、

まず前提として理解を得る努力をすべきだと思ったのです。

 

以下に、職場で困難なことを列挙してみました。

 

1. 音の方向がわからない

耳は両耳があって初めて方向がわかるみたいです。

片耳では、音の方向は全く分かりません。

会議などで、誰が発言しているのかがわからず、周りをキョロキョロしてしまう

なんてことは、頻繁です。

悪いことに、病院ではスタッフはマスクをしているため、

さらに特定が難しくなるのです。

発言者を探しているうちに、会議は終わってしまっているのです。

 

2.騒音の中では、特に音が聞き取れない。

病院の中は雑音にあふれています。

前に書きましたが、体温計の音は全く聞こえません。

酸素の外れた音も聞こえず、事故を起こしそうになったこともあります。

臨床では聴診をする場面もあったりするのですが、

副雑音はなんとか聞き取れても、「肺胞音」は聞き取れません。

普通なら聞こえるはずの音の減弱した音は聞き取れません。

仕事あがったりです。

スタッフルームや訓練室は更に騒々しく、その中での会話は恐怖でしかありません。

 

3.急に話題を振られると、対応できない。

音は聞こえても、そんなにクリアに聞き取れるわけはありません。

聞き取れた言葉から、その話の内容を類推するという作業を通じて、

ようやく会話が成立することも多々あります。

健常者でもそうでうよね。一字一句すべてを聴き取っているわけでないと思います。

なので、急に話題を振られるといった、類推が困難な場面では、対応できずにあたふたしてしまいます。

あと、論理に一貫性がない話にも、ついていけません。

これも類推できないという意味では、一緒ですね。

 

4.聞き違いをしてしまう。

これも話を類推するということ関係しています。

1対1での話は比較的できます。

自分が会話の主導権を取っていれば、一見問題なく話しているように見えるでしょう。

でも新しい話、予測がつきづらい話の内容を聴き取ることは難しいです。

予測で補うことができない場合、自分の都合よく聞き間違えてしまいます。

はじめて聞く新しい単語の場合、100%に近く間違えてしまいます。

間違えて、失笑を買います。

 

5.なぜか耳鳴りがする。

耳鳴りが常にしています。

右耳は全く聞こえないのに不思議なものです。

最初は煩わしさに、うんざりしましたが、今は慣れています。

一定というわけではなく、時々大きくなったりしますが、

その理由はよくわかりません。

ひどいときは鉛筆を耳に刺したい衝動にかられますが、

もちろんそんなことはしませんけどね。

 

6.いくら近くから話しかけても、右側からは聞き取れない。

隣の席に座った人に右側から話しかけられても、聞き取れないことが多いです。

不本意ながらシカトしてしまうこともあります。

会議の席や飲み会の席では、聴こえない方を壁にして、端っこに座らせて欲しいです。

席を選べる場合はいいけど、選べない場合もあります。

例えば車の助手席。運転手に話しかけられても、聞き取れません。

 

7.バランスが悪い。

前庭の機能が損傷しているため、平衡機能も低下しています。

自分なりのリハビリを続け、何とか平衡機能も良くなってきましたが、

目をつぶり、視覚からの代償がなくなると、ふらふらします。

閉眼での片脚立位は保持できません。

夜に自転車の運転は避けています。

 

8.めまいは時々起こります。

突発性難聴は、再発しないと聞いていましたが、

僕の場合再発しました。

片耳の機能は全廃なので、これ以上悪くならないような気もしますが、

めまいは時々、思い出したように現れます。

この回転性のめまいが起こると、じっとしているしかありません。

すぐに治まる場合もあれば、半日続く場合もあります。

ときどき休んでいることがありますが、ご理解ください。

 

以上、簡単に今の症状を書いてみました。

 

最初に述べたように、こういう状況だからという「言い訳」をしたいわけではありません。

ちょっとだけ理解をお願いしたいと思うのです。

それだけでかなり働きやすくなります。

 

突発性難聴で片耳全廃の人は、多分同じような悩みを抱えていると思います。

突発性難聴の人がいる職場の人は、少しでも配慮をしてあげてほしいと思います。

僕が次の職場に行くときは、こんなことを最初に言うかもしれませんが、

温かく聞いていただけたら‥と思います。

 

個人的な話に最後までお付き合いしてくださいまして、ありがとうございました。

 

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