〈スポンサーリンク〉
年上の患者・利用者の方に「かわいい」という違和感について
病院や施設において高齢者に対してスタッフが『かわいい』と言うことがあります。
僕はそれを聞くたびに「果たしてそれで良いのかなあ」と疑問を持っていました。
一般に可愛いと言う言葉は子供や動物に用いられるもので、年長者、特に高齢者に対してつくのは不適切だと思われます。
少なくとも可愛いには相手を敬う意味は含まれていません。
「かわいい」の定義は?
「可愛い」という言葉は、外見や振る舞い、仕草など、に対して用いられる形容詞です。
例えば子猫など小動物の小さい、丸っこい、もふもふした形状に可愛らしさを感じる人も多いでしょう。
振る舞い、仕草に関しては、ぎこちない様子、例えば子供がよたよた歩いて転ぶ姿を可愛いと感じる人もいます。
このように子供や小動物に共通して用いられるものです。
では、高齢者に「かわいい」は適切?
では高齢者の対して「かわいい」が使われるのどのような理由でしょうか。
今までに述べたことから考えると、高齢者は背中が曲がって小柄の方が多いので、その形状から可愛らしいと感じるのかもしれません。
また、動作が機敏ではなく、ゆっくりとたどたどしい動作になることも多いので、それを可愛いと感じるのかもしれません。
言葉使いも子供のように舌足らずで喋ることもあるので、それも理由になるのでしょう。
高齢者に不釣り合わない『○○ちゃん』とちゃん付で呼んで、子供扱いしていることからもわかります。
大まかに言えば、のような理由でしょう。
ですが、考えれば全く失礼な話です。
本来なら、スタッフより人生経験も豊富な高齢者に尊敬こそすべきな存在であるはずなのに、それを「可愛い」とは。
いくつになっても、尊厳を持っています。
子供扱いされるいわれはありません。
年下の相手から「かわいい」と言われることに不快感を感じる方もいるでしょう。
もちろんスタッフと患者(利用者)の関係性によって、受け取り方は異なるでしょうが、「かわいい」はやはり不適切です。
本人はよくても、家族がそれを見たらどう思うでしょうか。
配慮と尊重が大切です。
そういう僕も実際、「かわいい」を使ってしまったことがあります。
お婆さんが一生懸命箸で豆をつかんでは落とし、つかんでは落としている姿を見て、思わず『かわいい‥』と漏らしてしまったことがあります。
反省です。
以前、障害者に対する呼称の問題について記事を書いたことがあります。合わせてお読みください。(→こちら)
ありがとうございました。
〈スポンサーリンク〉