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排痰の肢位(体位ドレナージ)をイラストでご紹介
本日は排痰肢位(体位ドレナージ)についてご紹介します。
◼️ 体位ドレナージの目的
体位ドレナージの本質は、重力を利用して痰を中枢気道へ集めることです。
具体的な目的は以下の通りです。
- 末梢気道に停滞した痰を、気管・主気管支へ移動させる
- 咳や吸引で痰を排出しやすくする
- 無気肺や肺炎の予防
- 呼吸仕事量の軽減(呼吸が楽になる)
つまり「痰を出す」のではなく、「出やすい状態を作る」
これが体位ドレナージの役割です。
次から具体的な方法をお伝えしますね。
◼️ 基本は、排出したい肺区域を「上」にする
肺は左右それぞれ10区画に分かれていますが、その区画のどこに痰の貯留があるかを確認した上で、その位置を上にした体位に変換します。
重力を利用するんですね。
その上で、深呼吸を促したり、スクイージングのような手技を加えると良いでしょう。
実際は気管支の方向も関わってくるので、もう少し複雑なのですが、今日のところは簡単に覚えてしまいましょう。
そのために肺の解剖についておさらいから。
◼️ 肺の解剖(肺は10区画に分かれている)
まずはじめに前提として、肺はいくつかの区画(segmentという)に分かれています。
具体的には右側は3つに、そこから更に分かれて10区画に、
左側は大きく2つに、その後10区画に分かれています。
言葉だけでは分かりづらいので、図を参考にしてくださいね。

実際の排痰ですが、スクイージングのように介助者が肺をグイグイ圧迫して直ぐにできるわけではありません。
稀にそんなことができる人もいるのかもしれませんが、僕はそんな人を知りません。
そんな人が職場に1〜2人いるよりは、スタッフ誰もが一定の水準のことができることが好ましいと思います。
まずは基本的な排痰肢位をしっかりとることが何より大切です。
◼️ 肺の部位と排痰肢位(修正版)
これから肺の部位(segment)と排痰の肢位(その特徴も)を紹介します。
この辺りに痰があれば、じゃあこの肢位を取ろうというように、覚えていただけたら幸いです。
以前はかなり厳密、かつアクロバティックなものも発表されたりしていましたが、
実際の臨床場面にそぐわないという理由で使われなくなり、現在のものに集約されています。
【背臥位】
特徴
- 最も基本的で導入しやすい体位
- 背側肺(下葉後区域)に痰が溜まりやすい
- 横隔膜はやや挙上し、肺底部の換気は低下しやすい
メリット
- 全身状態が悪くても取りやすい
- 観察・吸引がしやすい
注意点
- 排痰効率は高くない
→ 体位ドレナージというより「評価・準備の体位」
図解:S1、S3、S7、S8 に痰が貯留している場合

【半側臥位】
特徴
- 仰臥位と側臥位の中間
- 背側肺の圧迫を軽減しつつ安定性が高い
メリット
- 誤嚥リスクを下げられる
- ICU・急性期で非常に使いやすい
- SpO₂が安定しやすい
注意点
- 重力効果は限定的
→ 「安全性と快適性を優先した排痰補助体位」
図解:S4、S5 に痰が貯留している場合



【側臥位】
特徴
- 上側肺の換気が良好
- 下側肺は血流優位(V/Q調整が可能)
- 一側の全肺野に有効
メリット
- 片側肺の痰を狙いやすい
- 呼吸音の左右差が評価しやすい
注意点
- 下側肺に分泌物が流れ込みすぎることがある
→ 「どちらを上にするか」が重要
図解:S9 に痰が貯留している場合



【前傾側臥位・半腹臥位】
特徴
- 側臥位+腹臥位の要素
- 背側肺の換気改善+排痰効果
メリット
- 腹臥位が困難な人にも使える
- 神経筋疾患・重症者で有効
注意点
- 体位調整にクッションが必要
- 介助量がやや多い
図解:S2 、S6、S10に痰が貯留している場合

【腹臥位】
特徴
- 背側肺の換気・排痰に最も有効
- 無気肺改善、酸素化改善に効果的
- 急性呼吸窮迫症候群などの下側肺障害に有効とされている
メリット
- 長期臥床で背側に溜まった痰に強い
- 呼吸音の改善が分かりやすい
注意点
- 顔・腹部・循環への負担
- チューブ類管理が必須
→ 「効果は高いが管理力が問われる体位」
図解:S6、S10 に痰が貯留している場合。
。



おまけ。
今回は排痰の修正肢位をご紹しましたが、S1に痰の貯留があり、循環動態が安定している場合はヘッド・アップ位という選択も良いと思います。ご検討くださいませ。
【ヘッドアップ位】
特徴
- 横隔膜が下がり、換気が楽
- 重力による排痰効果は小さい
- 人工呼吸器関連肺炎予防には、少なくとも30度以上のギャッジアップが必要と言われています。
メリット
- 呼吸困難が強い人でも耐えやすい
- 咳・吸引につなげやすい
注意点
- 体位ドレナージ単独では不十分
→ 「排痰の最終局面(出す体位)」

頭部を上げる前に、下肢の部分をギャッジアップすると身体がずり落ちること防ぐことができます。
坐骨下に巻いたバスタオルを入れて、ずり落ち防止を予防することもあります。
以上、肺の部位と排痰肢位についてイラストでご紹介しました。
いかがでしたでしょうか。覚えられそうですか。
ありがとうございました。
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