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摂食・嚥下のポジショニング(座位)
食べ物や飲み物を飲み込むことを「嚥下」と言います。
これが上手に行えず、本来なら食道の方に食べ物が流れて行くはずが、
間違って気管の方に流れ込んでしまうことを「誤嚥」と言います。
摂食・嚥下障害を抱える方は、姿勢によりその嚥下機能が良くも悪くも変化するため、
特別な配慮が必要になります。
以前に、嚥下に関する頸部のポジショニングについてご紹介しました(→こちら)。
本日は座位での姿勢調整(ポジショニング)のご紹介です。
椅子、または車椅子上で、ずっこけ座りとなり、
今にも落っこちそうになっている患者さんを見たことありますね。
座位が安定しないと、
そもそも嚥下機能に問題のある方は一気に誤嚥の可能性が高くなります。
まずは、悪い例を提示し、どう改善すれば良いかを考えてみたいと思います。
【悪い例】
・ずっこけ座り(仙骨座り)
・頸部が伸展位(視線が食事に向かない)
・背中がバックレストにフィットしていない
・左右非対称の姿勢
・足が地面に着かない
ではどのように改善したら良いでしょうか?
なかなかすべてを改善できないかもしれませんが、優先順位をつけて対応してみましょう。
【良い例】
・臀部が椅子の深い位置にあり、骨盤は後傾していない。
いすのサイズの問題もあるかもしれませんが、
臀部がしっかりと深く奥に入るようにしましょう。
大きめの椅子だと、臀部が奥まで入らず、いわゆる「ずっこけ座り」になってしまします。
時間の経過とともに臀部が前方に滑ってしまうときは、
座骨を支えるためのクッションなどを使用しても良いでしょう。(タオルで代用もできます)
滑り止めマットを敷くというのは、一時的に良くても長期的には避けたほうが良いと思います。
・背中がバックレストにフィットしている。
臀部が座面の奥深くに位置して、背中をバックレストがしっかり支えている状態がベストです。
高齢者の場合は円背や脊柱変形があり、接触面が一部という場合も多いと思います。
その際は、クッションを程度に挟み込んで接触面を増やし、
身体を安定させると良いでしょう。
・頸部が屈曲位で視線で食事が捉えられている。
臀部~背部の安定性が確保された状態で、頚部は軽度屈曲位となるようにしましょう。
場合によって、ヘッドサポート(枕など)を挿入する必要があります。
・上肢の安定性が保たれている。
両肘の高さで、支えられるもの(クッション等)があればよいでしょう。
脊柱変形で左右差がある方の場合でも、可能な範囲で肩の高さが左右対称になるようにしたいものです。
・足が地面に着いている。
床に足がつかない場合は、足台を使用しましょう。
足底全体を床面に接し安定性を得ることで、姿勢の崩れを防ぐことができ、
咳嗽力や飲み込む圧が高まります。
今回、ごく簡単にですが、食事のポジショニングについて、イラストでご紹介いたしました。
姿勢が崩れていると、飲み込みに関する筋肉が過緊張になったりして、
疲労や苦痛が増大し、誤嚥のリスクは急激に高まります。
ちょっとした工夫で変わりますので、対応してみてくださいね。
ありがとうございました。
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