カーフパンピング(足関節底背屈運動) その1

〈スポンサーリンク〉



カーフパンピング(Calf Pumping)とは?

以前、ブログで「カーフレイズ」という運動を紹介しました。

カーフレイズは、かかとを持ち上げてつま先立ちになることで、下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)を鍛える運動です。(→こちら)

今回紹介するのは、よく似た名前の「カーフパンピング」です。

カーフとは、ふくらはぎのこと。

カーフパンピングは、足首を上下に動かして、ふくらはぎの筋ポンプ作用を利用する運動です。

ベッドに寝たままでも行えるため、術後の患者さんにもよく指導される運動ですね。

今回は、術後の深部静脈血栓症(DVT)予防という観点から、その目的と方法を紹介します。

 

なぜ術後にカーフパンピングを行うのか?

手術後は、痛みや安静のために身体を動かす機会が少なくなります。

そうすると、下肢の静脈血が滞りやすくなります。

特に注意したいのが、深部静脈血栓症(DVT)です。

DVTとは、脚の深いところを走る静脈に血栓(血の塊)ができる病気です。

血栓が剥がれて肺の血管に詰まると、肺血栓塞栓症を起こすことがあります。

では、なぜ足首を動かすのでしょうか。

ふくらはぎの筋肉には、収縮と弛緩を繰り返すことで、静脈血が心臓の方向へ戻るのを助ける働きがあります。

これを「筋ポンプ作用」といいます。

歩いているときにも、この作用は働いています。

しかし、術後で十分に歩けない場合には、筋ポンプ作用を利用する機会が減ってしまいます。

そこで、足関節の底背屈を繰り返すカーフパンピングを行います。

足首を動かすことで下腿の筋活動を促し、静脈還流を助けることが目的です。

ただし、カーフパンピングだけで血栓を確実に予防できるわけではありません。

あくまで、術後の血栓予防を補助する運動の一つです。

 

カーフパンピングの方法

運動は、仰向けに寝た状態で行うことができます。

運動は座位でもできますが、術後は臥位で行います。今回は座位の方法を示しますね。

① 足関節を背屈する

まず、つま先を自分の身体の方向へ引き寄せます。

これを「背屈」といいます。

前脛骨筋などが働き、ふくらはぎの筋肉は伸ばされる方向に動きます。

無理に最大まで反らす必要はありません。

痛みのない範囲で、しっかり足首を動かしましょう。

 

② 足関節を底屈する

次に、つま先を身体から遠ざけるように伸ばします。

これを「底屈」といいます。

下腿三頭筋などが働きます。

こちらも、力いっぱい伸ばす必要はありません。

 

③ 背屈と底屈を繰り返す

背屈と底屈を交互に繰り返します。

大切なのは、足首を無理なく、リズミカルに動かすことです。

筋力トレーニングではないので、毎回最大の力を入れたり、5秒間保持したりする必要はありません。

呼吸を止めず、自然に続けましょう。

 

何回くらい行えばよいのか?

カーフパンピングは、比較的簡単に行える運動です。

ただし、術後の運動回数や頻度は、手術の種類や患者さんの状態によって異なります。

そのため、「必ず1時間ごとに何分間」と一律に決めることはできません。

実際の臨床では、施設の術後管理方針や医師・セラピストの指示に従って行います。

また、手術部位や固定方法によっては、足関節の運動に制限がある場合もあります。

術後であれば、まず運動が許可されていることを確認してください。

 

カーフパンピングだけで血栓を予防できる?

カーフパンピングによって下腿の筋ポンプ作用を働かせることはできます。

しかし、それだけでDVTを防げると考えるのは適切ではありません。

術後の血栓予防には、患者さんのリスクに応じて、いくつかの方法が用いられます。

例えば、

  • できるだけ早い時期からの離床や歩行
  • 間欠的空気圧迫法(フットポンプなど)
  • 弾性ストッキング
  • 必要に応じた抗凝固薬の使用

などです。

これらは、手術の種類や出血の危険性、血栓のリスクなどを考慮して選択されます。

カーフパンピングは、その中の補助的な運動として考えるとよいでしょう。

なお、弾性ストッキングやフットポンプも、すべての患者さんに適しているわけではありません。

(フットポンプの関連記事は→こちら)

運動を行う際の注意点

カーフパンピングは簡単な運動ですが、術後であれば誰でも自由に行ってよいわけではありません。

まず、手術部位や安静度による制限がないか確認してください。

また、次のような症状がある場合には注意が必要です。

  • 片脚だけが急に腫れてきた
  • ふくらはぎに新たな痛みや圧痛がある
  • 脚の熱感や色の変化がある

これらはDVTでみられることがある症状です。

DVTが疑われる場合は、自己判断で運動を続けず、医療者に相談してください。

また、突然の息切れ、胸痛、失神などが現れた場合には、肺血栓塞栓症の可能性もあるため、緊急の対応が必要です。

もちろん、これらの症状がなければDVTがないと判断できるわけでもありません。

術後は、患者さんの状態を確認しながら運動を進めることが大切です。

 

まとめ

カーフパンピングは、足関節の背屈と底屈を繰り返す、とても簡単な運動です。

ふくらはぎの筋ポンプ作用を利用し、静脈血が心臓へ戻るのを助けます。

術後、まだ十分に歩けない患者さんにも行いやすい運動ですが、カーフパンピングだけで血栓を予防できるわけではありません。

早期離床やその他の予防方法と組み合わせ、患者さんの状態に合わせて行う必要があります。

簡単な運動だからこそ、何のために行うのかを理解しておきたいですね。

ありがとうございました。

 

ポチっとお願いします↓

〈スポンサーリンク〉