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仕事柄、高齢の人とお話しする機会が多くあります。
リハビリを一緒に行うに当たって、
患者さんの気持ちをリラックスさせ、
緊張をほぐしたりする目的で、雑談をするのです。
その際、話題は日常生活のさまざまな事柄になるのですが、
付き合いも長くなると、彼らの生い立ちや若い頃の話に及ぶことがあります。
戦時中にどんな生活を強いられたか、
満州に開拓に行ったなんて話を聞くこともあります。
戦時中は芋のツルがご馳走だったとか、
防空壕を掘った話など、
教科書に書かれた無味乾燥な言葉ではなく、
生きた人のナマの言葉を聞くことができることは、
非常に興味深く感じます。
しかしそれはそれで一個人のかけがえのない体験として、貴重だと思うのですが、
ある種の郷愁を持って語られることに、一抹の不安を感じます。
「昔は良かった」
「昔は家族の絆がしっかりあった」
「父親に威厳があり、家族がまとまってた。」
様々です。
確かにそういう一面はあるのでしょうが、
人は時として、苦しかったツライ思いを忘れて、
郷愁をもって過去を懐かしむことをしがちです。
また自分の行動を正当化しないと、前に進めないということもあります。
人間は同じまちがいを繰り返している歴史があります。
間違いを繰り返さないためには、過去を歴史的事実から振り返ることであって、
一部分のみを取り出して懐かしむことではありません。
心に留めておく大事なことだと思います。
自戒を込めて、書いてみました。
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