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車椅子の種類と特徴|移動手段として、生活の椅子として
僕はこれまで、急性期の病院から回復期・慢性期の病院まで、いろいろな現場で働いてきました。
その中で感じたことの一つに、病院によって車椅子の扱いというか、位置づけがずいぶん違うということがあります。
もちろん、病院の機能だけで一概に決まるわけではありません。
ただ、急性期では、検査室への移動や離床のために車椅子を使用する場面が多く、比較的短時間の利用になることもあります。
一方、回復期や慢性期では、日中の多くの時間を車椅子で過ごす患者さんもいます。
食事をする。
テレビを見る。
他の患者さんと話をする。
リハビリ室へ移動する。
そうなると、車椅子は単なる移動手段ではなく、生活のための椅子にもなるわけです。
長い時間、安楽に座っていられることを優先するのか。
食事をしやすい姿勢を考えるのか。
自分で車椅子を操作しやすいことを優先するのか。
患者さんによって、求められる機能は違ってきます。
今回は、そんな車椅子の種類と特徴について、簡単に紹介したいと思います。
普通型車椅子
まずは、一般的によく見かける普通型の車椅子です。
病院や施設、商業施設などにも備え付けられているタイプですね。
大きな後輪にハンドリムが付いていて、利用者さん自身が両手で操作できるものもあれば、介助者が押して使用するものもあります。
比較的構造が単純で、移動手段として広く使われています。
ただし、同じように見える車椅子でも、座面の幅や奥行き、高さ、背もたれの形状などはさまざまです。
身体に合わない車椅子では、姿勢が崩れたり、足がフットサポートにうまく載らなかったりすることがあります。
また、自分で駆動する場合には、後輪の位置や座面の高さも操作のしやすさに関係します。
車椅子に座れれば、それでよいというわけではありません。

リクライニング型車椅子
次に、リクライニング型の車椅子です。
車のシートのように、背もたれを後方へ倒せる構造になっています。
体幹を起こした姿勢を保つことが難しい方や、姿勢を調整する必要のある方などに使用されます。
背もたれを倒すことで、股関節の屈曲角度を変えたり、上半身の姿勢を調整したりできます。
ただし、注意したいこともあります。
背もたれを倒したり起こしたりすると、身体とシートの間にずれが生じることがあります。
その結果、骨盤が前方へ滑ったり、背中や臀部に摩擦・ずれの力が加わったりすることがあります。
背もたれを戻したときに、患者さんの姿勢が崩れてしまっている。
そんな場面を経験した方もいるのではないでしょうか。
リクライニング機能は便利ですが、角度を変えた後の姿勢確認も大切です。

ティルト型車椅子
ティルト型は、背もたれと座面を一体として後方へ傾ける車椅子です。
リクライニングとの大きな違いは、座面と背もたれの角度関係をおおむね保ったまま傾けられることです。
そのため、リクライニングと比較して、身体とシートの間に生じるずれを抑えやすいという特徴があります。
体幹の支持が必要な方や、長時間座位をとる方の姿勢調整などに活用されます。
また、適切に使用することで、臀部に集中する圧を背部などへ分散させることにも役立ちます。
ただし、ティルトさせれば褥瘡を予防できるという単純なものではありません。角度や使用時間、クッション、身体の状態などを含めて考える必要があります。
もう一つ、リクライニングとの違いがあります。
ティルトでは、基本的に股関節の角度は大きく変わりません。
そのため、股関節を伸展方向へ動かしたい場合などには、ティルトだけでは対応できないことがあります。
もっとも、最近ではティルトとリクライニングの両方の機能を備えた車椅子もあります。

どの車椅子がよいのか?
普通型、リクライニング型、ティルト型。
それぞれに特徴がありますが、どれが優れているという話ではありません。
例えば、体幹の支持が必要だからといって、必ずティルト型を選べばよいわけではありません。
食事をするときには、上肢を使いやすい姿勢が必要です。
自分で車椅子を駆動する方なら、ハンドリムへの手の届きやすさも重要になります。
また、長時間座っている方では、姿勢の崩れや皮膚への負担にも注意しなければなりません。
そして、病院で使いやすかった車椅子が、そのまま自宅でも使いやすいとは限りません。
廊下の幅や段差、テーブルの高さ、介助する家族の負担なども関係してきます。
結局のところ、その人が車椅子を使って、どのような生活を送りたいのか。
そこから考える必要があるのだと思います。
車椅子のイラスト
今回は、一般的な普通型車椅子のイラストを紹介します。
横向きや正面、後ろ向きなど、いくつかの方向から描いてみました。
車椅子の説明や、患者さんへの指導資料などに使っていただければと思います。
なお、車椅子の形状や機能は製品によって異なるため、イラストは一般的な構造を示したものです。
車椅子は、患者さんを運ぶためだけの道具ではありません。
その人が日中を過ごす場所であり、行きたいところへ行くための手段でもあります。
だからこそ、身体に合った車椅子を選ぶことは大切なのだと思います。

車椅子のイラスト(横向き)



車椅子のイラスト(後ろ向き)



車椅子の名称

おまけ(随分昔に描いたもの)




ありがとうございました。
車いすやシーティングに関しては、結構思い入れがあるので、
また描いていきたいと思います。
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