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ダンスをリハビリに活かす
―疾患別にみる具体的アプローチ―
前回、ダンスがリハビリに有効である理由について整理しました。
では実際に、どのような疾患に対して、どのように使えばよいのでしょうか。
ここでは臨床でよく出会う疾患別に、ダンスの活用方法を具体的に考えていきます。

■ 脳卒中(片麻痺)

ポイント:左右差と「使わない側」の活性化
脳卒中後の特徴として
•非対称な姿勢
•麻痺側の不使用
•重心偏位
が挙げられます。
ダンスの使い方
•左右へのステップ(ワルツが有効)
•麻痺側へ重心を乗せる動き
•上肢のリズム運動(振り付けとして)
👉 ポイントは
「麻痺側を使わせる」ではなく「自然に使ってしまう状況を作る」こと
臨床のコツ
•鏡や模倣を活用
•音楽でタイミングを補助
•成功体験を優先(正確さより参加)
■ パーキンソン病

ポイント:リズムと外部キュー
パーキンソン病では
- すくみ足
- 動作開始困難
- リズム障害
が問題になります。
ダンスの使い方
- 一定のリズム(音楽)
- ステップのパターン化
- 「止まる→動く」(タンゴ)
特にタンゴは
停止と再開の練習として非常に相性が良い
臨床のコツ
- テンポは一定に
- 視覚・聴覚キューを併用
- ペアでのリードも有効
■ 高齢者(フレイル・転倒リスク)

ポイント:安全性と継続性
高齢者では
- バランス低下
- 筋力低下
- 活動量低下
が問題になります。
ダンスの使い方
- 椅子ダンス
- ゆっくりしたワルツ
- 足踏み+上肢運動
重要なのは「続けられること」と「怖くないこと」
臨床のコツ
- 転倒リスクを最優先
- 簡単で繰り返しやすい動き
- 集団で楽しむ
■ 整形外科疾患(術後・慢性疼痛)
ポイント:動きの再獲得と恐怖心の軽減
整形外科領域では
- 可動域制限
- 筋力低下
- 痛みによる回避
が問題になります。
ダンスの使い方
- 小さなステップ(マンボなど)
- リズムに乗せた関節運動
- 負荷の段階的調整
ダンスは「怖さ」を減らしながら動けるのが強み
臨床のコツ
- 痛みの範囲内で
- 小さな成功を積み重ねる
- “運動”ではなく“活動”として提示
■ 高次脳機能障害(失語・注意障害など)

ポイント:非言語的アプローチ
高次脳機能障害では
- 言語理解の低下
- 注意障害
- 遂行機能低下
がみられます。
ダンスの使い方
- 模倣(ミラーダンス)
- 繰り返しパターン
- 音楽による構造化
ダンスは「説明しなくても成立するリハビリ」
臨床のコツ
- 言葉を減らす
- 視覚的提示を増やす
- 成功体験を重視
■ ダンスの共通する価値
疾患が違っても、共通して言えることがあります。
それは、「できる部分から始められる」
という点です。

■ おわりに
リハビリはどうしても、
「失った機能を取り戻す」
という視点に偏りがちです。
しかしダンスは、
- 残っている能力
- その人のリズム
- 表現する力
を引き出します。
それは単なる機能回復ではなく、その人らしさを取り戻すプロセス
なのかもしれません。
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