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看護師とリハビリスタッフの連携について考える
「医療スタッフの連携が大切だ」と言われるようになって久しいですが、現場ではなかなかスムーズにいかないのが実情です。
今回は、特にリハビリスタッフと看護師の連携について考えてみたいと思います。
看護師は「線」、リハビリスタッフは「点」の関わり
よく言われるように、看護師は「線」の関わり方をし、リハビリスタッフは「点」の関わり方をすると言われます。
これは良し悪しの問題ではなく、それぞれの業務の特性によるものです。
看護師は日勤・夜勤を通して、患者の一日の状態を長時間にわたって観察できます。
そのため、「どの時間帯に痛みが出やすいか」「動きやすい時間帯はいつか」など、患者の生活リズムや症状の変化を把握しやすいという強みがあります。
たとえば「朝イチで鎮痛薬を服用しているので、〇〇時ごろにリハビリを入れると効果的かもしれません」といった具体的な情報提供が可能です。
一方で、リハビリスタッフは患者に関わる時間が一日数十分程度(回復期なら40〜60分ほど)と限られていますが、毎日直接介入することで微細な変化に気づきやすいというメリットがあります。
たとえば「昨日より手の動きが悪くなっている」といった変化を早期に察知し、重大な異変(たとえば脳出血の進行など)を発見するきっかけになることもあります。
業務内容も優先順位もまったく異なる
看護師とリハビリスタッフでは、業務の方向性も重視するポイントも異なります。
看護師の主な役割は医師の補助や患者のケアであり、「安全に・効率よく・確実に」ケアを提供することが求められます。
そのため、ADL(日常生活動作)の向上よりも、今すぐ必要な処置や介助を優先することが多くなります。
一方でリハビリスタッフは、ADLの向上こそが仕事の中心です。時間がかかっても、患者自身ができるようになることに価値を見出します。
ひとつひとつの動作を積み重ねることが、最終的な自立につながると考えるからです。
たとえば入浴の場面で言えば、看護師は「患者を安全に、短時間で清潔に保つこと」が優先されます。
対してリハビリスタッフは「できるだけ患者が自分の力で動作を行うこと」を目指します。
どちらも患者にとって重要なことですが、その優先順位には違いがあります。
トイレ動作の一例から見る連携の必要性
トイレ動作についても、両者の考え方には違いがあります。
看護師は、患者の安全を第一に考え、状態によってはオムツでの対応を選択することが多いでしょう。
一方でリハビリスタッフは、「可能な限り自力で排泄できる環境をつくること」に重点を置き、車椅子や歩行器を使ってトイレまでの移動を促そうとします。
もちろん、どちらが正しい・間違っているという話ではありません。
患者の状態や病状によって適切な対応は変わりますし、どちらの立場にも理があります。
たとえば、状態が重度な患者であれば、オムツを使用するのはやむを得ないかもしれません。
しかし、できるだけ早くポータブルトイレに座って排泄できるようになれば、排便がスムーズになり、便秘の予防にもつながります。
さらに、トイレの自立が進めば、看護師の手が空き、他の患者のケアに回す時間も生まれます。
違いを理解し、同じ目標を持つ
一見、看護師とリハビリスタッフは考え方がぶつかることもあります。
しかし、それは「目的の違い」ではなく「アプローチの違い」に過ぎません。
どちらも「患者のため」を思っての行動です。
大切なのは、お互いの立場を理解し合い、共通の目標を見つけることだと思います。
予後の見通しや安全面など、簡単にはいかないことも多々ありますが、きっと妥協点や共通点はあるはずです。
同じゴールを見据えることで、よりよい連携が生まれ、患者にとって最善のケアが提供できるのではないでしょうか。
ありがとうございました。
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