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障害者の「働く」を変えた——久遠チョコレートの革新的な取り組み
先日、同僚と障害者雇用について雑談していたときのこと。
その中で「久遠(くおん)チョコレート」という名前が出てきました。
実は、名前だけは聞いたことがあったのですが、具体的にどんなことをしている会社なのかということまでは知りませんでした。
調べてみて、その取り組みに驚き覚えたので、ぜひこの記事でご紹介したいと思います。
久遠チョコレートでは、障害者スタッフが7割!
久遠チョコレートは、全国各地に店舗や工房を展開しているチョコレートブランドです。
注目すべきは、働くスタッフの約7割が障害のある方々であるということ。
一般就労が難しい人でも、その人の特性や能力に合った作業を担えるように作業工程が工夫されており、継続的な雇用が実現されています。
「高級チョコレート」で勝負する理由
久遠チョコレートの最大の特徴は、高品質で高価格帯のチョコレートを製造・販売している点です。
障害者施設では、パンやクッキーの製造販売が主流ですが、これらは以下のような課題を抱えています:
- 工程が多く複雑で、火や刃物を扱うこともあり、作業が難しい
- 高価格を設定しにくく、収益性が低い
- 労力のわりに得られる利益が少なく、賃金も上がりにくい
一方でチョコレートは、工程が比較的単純で、素材の質を上げれば高級商品として販売できるという強みがあります。
久遠チョコレートでは、世界中から選び抜かれたカカオと、国産のドライフルーツやナッツなどを組み合わせ、ショコラティエの指導のもとでハンドメイド製造しています。
そして、販路としてデパートなどを活用することで、さらに販売価格に付加価値をつけることができています。
「安くて美味しい」は善意か、それとも…
以前、SNSであるインフルエンサーが、障害者施設で作られたクッキーを「安くて美味しい。みんな買って!」と投稿したところ、批判を受けたことがありました。
それは、極端に低い賃金で作られている背景に目を向けず、「安さ」を売りにすることが障害者の低賃金構造を温存するのではないか、という問題提起でした。
久遠チョコレートはこの点で明確に異なります。
まずは品質で勝負し、その上で「実は障害者が作っていた」と気づかせる仕組みにしているのです。
平均月収16万円!!!
久遠チョコレートで働く障害者スタッフの平均月収は16万円。
これに障害年金を合わせると、経済的自立が可能な水準になります。
もちろん、一般企業と比べれば高いとは言えないかもしれません。
「もっと利益を還元しても良いのでは?」という声もあるようです。
しかし、多くの作業所では月収1〜2万円が当たり前という現実を考えれば、これは画期的な成果です。
誰もが「働く喜び」を持てる社会へ
「障害者も、できる範囲で、自分の力を活かして働きたい」
そんな思いは、きっと誰の心にもあるものだと思います。
久遠チョコレートは、それを実現するための新しいモデルをつくりました。
有名ショコラティエとの連携や、商品選びの先見性など、再現が難しい点もありますが、それでも他の事業所が見習える要素は多くあるはずです。
最後に
久遠チョコレートは、障害者が「やりがい」と「自立」を手にするための素晴らしい取り組みを実現しています。
僕自身、障害とともに生きるひとりとして、こういった企業がもっと増えてほしいと心から願っています。
この記事が、少しでも多くの人にその取り組みを知ってもらうきっかけになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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