〈スポンサーリンク〉
以前に「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」という視覚障害の体験イベントに参加したことを、記事に書きました。(→こちら)
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を簡単に説明すると、
光を完全に遮断した漆黒の闇空間の中で、視覚障害者のアテンドの下グループになって様々な体験をするというイベントです。
例えば枯葉の上を足裏の感覚と枯葉の音を頼りに歩くとか、暗闇のカフェでお茶をしたり…といった体験です。
僕は暗闇でおやつを食べながら、普段いかに味覚だけでなく、視覚に頼っていたかを実感させられました。
このイベントの素晴らしさを、友人に伝えたりブログに書いたりしていたのですが、
最近になって「他にもやれたら面白いんじゃない?」と、そんな考えがよぎるようになってきました。
音のない空間体験
例えば聾の体験はどうでしょうか。
音のない世界で、聾者が感じている体験は大変ではあっても豊かなものです。
音のない静寂な世界では、言葉に頼らないコミュニケーションに迫られます。
目や口角の動きなど、顔の表情がコミュニケーションにいかに大切かよくわかるのではないでしょうか。
ちなみに僕は片耳に聴覚障害がありますが、案外その体験も健常者にとっては新鮮なんじゃないかと思います(あまりに地味かしら)。
片耳では音の方向が分からなくなります。
こっちから車が来るなと思っていたら、逆側から来たなんてことは日常茶飯事です。
また、音が重なると全くわからなくなります。いわゆる聞き分けができなくなります。
僕が働く病院では、様々なアラームなど音で管理されているのですが、それを聞き分けるのは至難の技です。
同じような理由で、2人以上の会話は音が聞き分けられず、困難になります。
まあ、あまりにマニアックですし、イベントに必要なエンターテイメント性はありませんね。
義足装着体験
下肢切断の義足体験は、直ぐにでもできそうですね。
膝を曲げて、その下に義足をつけて歩いてみましょう。
最初は怖くて歩けなくても、徐々に慣れていきます。
足裏の感覚が、いかに大切か実感できるでしょう。
また感覚がないはずの義足から、地面の情報が伝わってくることに驚きます。
地面に直接触れていなくても、地面の形状が伝わってくるんですよね。
なかなか面白そうだと思いませんか。(竹馬体験も同じようなものかもしれません)
車椅子試乗体験
車椅子体験は、今や定番。
車椅子を普段押している看護師や介護士な人も、実際に押されてみると、怖さを感じるものです(介助者との関係性もありますが)。
坂や微妙な段差など、日本の環境が車椅子ユーザーにいかに不親切かということも、実際に乗ってみないとわかりません。
とても貴重な体験です。
考え出したらキリがありません。
イベント成功の鍵は?
これらのイベントはどれも可能だと思います。
小学校や中学校でも体験学習として非常に有効だと思います。
実際車椅子体験は、病院祭でも企画されてましたし。
ただ、これらのイベント成功の鍵は、単に苦しい体験に終わらせないことだと思います。
なぜ「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」が大成功したかといえば、
それが視覚障害の体験にとどまらず、他の感覚を研ぎ澄ますことの楽しさを組み入れたことなんだろうと思います。
ただ視覚障害の辛さ、困難さを前面に押し出してはイベントとしては続きません。
楽しむながら、学べる…そんなものにできたらいいんじゃないでしょうか。
ここまで書いてみて、嬉しいニュースが飛び込んできました。
コロナ禍で中断しているた「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」が最近再開されたとのことです。(5月GWは休止中)
そのニュースの中で紹介されていたのですが、そのシリーズに「ダイアログ・イン・ザ・サイレンス」という聴覚障害体験もあるらしいのです。
やっぱり考えている人は既にいるんですね。
言葉に頼らない表現方法を、聴覚障害者のアテンドの下に獲得していくみたいです。
東京に行く機会があれば、ぜひ参加してみたいです。
つまらない駄話にお付き合いいただいて、ありがとうございました。
※過去に疑似体験のメリット、デメリットについても書いています。
もしよろしかったら読んでみてください(→こちら)
〈スポンサーリンク〉