今から20年前、僕が新人だった頃、浮腫が左側の下肢に多いことに疑問を持っていました。
DVT(深部静脈血栓症)を発症した症例も、左側に起きることが多かったと思います。
何か理由があるのかと思って調べたところ、解剖学的な原因が関係していることが書かれていました。
そんなことは今では当たり前のことだと思いますが、当時は養成校で習った記憶はありませんでした。
まあ、僕が覚えていない可能性の方が高いですけどね。
今回はその理由について、イラストを用いてご紹介したいと思います。
DVTが左下肢に多い理由
下大静脈は右側に、下大動脈は左側に位置しています。
下大静脈は左右の総腸骨静脈に分かれていきますが、右総腸骨静脈はそのまま分かれていくのに対して、
左総腸骨静脈は隣にある右総腸骨動脈に腹側から圧迫を受けるかたちになります(上図)。
腰椎の椎体と右腸骨動脈に挟まれることから
その結果、左下肢の静脈還流が障害されます。
血管内の血流が停滞することにより、血栓が形成されるのです。
もちろんDVTが左下肢だけに起こるわけではありません。
骨折や人工関節の手術を行った場合などでは患肢に起こりやすくなります。
浮腫や鈍痛、色調変化、血液データ(Dダイマー)などを注意深くみていくことが必要ですね。
ちなみにDVTを判別するために行う検査にはHoman’s sign(ホーマンズ徴候)があります。
詳しくは別記事を参照してください。(→こちら)
臥位になり、膝を軽く曲げた状態で、足関節を背屈させます。 →痛みが出たら陽性です。
お付き合いありがとうございました。
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