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僕がまだ学生だった頃、志賀直哉の「暗夜行路」という小説を読んだ記憶があります。
内容は詳しく覚えていないのですが、
ラストの部分が妙にふに落ちたことは覚えています。
ざまざまな苦難を経験し、
絶望の果てに、主人公を救ったのは大自然だったのです。
人の心を癒すのは、人ではなく自然の力だったことに衝撃を受けました。
若い時は、人を癒すのはやはり人だと、なんの根拠もなくそう思っていました。
そうであって欲しいと、心の奥底で思っていたのかもしれません。
実際ドラマや映画でも、人対人で描かれていることが多く、
対立や和解を経て成長していくものが大きかったからかもしれません。
僕はこれまで何度か苦しい日々を体験し、
その都度友人や家族の言葉に助けられました。
ですが今より大きな苦難や悲しみに襲われたとき、果たしてどうなるのか予想もできません。
何が自分の助けになるかはわかりません。
暗夜行路の主人公のように、何か大きな存在、人間の力の及ばないところのものに助けられるのでしょうか。
そんな予感のようなものは心の中で感じています。
昔から、人間は大自然の一部に間借りをして生活をしていました。
それは今でも変わらないはずなのに、いつのまにか尊大になってしまいました。
自然でさえコントロールできるという考えを持っている人もいます。
ですが、自然は懐を開いています。
そんな中に身を委ねると何もかも洗い流されるような神聖な気持ちになります。
大自然に対すると、自分の小ささを感じるとともに、
自分が抱えていた苦しみや悩みも相対化できるのではないでしょうか。
では、今日も山に散策に出かけてきます。
「行ってきまーす」
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