匂いと記憶の関係

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匂い記憶は、密接な関係があると言われています。

ある匂いを嗅いだ時に、

急に昔の記憶がフラッシュバックのように蘇ったという経験は

誰でもあるのではないでしょうか。

僕も古本の匂いを嗅いで、常連だった古本屋のこと、物知りで質問すれば何でも答えてくれた店主のことを思い出しました。

トイレの芳香剤の匂いを嗅いで、30年前に通っていた映画館のことをはっきりと思い出したことがあります。(その映画館はトイレの臭いが充満していたのです。)

脳の片隅にも残っていないと思っていた記憶が、突然鮮やかに蘇ったのです。

これはプルースト効果として、今では当たり前になっていることですが、

脳の研究が進むにつれて科学的に証明されています。

それは嗅覚の伝達経路によると言われています。

嗅覚で得られた情報は真っ直ぐに嗅球へ運ばれ、

そのまま大脳辺縁系海馬に保管されます。

海馬は記憶を司る器官です。

大脳辺縁系は感情、情動に関する器官でもあるため、

匂いから記憶や情動が引き出されるのです。

このことを学生時代に知って、今までのことが歩に落ちた気がしました。

 

僕が地方から東京に出てきて、

毎日アルバイトと学校生活に追われて疲れ切っていた頃の話です。

アルバイトの帰り道、ふと道端に生えていたヨモギの葉を見つけました。

衝動的にヨモギを手に取り、何故か理由もなく指で潰して匂いを嗅いでみたのですが、

その瞬間子供の時の記憶が鮮明に蘇ってきました。

故郷への想いが込み上げできて、不意に涙が溢れてしまいました。

後で考えると、忙しくて心に余裕もなくて、様々な気持ちが溢れてしまったのだろうと思いますが、

先ほどの話を考えると、

懐かしいヨモギの匂いから、記憶や情動が喚起されて、そのようなことになったのだと思います。

 

それ以来、たまに思い立った時に道端の草花を摘んで匂いを嗅いでいますが、

一番最初に感じたような衝撃はないものの、その瞬間に昔のことを思い出します。

嗅覚は簡単に過去に連れて行ってくれる作用を果たしてくれるようです。

 

でも道端で急に泣き出したおじさん、気持ち悪いことこの上ないですね。

静かに見守ってくれた通りすがりの方々、ありがとうございました。

 

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