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患者さんの食事の摂取量が少ないと、
「じゃあSTさん、お願い」
と、言語聴覚療法士へ依頼が来ることがあります。
確かに、咀嚼力の低下や飲み込む力が弱くなることにより食べられなくなることも多ので、
こういう場合はSTの活躍の場です。
ですが、食べられない原因は実際は様々です。
疾患から来る疼痛や発熱により食欲が低下している場合や、
偏食が原因という場合もあります(そんな場合はSTにいくら言われても無理)。
また、カルテを見て「この患者さんは全然食べてないけど大丈夫かな〜」って思っていたら、
家族からお菓子の差し入れをもらって食べてたなんてこともあります。
嚥下機能の評価も大切ですが、その前の原因のアセスメントが重要だと思います。
今回は食事摂取量低下の原因をいくつか挙げて、
どのようなケースがあるのか考えてみたいと思います。
まずはこちらから。
・摂食、嚥下機能の低下
歯の欠損、入れ歯の不適合、噛む力の低下、嚥下能力の低下などは直接摂食量に関係します。
STさんに評価してもらいましょう。
・ADLの低下
姿勢保持能力の低下や上肢の力が落ちてしまったりして、食事動作自体ができなくなることがあります。
特に座位耐久性低下は起こりやすく、食事時間の30分持たないケースも多くあります。
座位を保つことだけで精一杯ってこともありますね。
・味覚、嗅覚機能の低下、消化器官の機能低下
加齢とともに味覚や嗅覚は低下しますが、
食欲に係る内分泌物質の変動があり、空腹感を感じづらくなることがあります
入院すると減塩食になる場合が多いので、
味が感じられずに食事量が減少してしまうことがあります。
また臥床傾向となると、腸の働きも低下して便秘になりやすく、
また空腹感が起きにくくなるために食欲低下につながります。
・薬物の副作用
薬剤には副作用がありますが、その副作用には食欲低下を引き起こしやすいものがあります。
代表的なものをご紹介しますね。
NSAIDsは消化管障害を、オピオイド、抗ガン剤、ジキタリス製剤、鉄剤などは悪心、嘔吐を引き起こします。
キレート剤は味覚障害を起こします。
食べられない時は薬剤の見直しも必要な場合もあるでしょう。
・精神的(認知面の低下、うつ病など)
認知面の低下、注意障害などから、
食べ始められない、食べても頻繁に食事を中断してしまうことがあります。
対応としては、個室を用意したり、ついたてなどを使用して
食事に集中できる環境づくりが大切です。
・生活リズムの不正
生活リズムが乱れ昼夜逆転減少が起きると、
食事をしながら寝てしまうということになってしまいます。
寝てしまうと、嚥下反射惹起遅延が起きて誤嚥することになります。
・生活環境
在宅の独居老人はそもそも、食事量が低下しやすいと言われています。
一人で食べる食事は、味気ないですもんね。
以上のように、食事摂取量は様々な原因で低下します。
そういたことを頭の片隅に置きながら、理由をじっくり考えることが大切ですね。
ありがとうございました。
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