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以前に前傾腹臥位のお話をさせていただきましたが、
今回はその方法について解説します。
HCUなどでは人工呼吸器や多くのラインをつけた患者さんも多く、
完全腹臥位は臨床的には難しいと思います。
そのような理由から、今回は前傾側臥位(半腹臥位、または3分の2腹臥位ともいう)をご紹介することにしました。
効果は腹臥位と大きく変わらず、安全性は高いことから、
多くの病院・施設で行われていると思います。
前傾側臥位(半腹臥位・3分の2腹臥位)のやり方
では順を追って説明します。
少なくとも3人はいた方がよいでしょう。
1人は頭部側に位置し、挿管チューブの固定を行います。
片手で患者の下顎から頬部を包み込むように挿管チューブを固定します。
蛇腹チューブに少し緩みを持たせておくことも大切です。
他の介助者は患者を挟んで、左右に位置します。
寝返る反対側に患者を寄せますが、まずは下半身から移動します。
チューブ担当者はそのまま固定を続け、
他の1人は骨盤を、もう一人は下肢を動かします。
続いて、上半身を移動します。
挿管チューブ担当者としっかりとタイミングを合わせましょう。
寝返る側の上肢を外転させます。
ちょうど胸腹部にあたる部分にクッションを置いておきます。
また、下肢用のクッション(あまり高いものでない方がよい)を置いておきます。
寝返る反対側の上肢を腹部にのせます。
また同様に膝を立てます。
介助者の1人が患者の膝を立て、膝と骨盤帯を介助します。
もう一人の介助者は肩甲帯部と骨盤~背部を介助します。
チューブ固定者は、チューブの固定を行いながら頭部を介助します。
3人がタイミングを合わせて患者を寝返らせます。
介助者は下側の骨盤を手前に引きながら、上側の骨盤を前方に押します(骨盤の傾きを調整)。
下側の下肢を後方に引き、前傾を促進します。
また介助者は下側の肩を手前に引き、上側の肩を押し、傾きの各度を調整します。
前傾側臥位(下側の手を抜く方法)のやり方
上に示した前傾側臥位を長く行っていると、
下側の肩の損傷を起こすことがあります。
排痰のため短時間に行う場合は良いと思いますが、
体位として30分~1時間以上行う場合は、
下側の手を抜いて、肩を守ってあげることが必要になります。
ではやり方を一部抜粋して記しておきますね。(そこ以外は一緒です)
寝返る方向の上肢は体側に近づけておきます。
途中の過程は変わりません。
寝返った後に、下側の上肢の「手抜き」を行います。
介助者の一人が上体を持ち上げるのと同時に、
もう一人の介助者が後方に手を引っ張り出します。
どのくらいやればいいの?
明確な規定はありません。
ただ排痰を目的にするのであれば、
聴診をして肺音の改善がなされたら終了で良いと思います。
安全に注意して、是非取り入れてみましょう。
※「完全腹臥位」の方法について、別に解説しています。(→こちら)
ご参照ください。
ありがとうございました。
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