疑似体験学習は効果的??

疑似体験学習は効果的??

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体験を通じて学ぶことは非常に重要です。

医療の世界でも、専門学校や大学で、

日頃体験することのない高齢者疑似体験などの学習の機会が提供されることも少なくありません。

相手への思いやりや、医療人としての心構えなどを学ぶことを目的としているようです。

たそれが疑似的であったとしても、体験を通して様々な事柄を学ぶのは有益だと、

僕も基本的には、そう思っています。

 

疑似体験1  高齢者疑似体験

疑似体験の1つに、高齢者疑似体験というものがあります。

医療系の学校ではカリキュラムに組まれているところも多いですね。

それ用に専用キットも売られています。

専用キット(高齢者疑似体験装具)を装着して、高齢者の日常生活を体験し、

加齢による身体的な変化を知り、高齢者の心理を想像し、

また、介助される気持ち介助する方法などを学びます。

膝が曲がらなくなるように関節を固定。

体には重りをつけ、また目にはゴーグルを装着して、

あえて見えづらいような工夫をします。

耳栓をして聴覚障害も演出します。

僕も一度やったことがありますが、

なかなか興味深い体験ではありました。

平地で見晴らしの良い空間であればいいけど、

下にものが散乱しているようなところでは、転倒の危険性はかなり高くなります。

階段を降りることが予想以上に怖かったことを思い出します。

これも体験しなければ、わからないことですね。

 

疑似体験2 オムツ体験

オムツでの排尿体験。

オムツで排尿することを嫌がる患者さんが多くいることから、

実際どんな感じなのか知りたいなぁと、かねてからから思っていました。

もちろん、嫌がる原因としては、人間の尊厳の問題が大きいとは想像しますが、

それを体験して実感として分かることは大切だと考えたのです。

僕は以前、福祉機器展に参加した際に、介護用品を扱っている企業のブースを訪ねて、

紙おむつをいくつかもらってきたことがあります。

帰ってから装着して「つけ心地」を確かめた後に、

実際寝た状態で排尿をしてみようと試みました。

ですが、なかなか簡単に出るものでもありません。

「もし、漏れたらどうしよう」という不安や、

オムツで排尿をすることの恥ずかしさから、しばらくはすることはできませんでした。

最終的に排尿することはできたのですが、

普段やってるような爽快感は感じられず、恥ずかしさだけが残りました。

この体験の後は、患者さんに「オムツの中にすればいい」とは簡単に言えなくなりました。

 

疑似体験3  車椅子体験

この他に、車椅子体験というものも一般的です。

これは学生の頃に行いました。

車椅子で街に出かけ、「世の中に段差がこんなにあるんだ」という気づきを促し、

街のバリアフリーを考える企画です。

病院内をスイスイ進む車いすも、道路だと思うようにはいきません。

道路も路肩は傾斜があったりで、車椅子もわずかに傾きます。

また車幅があるため狭いところは通れません。

目線の高さの問題も、乗ってみて初めてわかることです。

乗る側になることで、介助する方法も学習できます。

この授業以降は、ものすごいスピードで車椅子を押すということが確実に少なくなりますね。

 

疑似体験でわかることはその一部

このような疑似体験を通して学ぶことが多々あるのは事実です。

それを否定するものではありません。

ですが、疑似体験はあくまで疑似体験。

本当に経験しているわけではありません。

疑似体験を通じて、

障害を持っていらっしゃる方の気持ちを分かったかのごとく語るのは危険です。

僕も学生の頃に、車椅子で街中を走り、車椅子ユーザーの目線に立ち彼らの気持ちを理解した気持ちになっていました。

でもそれは明らかに違います。

一生車椅子で過ごすのと、一時的に使用するのと、根本的に違うのです。

車椅子のユーザーから、自虐的に

「君たちは車椅子を降りれるけど、僕は明日も明後日も降りることはできない」

と言われたことがありました。

障害を持っている人の気持ちに近づく努力は必要ですが、

完全に理解できると考えるのは、おごり以外のなにものでもないのでしょう。

 

理解できないものと考えることをスタートとして、

少しでも近づける努力をやめないことが大切なのかもしれません。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

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