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以前勤めていた病院で、「リハビリは立ち上がり練習と歩行をやっていればいい」
と豪語する医師がいました。
当時は、リハビリを軽視するようなこの発言に憤りを感じましたが、
今はこの医師の言わんとしていることは、少しは理解ができる気がします。
どこかの講習会で聞きかじった手技を、自己満足的に行って貴重な時間を費やすより、
立ち上がり動作などの基本をしっかりやった方が効果があるという意味であったんだろうと思います。
筋活動の量だけをみても、歩行より格段に高い運動です。両側対称の全身運動でもあります。
それだけ立ち上がりには、複雑な要素が含まれており、患者さんが望む動作でもあります。
何より日常生活で必要ですし、今まで何万回やってきて慣れている動作です。
患者さんの受け入れもいいでしょう。
ただ、いくつかポイントがあるので、それを的確に指導することが大切です。
運動の方法
座位からスタートします。
まず骨盤を起こします。ここがすごく重要です。
仙骨座り(いわゆるずっこけ座り)では十分に重心の移動ができません。
次に、両足を手前に引きます。
そして、骨盤を前傾した状態で、体幹を前傾します。
このとき、「お辞儀をするように」と指導する方もいますが、
重心を移動する意味では間違いではないと思いますが、
間違って理解して体幹を屈曲させてしまうかもしれません。
あくまで体幹は伸展させながらの前傾です。
「リーチ動作」が比較的近いので、練習には良いかもしれませんね。
イラストのように手すり等の支持物につかまると、
手すりを引っ張ることも多いので注意が必要です。
そして体幹を前傾していくと、臀部が椅子から浮いてくるので、
そのタイミングで股関節を伸展、体幹も戻していきます。
最終的に立位となります。
着座の際も同様に前傾位を意識して行ってください。
動作練習は動作を通じて
リハビリには「動作は、動作を通じてしか獲得できない」という言葉があります。
立ち上がりに必要な要素、例えば四頭筋の筋力や足・膝・股関節の可動域をいくら鍛えても、動作ができるようになるわけではありません。
そういった意味で、動作の獲得にはその動作を行うのが近道だと思います。
立ち上がり動作の獲得には、立ち上がり練習を行いましょう。
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