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ゴミ出し動作をどう見るか
― IADLの“盲点”になりやすい生活課題 ―
ゴミ出しは、つい見落とされがちな生活課題です。
院内歩行が自立。
トイレも自立。
それでも――
在宅に戻ると「ゴミが出せない」というケースは少なくありません。
実際、すごく多い事象です。
なぜでしょうか。
今回はそんなテーマについて考えてみました。
1.ゴミ出しは“単純な運搬”ではない
ゴミ出しには、実は多くの要素が詰まっています。
■ 身体面
- 床からの持ち上げ(実質デッドリフト)
- 片手保持での歩行(左右非対称負荷)
- ドア開閉時の重心移動
- 段差・縁石の通過
■ 認知面
- 曜日管理
- 分別理解
- 時間制限への対応
■ 心理社会面
- 近所との関係
- 「迷惑をかけたくない」という価値観
つまりゴミ出しは、
身体・認知・社会性を統合するIADL課題です。

2.なぜ危ないのか
① 片側荷重
ゴミ袋は水分を含み不安定。
体幹が側屈し、歩容が変わる。
特に
- 片麻痺
- 体幹筋力低下
- 変形性膝関節症
では顕著です。
② 早朝という環境
- 血圧変動
- 筋のこわばり
- 照度不足
身体条件が整っていない時間帯です。
朝早くまだ暗いうちに作業をやらなくちゃならないのも大変。
③ 「時間に追われる」動作
焦りは姿勢制御を崩します。
安全確認が省略されやすい。

3.臨床で何を見るか
「歩行自立」だけでは不十分です。
チェックしたいのは:
✔ ゴミ袋の実際の重さ (生ゴミは結構重い!)
✔ 片手保持での歩行安定性
✔ ドア開閉時の支持基底面
✔ 段差通過能力
✔ 収集場所までの距離と環境
可能なら実環境評価が理想です。

4.介入の方向性
■ 身体機能アプローチ
- 体幹伸展・側屈制御
- 片手負荷歩行練習
- 安全な持ち上げフォーム指導
- 段差昇降練習
ゴミ出しは、ある意味“生活版ウエイトトレーニング”です。
■ 環境調整
- 小分けにして軽量化
- キャリーカート導入
- ドアストッパー設置
- 手すり設置
筋力向上より環境調整が効く場合も多い。
■ 社会資源
- 家族分担
- 行政の個別回収
「できない=自立喪失」ではありません。

5.臨床的に大事な視点
ゴミ出しが難しくなるのは、
IADL低下の初期サインであることが多い。
ADLが保たれていても、
生活はすでに揺らいでいるかもしれない。
ゴミ出しを聞くことは、
生活の安定性を探る質問でもあります。
忘れないようにしたいものですね。
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