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探し物を減らすためにできること
──「記憶力」を鍛えるより、「探さなくて済む仕組み」をつくる
◼️ はじめに:なぜ探し物は起こるのか(簡単に)
前の記事で触れたように、
「入れたはずなのに見つからない」という現象は、
- 記憶力の低下
ではなく - 注意と記憶のつながりの弱さ
から起こることが多いものです。
つまり、
❶ 入れる
❷ 覚える
❸ 探す
この流れのどこかが不安定になっている。

だから対策も、
思い出す努力を増やす
ではなく
思い出さなくても済む環境をつくる
この発想が、とても大切になります。
◼️ 基本方針は3つだけ
探し物対策は、実はシンプルです。
- 考えなくていい
- 選ばなくていい
- 探さなくていい
以下、この3つに沿って具体策を紹介します。
①「定位置」を“厳密”に決める
よく言われる対策ですが、
脳に障害がある場合はレベルが違います。
NGな定位置
- 「だいたいこの辺」
- 「カバンの中」
- 「引き出しのどこか」
これは定位置ではありません。
OKな定位置
- ポケットの右側だけ
- カバンの内ポケットのファスナー付き
- 家に入ったら最初に置くトレー
ポイントは、
毎回、思考を介さずに同じ動作になること

②「一軍セット」を作る
よく使う物は、バラバラに管理しない方が安全です。
例
- 財布・鍵・スマホ → ひとまとめ
- 診察券・保険証 → 専用ケース
- 通院セット → 小さなポーチごと
脳にとっては、
- 3つ覚えるより
- 1つ覚える方が圧倒的に楽
「持ち物を減らす」のではなく、
単位を減らすという考え方です。
③「見えない収納」は極力減らす
カバンの中で起きやすいのが、
見ているのに、認識できない
という現象です。
工夫の例
- 中身が見えるポーチ
- 明るい色のケース
- 同系色を避ける(黒いカバン+黒い物は最悪)
視覚的に目立つ=注意を引きやすい
それだけで、探し物はかなり減ります。

④「入れた行為」を強調する
記憶に残らないなら、
残るようにすればいい。
簡単な方法
- 入れるときに声に出す
「財布、入れた」 - 一瞬だけ止まる
“置いてから1秒見る” - 手触りを意識する
これは訓練ではなく、記憶の補助輪です。

⑤「無くしても困らない」設計にする
ここは、とても重要です。
- 鍵 → 予備を作る
- 書類 → 写真で保存
- 診察券 → 再発行できるか確認
「無くさない」より
無くしても詰まない方が、心が楽になります。
不安が減ると、
実は探し物自体も減ります。

⑥「探す前に、やること」を決めておく
見つからないとき、
人はパニックになりがちです。
そこで、
ルールを決めておく
- まず〇〇を見る
- 次に△△
- それ以上は探さない
探す行為を自動化しておくことで、
焦りによる見落としを防げます。
◼️ 専門家の方へ:これは「代償手段」です
これらの工夫は、
- 甘え
- 妥協
- 依存
ではありません。
高次脳機能障害や発達特性に対する、正当な代償手段です。
- 記憶訓練だけに偏らない
- 環境調整を治療の一部として扱う
この視点は、支援の質を大きく変えます。
◼️ おわりに
探し物が多いと、
- 自信が削られる
- 外出が怖くなる
- 「自分はダメだ」と感じやすくなる
でも本当は、
脳の使い方が変わっただけ
工夫することは、負けではありません。
むしろ、とても知的な選択です。
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