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ローラーを用いた上肢のリーチ運動(痙縮対策)
脳卒中を患った患者さんの中に、上肢の痙縮や痛みに苦しんでいる方は数多くいます。
その対策としては、両手を組んで行う訓練が有効とされています。
ローラーを用いることで、ローラーの動きに身を任せることができるので、運動が正確にスムーズに行えます。
しかも簡単に行えるので、自主訓練としても最適ですね。
◼️ この運動の位置づけ(何を狙っているか)
この運動は単なる「可動域運動」ではなく、
- 屈筋優位になりやすい上肢の痙縮パターンを抑制
- 体幹‐肩甲帯‐上肢をつないだ協調運動の再学習
- 荷重+運動による感覚入力の強化
を同時に狙える点が大きな特徴です。
特に脳卒中後にみられる
肩内転・内旋+肘屈曲+前腕回内+手指屈曲
といったパターンへの介入として、非常に理にかなっています。
◼️ 適応(向いている患者像)
◎ 良い適応
- 脳卒中後の上肢痙縮(軽度〜中等度)
- 分離運動が乏しいが、随意的に前方へ動かす意図は保てる
- 座位保持が安定している
- 肩関節に強い痛みや亜脱臼がない
△ 注意しながら適応
- 重度感覚障害(位置覚がほぼ入らない)
- 強い屈筋痙縮で開始肢位が取れない場合
→ 介助・用具調整が必要
✕ 不適応
- 強い肩関節痛、急性炎症
- 不安定な亜脱臼
- 重度の高次脳機能障害で課題理解が困難
◼️ 痙縮に対する効果のポイント
この運動が痙縮に有効とされる理由は、
- 両上肢同時運動による左右協調
- 荷重位での肘伸展・肩屈曲
→ 屈筋群の反射的緊張が出にくい - 体幹と連動した運動になるため
→ 分離運動を強要しすぎない
という点にあります。
「伸ばすために伸ばす」より、
“使いながら緊張を下げる”運動です。
◼️ 運動の方法
椅子座位になります。そしてテーブルの上にローラーを設置します。
麻痺側母指を上にして両手を組んで、ローラーの上にのせます。※健側が患側を「引っ張らない」よう注意

そして、ゆっくりと前方向に運動します。前に倒すというより、前に滑らせます。
(肘が伸び、肩が軽度屈曲・前方移動する)
可能であれば、戻りも自動運動で行います。


ゆっくり、リズミカルに。

麻痺側を無理に動かさないように、健側で介助しながら、ローラーの動きに身を任せます。
◼️ よくある注意点・修正ポイント
① 健側主導になりすぎる
→ 健側が押して、患側がただ乗っているだけになりがち
→
- 視線を患側上肢に向ける
- セラピストが患側前腕に軽く触れて感覚入力
② 肩がすくむ・体幹が崩れる
→
- 可動域を欲張らない
- テーブルを少し高くする
- 前方距離を短くする
③ 痙縮が増悪する
→
- スピードを落とす
- 回数を減らす
- 開始肢位で一度「重さを感じる時間」を作る
◼️ 臨床的なコツ(経験則)
- 「前に倒す」より「前に滑らせる」という言葉がけ
- 呼吸と合わせる(前に出すときに吐く)
- 単調になりやすいので
→ 距離・スピード・目標物で変化をつける
◼️ まとめ
このローラー運動は、
- 痙縮抑制
- 協調運動の再構築
- 感覚入力の再学習
を同時に狙える、非常に“リハビリらしい”運動です。
「うまく動かす」よりも
「緊張を出さずに動けた体験を積む」
そのための土台づくりとして、価値の高い方法だと思います。
ありがとうございました。
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