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記憶障害のある入院患者さんに「1日のスケジュール」を作る意味
― 訓練ではなく、“安心して暮らすための道具”として ―
記憶障害のある方と関わっていると、
「今日は何をする日だったっけ?」
「次は何があるんですか?」
という問いを、1日に何度も受けることがあります。

そのたびに説明しても、しばらくするとまた同じ質問が返ってくる。
これは患者さんの努力不足ではなく、記憶障害という症状そのものです。
そんなときに有効なのが、
1日のスケジュールを“目に見える形”で示すことです。
◼️ スケジュールは「覚えさせる」ためのものではない
ここで大切なのは、
スケジュール表を記憶訓練として使わないという視点です。
目的は
- 覚えさせること
- 思い出させること
ではなく、
👉 見ればわかる
👉 確認すれば安心できる
という状態を作ること。(←これ大事!)
つまり、スケジュールは
**生活を支える補助具(環境調整)**です。

◼️ 作成時の基本原則
① いつも同じ場所に置く
- 壁
- ベッドサイド
- テーブルの上
など、探さなくても目に入る位置に設置します。
「どこにあるかわからない」は、それだけで使えなくなります。
② 時間はざっくりでよい
「9:00〜9:20 リハビリ」のような細かい表記は、
かえって混乱を招くことがあります。
おすすめは
- 朝
- 午前
- 昼
- 午後
- 夕方
- 夜
といった時間帯ベース。
時計が読めなくても、
「今は午前だから、次は昼食」
と流れがつかめることが大切です。
③ 毎日ほぼ同じ流れを軸にする
日替わり予定よりも、
- 起床
- 食事
- リハビリ
- 休憩
- 入浴
- 就寝
といった変わらない生活の骨格を中心に構成します。
スケジュールを見ることで
「先が予測できる」
これだけで、不安は大きく軽減します。
④ 空白の時間を意図的に入れる
1日をびっしり埋めてしまうと、
- できなかったときの混乱
- 疲労の蓄積
につながります。
- 休憩
- 自由時間
- 何もしない時間
も、あらかじめ予定として明示しておくことがポイントです。
◼️ 入院中の1日スケジュール例
朝
- 起床
- 洗面
- 朝食
午前
- リハビリ
- 休憩
昼
- 昼食
- 休憩
午後
- リハビリ または 病棟活動
- 自由時間
夕方
- 入浴
- 夕食
夜
- テレビ
- 就寝準備
- 就寝
✔ 終わった項目にチェックを入れる
✔ 丸をつける
といった工夫を加えると、
「今日はここまで終わった」という達成感にもつながります。

◼️ 現場での運用ポイント
- スタッフ間で声かけを統一
- 「スケジュール見てみましょう」
- 毎回同じ言葉を使う
- 家族にも共有
- 面会時に同じ表を見ながら会話
- 見当識のズレを自然に修正できる
- 修正しやすい形に
- ラミネート+ホワイトボードペン
- マグネット式スケジュール
リハビリ職としての意味づけ
この取り組みは、単なる生活管理ではありません。
- 記憶障害への配慮
- 見当識障害への環境調整
- 遂行機能へのサポート
を同時に行う、立派な生活期リハビリです。
「できた・できない」を評価するためではなく、
安心して1日を過ごせる土台を整えること。
それが、スケジュール作成の本当の価値だと思います。
終わりに
僕は脳の障害を患って、今までも記憶能力に不安があります。
患者は「自分はバカになってしまった」半ば自虐的に笑いますが、心では泣いています。
そんな後遺症を抱えた患者の心情を理解した上で、支援していただけたら幸いです。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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