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リハビリを拒否する患者さん、その理由をどう探るか?
リハビリの現場では、「今日はやりたくない」「もういい」と拒否される場面に少なからず出会います。
セラピストとしては「なんとか参加してもらいたい」と思う一方で、患者さんの気持ちを無視して無理に進めても逆効果になりかねません。
大切なのは「拒否=わがまま」ではなく、その裏に理由があると捉えることです。
ただ、その理由を探るのは簡単ではありません。
今回は、実際にどのように探っていけばよいのかを考えてみます。

1. 拒否の言葉の裏にヒントがある
「やりたくない」という言葉そのものよりも、表情や声のトーン、状況に注目してみましょう。
- 痛そうに体をさすっている → 身体的な苦痛が原因かもしれない
- 看護師に注意された直後に拒否 → 心理的な反発の可能性
- 特定の動作でのみ拒否 → リハビリ内容への不安
観察することで、言葉にならない理由が見えてくることがあります。
2. 聞き方を工夫する
「どうしてやりたくないんですか?」と直接聞くと、責められているように感じさせてしまうことがあります。
そこでオープンクエスチョンを使います。
- 「今日はどんな感じですか?」
- 「どのあたりが一番つらいですか?」
- 「こういう練習はどう思われますか?」
答えやすい問いかけで、相手の本音が少しずつ出てきます。
3. 共感しながら掘り下げる
患者さんの言葉をそのまま繰り返したり、少し言葉を変えて返す「リフレーズ」も有効です。
例)
患者「今日はしんどいから無理」
→ セラピスト「なるほど、今日は体がしんどいんですね。特にどんなところがつらいですか?」
このように受け止めて返すことで、患者さんは安心して話しやすくなります。
4. 焦らず、時間を味方にする
1回で理由を突き止めようとすると、かえって患者さんが身構えてしまいます。
- 今日は観察だけにとどめ、翌日もう一度声をかける
- 短時間でも関わりを積み重ね、少しずつ信頼を築く
「急がない姿勢」が、結果的に本音を引き出しやすくします。
5. チームや家族の情報も重要
本人から直接理由を聞けない場合は、他職種や家族からの情報も頼りになります。
- 看護師から「夜眠れていない」との情報 → 疲労が拒否の背景かもしれない
- 家族から「昔から人に指示されるのを嫌う性格」と聞ける → 関わり方を工夫できる
リハビリはチームで行うもの。情報共有によって見えてくる背景も多いのです。
まとめ
リハビリを拒否する患者さんに向き合うとき、
- 観察
- オープンな質問
- 共感とリフレーズ
- 焦らず時間をかける
- チームや家族からの情報収集
この5つを意識すると、拒否の理由が少しずつ浮かび上がってきます。
大切なのは「拒否の裏にある声」を聞き取ろうとする姿勢。そこから次の一歩が開けていきます。
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