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医療の職場によく見られるマウント合戦
―「できる人」より「聴ける人」でありたいと思うけど―
リハビリを含む医療の世界では、知識と技術を常に更新していく必要があります。
休みの日にも研修会や学会に参加し、自己研鑽に励むスタッフは多いでしょう。それは素晴らしいことです。
医療は日進月歩の世界であり、学びを止めた瞬間に取り残されてしまう。そんな危機感を抱いて、皆が努力しています。
けれど、その努力がいつの間にか他者との比較にすり替わってしまうことがあります。
「俺のほうが詳しい」
「私の方が詳しい」
「あの人はまだ分かっていない」
「その考えは古い」などなど‥。
そんな言葉が飛び交う職場に、息苦しさを感じた経験はないでしょうか。
正直に言うと、僕はもううんざりしています。
◼️ マウントの裏にある“承認欲求”
マウントを取る人の多くは、知識や技術で自分を証明したい気持ちが強いのだと思います。
「自分はここにいていい」という安心感を、優位性で得ようとしている。
医療の現場は成果が見えにくい世界です。
患者の回復は時間がかかり、思い通りにいかないことも多い。
その中で、「できる自分」を誇示することでしか自尊心を保てないという側面もあるのかもしれません。
けれど、そのマウント合戦は、チーム全体の空気を濁らせてしまいます。
本来なら「患者のため」に交わされるべき議論が、いつの間にか「誰が正しいか」の争いにすり替わっていく。
それは、患者にも、そして自分自身にも、何の得にもなりません。

◼️ 知識は競うものではなく、持ち寄るもの
僕は、知識や技術は“競い合うもの”ではなく、“持ち寄るもの”だと思っています。
誰かが新しいことを知っていたら、素直に「教えてほしい」と言えばいい。
誰かが困っていたら、自分の知っていることを「共有すればいい」。
そうして互いの強みを組み合わせたときにこそ、チーム医療の真価が発揮されます。
一人で完璧を目指すより、みんなで高め合う方がずっと遠くへ行ける。
その感覚を持てるチームは、自然と患者にも優しい空気を届けられます。
◼️ 「できる人」より「聴ける人」でありたい
僕が思うに、本当に信頼される医療者とは、“自分ができる人”ではなく、
“相手の話を聴ける人”です。
知識を披露するよりも、相手の考えを受け止められる人。
マウントを取るよりも、相手の意見に耳を傾けられる人。
そんな人が増えれば、現場の空気はきっと変わります。
学びは自分を飾るためのものではなく、誰かを支えるための力であってほしい。
そう思いながら、今日も僕は、静かにうなずける人でありたいと思います。
◼️ 終わりに
マウントの取り合いに疲れたときは、少し立ち止まって考えてみてください。
「なぜ、学んでいるのか?」
「誰のために、努力しているのか?」
その答えが“患者のため”であるなら、あなたはすでに正しい方向に進んでいます。
競い合うより、支え合う。
それが医療の本当の姿なのだと思います。
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