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「諦めが早いスタッフ」とどう向き合うか
~患者さんの可能性を狭めないために~
臨床の現場にいると、患者さんを担当してすぐに「この人はこのぐらいまでだろう」と限界を決めてしまうスタッフに出会うことがあります。
表面的には冷静な判断のように見えても、患者さんからすると「諦められている」と感じられてしまう態度です。
認知が低下してる患者さんはされるがままになっていて、側からみるとついイライラしてしまいます。
こんなことを言っている私自身、決して能力が高いわけではありません。思うように成果が出ないこともあります。
でも、うまくいかないときには「なぜうまくいかないのか」を考えますし、自分の力不足を痛感して同僚に相談することもあります。
ところが、そうした振り返りや相談をせずに、早々に結論を出してしまう人もいるのです。
結果として、担当される患者さんが気の毒に思えてなりません。
問題の本質は「早い判断」ではなく「振り返りの欠如」
経験を積むと、ある程度の予測はつくようになります。
判断が速いこと自体は必ずしも悪いことではありません。
問題は、その後に「本当にそうか?」と検証したり、別の視点を取り入れたりする姿勢がないことです。
つまり「思考の柔軟性」が欠けてしまっているのです。
患者さんの声を軸に伝える
本人に直接「諦めすぎだ」と伝えると、反発を招くこともあります。
そこで有効なのは「患者さん自身の目標や希望」を持ち出すことです。
例えば、
- 「ご本人はもっと歩きたいと言っている」
- 「家に帰りたいと強く望んでいる」
といった言葉を共有すると、スタッフの姿勢が変わるきっかけになります。
チームでの検討の場を活かす
小さい職場だと個人同士軋轢は働きづらさを生みます。
個人同士でぶつかるより、カンファレンスやリハ室でのディスカッションの中で「どうしたらもっとできるか」を話し合う方が建設的です。
チーム全体で「振り返りと工夫」を当たり前にしていくことで、自然と一人ひとりの姿勢も変わっていきくのではないでしょうか。
背景を理解する
そのスタッフ自身が「失敗を恐れている」「忙しさに追われて深く考える余裕がない」などの背景を抱えている場合もあります。
プライドが高く、他の人に弱さを見せることができずに、虚勢を張っている場合もあるでしょう。
頭ごなしに批判するよりも、「どうしてそう思ったの?」と聞いてみると、意外な本音が引き出せるかもしれません。
おわりに
患者さんの可能性を狭めてしまうのは、患者さんにとってもチームにとっても損失です。
大切なのは「限界を見極めること」ではなく、「限界をどう広げられるか」を一緒に考える姿勢です。
私たち自身も常に振り返りと相談を重ねながら、患者さんにとって最良の支援を目指していきたいものです。
な〜んて偉そうなこと言いましたが、これがなかなか難しい。どんどん距離を取ってしまうのが実際なのですが。
読んでいただき、ありがとうございました。
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