リハビリに使えるレクレーション:「お手玉・けん玉・ボッチャ・ボーリング」〜楽しみながら機能回復を〜
リハビリテーションというと、マシンを使った運動や、訓練室での地道な運動療法を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、実際には遊びやゲームの要素を取り入れた訓練が、心と身体の回復に大きな力を発揮することがあります。
例えば風船バレー。以前に何度もイラストを描いたことがあります。
今回は、リハビリの現場でよく使われる「お手玉」「けん玉」「ボッチャ」「ボーリング」という4つの活動について、イラストを描いてみました。
今回はその目的や効果、注意点をわかりやすく解説しますね。
◼️ お手玉
お手玉は、手指の巧緻性や目と手の協調(視覚-運動協応)を養うのに最適です。集中力や持久力のトレーニングにもなります。
風船より小さいし、動きが速いので大変です。でもおばあさんなど、子どもの頃に一度は経験しているはずですから意外でできてしまったりします。
・目的:上肢機能の協調性と巧緻性の向上
- 運動制御の改善:手指の微細運動と目の協調(視覚-運動協応)を高める訓練になる。
- 感覚統合の促進:触覚や重さの感覚を認知しながらの操作で感覚統合機能を高める。
- 集中力・持続力の向上:継続的に繰り返すことで認知的持久力を養う。
・ 指導上の留意点:
- 利き手・非利き手両方で行うことで左右差を軽減
- 投げる高さ・個数を調整して成功体験を重視
- 床に落ちても安全な環境設定(滑り止めマットなど)
◼️ けん玉
けん玉は、体幹や下肢のバランス能力を高めると同時に、タイミングを計る動作で反応速度や集中力も養われます。
これも子どもの頃に一度はやったことがあるはずです。
・目的:バランス能力・反応時間・上肢協調性の向上
- 体幹と下肢のバランス訓練:立位保持しながら行うことで、重心移動と静的・動的バランスを改善。
- 反射・反応の訓練:タイミングを合わせて球を受ける動作で反応速度と判断力を養う。
- 巧緻動作と集中力:狙った位置に収めるための繊細な手指の動きと集中力が求められる。
・指導上の留意点:
- 必ず立位バランス能力に応じて段階的に指導(座位→支持付き立位→自由立位)
- 動作前後でストラテジーを言語化させる(認知的介入)
- 達成できなくても意欲が保てるようにルールを工夫
◼️ ボッチャ
ボッチャは「リハビリテーションの補助的手段」としてだけでなく、その人の「参加」や「生きがい」を支える力があります。
重度障害者から高齢者、子どもまで、それぞれの機能レベルに応じた調整が可能で、「できること」に焦点を当てた活動として非常に価値が高いといえます。
僕が以前に勤めていた病院でも、筋ジストロフィーの子どもたちが嬉々としてやっていましたよ。
・目的:座位バランス・戦略的思考・上肢操作性の訓練
- 非対称的な体幹の使い方:片手での投球時に求められる体幹の安定性・回旋動作。
- 力加減の調整訓練:目的球との距離に応じた投球力調整により、運動出力の調節力を向上。
- 認知的要素の強化:戦術的に相手の球の配置を読み、自らのプレーを構築することで遂行機能を促進。
・指導上の留意点
- 自助具(ランプ、ヘッドスティックなど)の使用を適切に調整
- 上肢の可動域や握力が低い場合は投球方法を工夫(転がす/押す/滑らせる)
- 集団でのプレーにより社会的関係構築を促進
◼️ ボーリング
ボーリングは、全身の協調運動と筋力強化が期待できる活動です。球の操作により、手指や体幹、下肢の連動性が養われます。
座ってやることができますが、立ってやれば難易度が格段に上がります。
・目的:全身協調運動・重量物操作・社会性の向上
- 全身運動と筋力強化:球の持ち上げからリリースまでの一連の動作で、上肢・体幹・下肢の複合的な筋活動を促す。
- 動作の連動性訓練:ステップ、リリース、フォローの一連動作により動作の流れを学習。
- 集団活動による社会的交流:レクリエーション的要素も含み、モチベーションや情緒の安定にも効果がある。
・指導上の留意点:
- 球の重さを段階的に設定(1kg未満のリハビリ専用ボールもあり)
- 片麻痺の場合は補助手で球の誘導やガイドを提供
- 動作の連続性を支えるために床面の滑りや歩行補助具の有無を確認
- 安全第一:リリース時の転倒リスクに注意
リハビリは楽しくやることが何より大切です。それがモチベーションに繋がりますからね。
ありがとうございました。
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