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【小児リハ】触覚過敏の子どもへの「タッチ」のコツ
触覚過敏は、発達障害をもつ子どもによく見られる感覚特性のひとつであり、日常生活や集団活動への参加に大きな影響を与えることがあります。
このシリーズ記事(4回)では、小児リハビリテーションにおける「脱感作」の基本的な考え方と、
タッチ刺激の具体的な方法について、臨床で活用できる形で整理します。
◆ 脱感作とは?
**脱感作(Desensitization)は、感覚刺激に対する過敏反応を軽減する目的で、
段階的・計画的に感覚刺激を提示し、慣れを促すアプローチです。
特に触覚過敏に対しては、安全で予測可能な刺激環境の中で、
子どもの反応を観察しながら、刺激強度・順序で行うことが求められます。
◆ 対象となる子どもの特徴
以下のような行動や訴えを示す子どもが対象となります:
- 衣類のタグ・縫い目を嫌がる
- 他者との身体的接触を拒否する
- 手や足が汚れることを極端に嫌がる
- 散髪や爪切り、歯磨きを極端に嫌がる
- 皮膚に過剰な敏感さを示す(痛覚過敏に近い反応
◆ 脱感作の「触れ方」のポイント
触覚や圧覚は、身体と環境をつなぐ最も基本的な感覚です。ただやみくもに触れれば良いというものではありません。
以下の点に注意しながら行いましょう。
① 手のひら全体で、ゆっくり・はっきり触れる
ふわっとした曖昧なタッチは、逆に不快感や警戒を生みます。
おすすめは、「手のひら全体」を使って、ゆっくり・一定の速さと圧で撫でること。
子どもにとっては、「何がされるか分からない刺激」ほど怖いものはありません。タッチの一貫性が安心につながります。
下のイラストは指先が浮いてしまった悪い例。
②摘むことはダメです。
③てを離す時は、体毛の流れに逆らって撫でたりしない
離す時はふわっと直上に離すようにする
④圧は「心地よく包む」ように
「ディーププレッシャー」と呼ばれる心地よい圧は、副交感神経を刺激し、気持ちを落ち着かせる効果があります。
強すぎる圧は「恐怖」につながるため、反応をしっかり観察してください。
⑤触れる前の「声かけ・予告」がカギ
「いきなり触れられる」ことを嫌がるお子さんには、必ず事前の声かけを行いましょう。
◆ そのほか、タッチのときに気をつけたいこと
- いきなり触らない(事前に声かけ)
- 子どもの反応をよく見る
- 無理にやらない
- 選ばせることも大事(道具や部位を子どもに決めてもらう)
子どもにとって「安心できる触れ方」をすることが、脱感作の第一歩です。
◆ 最後に
触覚過敏のあるお子さんは、日常のちょっとした刺激でストレスを感じやすいことがあります。
だからこそ、遊びの中で楽しく、少しずつ慣れていくことがとても大切です。
リハビリの場でも、ご家庭でも、子どもが「これなら大丈夫!」と思えるような経験を少しずつ積み重ねていきましょう。
ありがとうございました。
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