【脳性麻痺児の脱感作】中枢から?それとも抹消から?

【脳性麻痺児の脱感作】中枢から?それとも抹消から?

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【脳性麻痺児の脱感作】中枢から?それとも抹消から?

今回は、脳性麻痺児の感覚過敏に対する脱感作について、リハビリの現場でよくある疑問の一つを取り上げます。

「脱感作で手を触るとき、中枢から始めた方がいいの?それとも抹消から?」

というテーマで、実際の臨床での考え方や進め方をご紹介します。

 

◆ 脱感作とは?

脱感作とは、感覚刺激に対して過敏な反応を示す子どもに対して、少しずつ刺激に慣れさせていく手法です。

脳性麻痺児の中には、触られること自体に強い不快感や恐怖を感じる場合があり、これが日常生活やリハビリの支障になることもあります。

◆ 中枢から?抹消から?基本的な考え方

【原則1】中枢(近位)から抹消(遠位)へ

リハビリの基本としては、中枢(胸・肩・上腕)から徐々に抹消(手・指先)へと刺激を進めていくのが推奨されます。

イラストで示すと、①胸→②肩→③上腕→④前腕〜手関節→⑤手〜指の順番です。

• 安心感を持ちやすい部位からスタート

• 防御反応が出にくい

• 深部感覚を先に刺激することでリラックスが得られる

特に感覚過敏が強い子どもに対しては、いきなり指先に触れると不快感を強く感じ、防御的・拒否的な反応が出やすいため注意が必要です。

 

【原則2】本人が受け入れやすい部位から始める

とはいえ、必ずしも「中枢から」が絶対というわけではありません。

その子が比較的受け入れやすい部位を見極め、そこから始めるのも有効です。

たとえば:

• 「前腕は大丈夫だけど、手のひらは嫌がる」→前腕からスタート

• 「手はNGだけど、肩なら平気」→肩から始めて安心感をつくります。

 

◆ 実際の進め方(上肢への脱感作)

以下は、上肢への脱感作を行う際の一例です

①胸郭を軽く圧迫

②肩を包み込むように軽く圧迫

③上腕を挟み込むように軽く圧迫

④前腕を包み込むように軽く圧迫。そして手も同様に。

 

⑤指を包み込むように軽く圧迫

 手の甲 → 手掌 → 指先へと段階的に移行

• 最も敏感な部位(指先)は最後に

◆ 例外:目的によって抹消から行うケースも

例えば、

• 「手洗い動作を習慣づけたい」

• 「つまみ動作の練習を早めに始めたい」

など、明確な目的がある場合は、末梢への刺激を優先して取り入れることもあります。

このときは、短時間・軽めの刺激で慎重にアプローチすることがポイントです。

 

◆ 感覚統合との組み合わせもおすすめ

脱感作は、感覚統合的アプローチ(SI)と組み合わせることで、子ども自身がより主体的に感覚に向き合えるようになります。

• スライムや粘土を使った遊び

• ビーズ探しなどの触覚遊び

• 感触の異なる素材を扱う遊び

 

このように、**遊びの中で「自分の力で触れる経験」**を積むことも非常に有効です。

 

◆ まとめ

脱感作は、「どこから始めるか」以上に、「その子にとってどれだけ安心・快適に感じられるか」が最も大切です。

• 基本は中枢から抹消へ

• 状況によっては抹消からでもOK

• 子どもの反応をよく観察しながら、段階的にアプローチする

 

感覚過敏に配慮した丁寧なアプローチは、リハビリへの意欲を引き出す大切な一歩になります。

 

ありがとうございました。

 

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