障害者の就労 〜認知症患者が働く「注文を間違える料理店」の取り組み〜

障害者の就労 〜認知症患者が働く「注文を間違える料理店」の取り組み〜

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認知症患者には社会とのつながりを保つことが大切

今や現在、日本では 65歳以上の高齢者の約7人に1人(約14%)が認知症であると推計されています。

85歳以上では約2人に1人が認知症になるとか。

しかし今のところ、認知症を治す画期的な薬があるわけではありません。

認知症を予防したり、認知症になったとしてもできるだけ進行をゆっくりと遅らせることが大切です。

巷には認知予防を謳ったクロスワードパズルや数独の本が並んでいますし、その売れ行きも良いようです。

そんな中、多くの医師や研究者が共通して言っていることは、認知症の予防や進行を遅らせるために必要なことは社会とのつながりを保つということです。

認知症になると、家にこもりがちになり家族以外の人との会話をする機会が少なくなります。

特に男性にその傾向が著しいですね。

人に迷惑をかけることを嫌って、どんどん人との関わりを避けるようになります。

周囲もどう接していいかわからない、ついつい本人を子ども扱いをしてしまってかえって傷つけてしまいます。

そして認知症が悪化してしまうという悪循環に陥りがちです。

どんなに認知症が悪化しても、社会の一員として実感できる、またもそれをサポートすることができることが望まれます。

 

「注文をまちがえる料理店」の取り組みについて

僕は障害者の就労について何度かコラムを書いていますが、今回のコラムは認知症の方がホールスタッフとして働いているレストランについてのご紹介です。

ちょっと変な名前のレストラン、「注文をまちがえる料理店」はそんな取り組みを実践しているお店です。

かなり有名な取り組みなので知っている方も多いと思います。

「注文をまちがえる料理店」は、2017年に日本で始まり、一時的な試みとして展開されました。

程度の差があるにしてもホールスタッフは皆認知症を患っている人。当然ながら間違えることがあります。

お客さんが注文した料理と異なるものが提供されることも多々ありますが、始まった当初は60%のお客さんに間違った料理が運ばれたそうです。

でも驚くことに、その後に実施したアンケートでは90%の人が「また来たい」と答えています。

間違えることを前提に文句を言わずにそれを受け入れる、

「間違いを楽しむ」という温かい雰囲気の中で楽しんで食事をすることができます。

認知症のスタッフも間違えることを恐れないで、リラックスして仕事をすることができます。

まさにwin-winの関係です。

 

この取り組みから学べること

この試みは私たちに色々な事を教えくれます。

まず、認知症の人でも、周囲のサポートとお客さんの寛容さがあれば働けるということ。

間違っても怒られないという環境で安心して働ける。

認知症になっても働けるという満足感人の役に立っているという満足感をえらえます。これって本当に大事!

それから、このこと以上に大切なことはお客にとっても、寛容な心を持つことの大切さを学べることです。

誰にでも起こりうる「認知症」についても理解を深め、共生社会の一員であることを自覚できます。

 

もちろんやるにあたって、葛藤もあったようです。

客は間違えることを期待して来店します。しかしそれを演出してはいけないということです。

認知症の人だって、間違えることを良しとは思っていません。

当然ですが、間違えると傷つきます。

その兼ね合いは相当難しいものだと思います。

でも、その試みが全国に広がったことを思うと、多くの人がそのような寛容な社会を求めているのです。

いつ自分が認知症になるかわからない。

たとえ認知症という障害を患っても社会の一員として役割が持てるということは豊かな社会であるということを多くの人が考えているのだと思います。

 

こんな取り組みが、全国にもっともっと増えることを期待します。

 

ありがとうございました。

 

※最後に認知症患者を描く際にはてなマーク『?』を使うことについてご指摘を受けました。認知症患者はいつも『?』を抱えているわけではないと。そういった表現は誤解を生むというものです。安易に使ってしまったことを反省したいと思います。

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