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背臥位はなぜそんなに悪者なのか?
安静臥床を強いられる患者さんは仰向け(背臥位)になっていることが多いと思います。
背臥位は安定した姿勢ですし、管理も容易です。
ですが呼吸管理や褥瘡予防の面でも悪いことが多く、医療界では悪者扱いになっています。
今回はその理由、背臥位(仰向けの姿勢)のデメリットについて取り上げてみたいと思います。
・横隔膜の動きが制限され、機能的残気量が低下する
まず、内臓の重みで横隔膜の動きが制限されます。換気量が減少してしまいます。
立位や座位に比べて横隔膜の約4cmほど挙上し、機能的残気量が低下します。
イラストで図解してみますね。
立位や座位の場合は重力により腹部臓器が下がることで横隔膜への圧迫が少なくなります。
その結果、横隔膜は動きやすくなります。
それが、仰向け(背臥位)になると内臓の重みで横隔膜が頭側に移動してしまいます。機能的残機量が低下します。
機能的残気量とは息を吐いた時に肺の中に残っている空気の量のことですが、この機能的残気量が低下すると、安静呼吸時でも虚脱する肺胞ができ、無気肺が生じてしまいます。
・舌根沈下が起こりやすい
また背臥位では舌が喉に落ちやすく、気道が狭くなる可能性があり、これが睡眠時無呼吸症候群のリスクを増加させることになります。
・仙骨など褥瘡発生のリスクが高い
長時間同じ姿勢でいることにより、圧迫性の潰瘍や褥瘡(床ずれ)の発生が起こる可能性があります。
血液の循環が妨げられ、特に高齢者や寝たきりの患者にとっては皮膚の健康に悪影響を与えることがあります。
背臥位の場合,体重の40%以上が仙骨部にかかっているといわれています。
仙骨に続いて、踵部,後頭部,肘、肩甲骨部と高値を示しており、褥瘡のリスクが高いと言われています。
(下図は背面から見た姿)
これらのデメリットを軽減するためには、定期的なポジションの変更や、必要に応じて専用の枕やマットレスの利用が考慮されます。
背臥位はメリットもある反面、上に上げたようなデメリットも多くあります。
それを十分理解した上で対応したいものですね。
ありがとうございました。
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