ハフィングとは?|痰を「動かす」から「外へ出す」ための呼吸法

ハフィングとは?|痰を「動かす」から「外へ出す」ための呼吸法

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ハフィングとは?|痰を「動かす」から「外へ出す」ための呼吸法

これまで、排痰を助けるためのいろいろな姿勢について紹介してきました。

側臥位。

前傾側臥位。

腹臥位。

ヘッドアップ位。

座位。

こうした姿勢を利用する目的の一つは、気道にたまった分泌物を、より太い気道へ移動させることです。

でも、ここで一つ大切なことがあります。

痰を動かしただけでは、排痰は終わりません。

最後には、その痰を身体の外へ出す必要があります。

そこで利用される方法の一つが、

「ハフィング(huffing)」

です。

 

ハフィングとは?

ハフィングは、口を開けた状態で、声門を閉じずに息を強く吐き出す方法です。

イメージとしては、

「ハーッ」
「ハッ、ハッ」

と、鏡やメガネを曇らせるように息を吐く感じです。

専門的には、強制呼出法(Forced Expiration Technique:FET)の一部として使われます。

普通の咳では、いったん声門を閉じて胸腔内の圧を高め、その後、一気に声門を開いて空気を吐き出します。

一方、ハフィングでは声門を開いた状態で呼気を行います。

そのため、咳とは少し違った方法で気道内の空気の流れを利用し、分泌物を中枢側へ移動させていきます。

なぜハフィングで痰が動くの?

ハフィングで大切なのは、単に、

「思いきり息を吐くこと」

ではありません。

息を速く吐き出すことで気道内に呼気の流れが生まれます。

その空気の流れを利用して、気道壁についている分泌物を中枢側へ移動させていきます。

そして興味深いのは、

どのくらい息を吸ったところからハフィングを始めるか

によって、作用しやすい気道が変わることです。

低い肺気量から行うハフィング(痰を抹消気道から中枢に移動させる方法)

まず、あまり大きく息を吸わず、比較的低い肺気量からハフィングを行う方法があります。

「ハーーーーッ」

と、やや長めに息を吐き出します。

これは、比較的末梢側にある分泌物を、より中枢側へ移動させたいときに利用されます。

・やり方

少し息を吸い込みます。1〜2秒間止めます。

 

その後、ゆっくりと長く最後まで空気を搾り出すように息を吐きます。

高い肺気量から行うハフィング(痰を中枢気道から口の近くまで移動させる方法)

分泌物が比較的中枢側まで移動してきたら、今度は少し深めに息を吸ったところからハフィングします。

「ハッ! ハッ!」

と、短く強めに吐き出します。

高い肺気量から行うことで、比較的太い気道にある分泌物を口側へ移動させやすくなります。

・やり方

•深く息を吸い込み、肺をいっぱいにします。

 

1〜2秒息を止めた後に、短く強く「ハッ」「ハッ」「ハッ」‥と音を立てて息を吐き出します。これを「ハフ」と呼びます。急に喉を開いて一気に息を吐くイメージです。

 

そして仕上げは「咳」

そして痰がさらに上がってきたら、

最後は咳をして外へ出します。

つまり、

末梢側の痰
↓
低い肺気量からのハフィング
↓
中枢側へ
↓
高い肺気量からのハフィング
↓
さらに口側へ
↓
咳
↓
排痰

というイメージです。

実際にはこんなにきれいに段階が分かれるわけではありませんが、仕組みを理解するには分かりやすいと思います。

「ハッ、ハッ、ハッ」と何度もやればよいわけではない

ハフィングは、回数を増やせば増やすほど痰が出るわけではありません。

強い呼気を何度も繰り返せば、

疲れる。

息苦しくなる。

咳き込む。

気道が狭くなる。

といったこともあります。

特に呼吸器疾患のある患者さんでは、強く吐きすぎることが逆効果になる場合もあります。

そのため、

数回ハフィングする
↓
普通に呼吸する
↓
少し休む
↓
必要なら再び行う

というように、患者さんの呼吸状態を見ながら行います。

 

息を止めるのは必須?

深呼吸のあとに短い吸気保持を入れる方法もありますが、患者さんによっては息止めが苦しいこともあります。

特に呼吸困難が強い患者さんに、

「吸ってください」

「止めてください」

「もっと吐いてください」

と指示を増やしすぎると、それだけで疲れてしまいます。

手技を完璧に行うことより、患者さんが無理なく呼吸できることを優先します。

 

ハフィングと咳はどう違う?

咳は、

「ゴホン!」

と声門を閉じてから一気に空気を出します。

ハフィングは、

「ハーッ!」

と喉を開いたまま息を吐きます。

どちらか一方が優れているという話ではありません。

役割が違います。

ハフィングで分泌物を中枢側へ移動させ、

最後に咳で外へ出す。

この組み合わせが有効なことがあります。

 

強い咳が難しい患者さんにも

ハフィングは、強い咳を繰り返すことが難しい患者さんに利用されることがあります。

例えば術後で咳をすると創部が痛む場合などです。

ただし、

「術後だから必ずハフィング」

というわけではありません。

痛みの程度、呼吸状態、痰の量、咳嗽力などをみながら方法を選びます。

必要に応じて創部を枕などで支持したり、疼痛管理を行ったりすることも重要です。

 

姿勢も大切

ハフィングは、できれば患者さんが呼吸しやすい姿勢で行います。

座位が安定してとれるなら座位。

座位が難しければヘッドアップ位。

場合によっては、上肢を支持した前傾座位などが楽なこともあります。

ここでも、

「ハフィングはこの姿勢で行わなければならない」

と決める必要はありません。

患者さんが呼吸しやすく、痰を出しやすい姿勢を選びます。

 

これまでの「体位ドレナージ」とハフィングをつなげる

例えば、

側臥位
↓
前傾側臥位
↓
腹臥位

など、患者さんの状態や分泌物の位置に応じた姿勢を利用して、分泌物の移動を促します。

必要に応じて呼吸練習や胸郭への介助を加えることもあります。

そして分泌物が中枢側へ移動してきたら、

座位・ヘッドアップ位へ
↓
ハフィング
↓
咳
↓
排痰

へとつなげます。

もちろん、全員がこの順番で行うわけではありません。

大切なのは、

「痰を動かすこと」と「痰を外へ出すこと」をセットで考えること。

体位を変えて終わりではありません。

まとめ|ハフィングは「力いっぱい吐く練習」ではない

ハフィングというと、

「ハッ!ハッ!と強く息を吐く方法」

と思われがちです。

でも本当に大切なのは、強さではありません。

どの位置に分泌物がありそうなのか。

どのくらいの肺気量から呼気を始めるのか。

患者さんは疲れていないか。

呼吸は苦しくないか。

そして、その痰を最終的にどうやって外へ出すのか。

そこまで考えて行います。

低い肺気量からのハフィングで、比較的末梢側の分泌物を中枢側へ。

高い肺気量からのハフィングで、さらに太い気道・口側へ。

そして必要に応じて咳へつなげる。

ハフィングは、それだけで完結する技術ではありません。

これまで紹介してきたポジショニングや呼吸介助、そして咳と組み合わせながら、

「痰を動かす」から「痰を外へ出す」へ。

その橋渡しをしてくれる方法の一つなのです。

 

 

ありがとうございました。

 

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